怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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狙われた街

※誤字報告がありましたので、訂正しました!毎回すみません!


27話 奇襲

俺たちはカルネ村で一泊し、早朝早く出て、エ・ランテルに向かった。

 

エ・ランテルに着いたのは日がすっかり暮れ、町は夜となっていた。そんな夜の町を堂々と道を歩く大きな獣、そしてその上にまたがる一人の騎士がいた。まあ・・・言わなくても分かる通り、ハムスケに乗ったアインズさんだった。森の賢王の名前は、カルネ村からエ・ランテルに向かう際の道でハムスケと決めた。いかにもな名前で俺はこっそりと笑った。

そこまでは良かったんだが、『漆黒の剣』の方たちが、まさかのハムスケに乗ってエ・ランテルに戻ろうとか言いだしたんだよなぁ・・・。

 

で、俺とアインズさんは速攻でじゃんけんをした。結果は俺の勝ち。

 

「う・・・なんて惨めなんだ・・・これじゃあメリーゴーランドに乗ったおっさんだよ・・」

 

夜にも拘らず外には人がそこそこいた・・・完全に見せ物扱いだな。ハムスケはドヤッてるけど、乗ってる本人は惨めだよ。勝ってよかった・・・。と思っていたら、俺たちは組合についた。

 

「・・では私たちはここでモンスターの登録をします」

 

「では、私たちは先にンフィーレアさんをお店まで一緒に行き、薬草などの積み荷を降ろしたり雑務を手伝います」

 

「そこまでそちらだけでしなくても・・・」

 

「いえ、今回の依頼はほとんどモモンさんたちがやりましたのでこれくらいはやりますよ!そうじゃないと同じ報酬を受け取ることはできません!」

 

「・・・わかりました、ではこちらも登録が済みましたらすぐに向かいます」

 

「はい、それではいきましょう。ンフィーレアさん」

 

「はい、ではモモンさん、ザムシャーさん、後程お会いしましょう」

 

そう言い、ンフィーレアさんたちは店に戻った。じゃあ、こっちもさっさと片付けるか・・・。

 

 

 

 

~ンフィーレアの店・裏側~

 

「では、皆さん。薬草を中に運んでください」

 

そう言いながら、ンフィーレアは一人先に中に入り、祖母の確認をした。

 

「おばぁちゃん、いないのかな?」

 

そう考えていると、後ろから薬草を持ったぺテルたちが慎重に運んできてくれた。

 

「あ、お疲れ様です。母屋に果実水が冷えてますので、モモンさんたちが来るまで飲んでいましょう」

 

「おお!いいねぇ」

 

とルクルットは陽気に答え、『漆黒の剣』は全員頷いて同意した。その確認を見て、ンフィーレアは母屋に向かおうとした時

 

 

 

 

 

「あー、お帰りぃ。待ってたんだよぉ?」

 

 

 

 

 

奥から金髪の女が出てきた。容姿はかわいいが、なぜか不安にさせる笑顔を見せる不気味な女だ。

 

「あの、どちら様でしょうか?お客さんでしたら、もう今日は・・・」

 

「え?ああ、違う違う。お姉さんはねぇ、君を攫いに来たんだぁ。どんなアイテムも使えるタレントを持っている君をぉ、えっと・・確か叡者の額冠?だったっけかな、それを君に使ってもらって、魔法《不死の軍団(アンデス・アーミー)》っていう第七位階魔法をやって欲しいんだぁ。人間じゃたどり着かない領域でもぉ、そのアイテムを使えば可能だしぃ、流石にアンデッドの全支配は無理でもぉ、誘導は可能だしぃ、完璧な計画だよねぇ!」

 

そう作戦の説明をしながら不敵に笑う女。その姿を見て、『漆黒の剣』は即座に武器を取り出し戦闘態勢に入った。

 

「ンフィーレアさん!下がって!そいつは危険です!」

 

「その女が計画をペラペラ言っているってことは、確実に俺たちを殺れるからだ!早くここから逃げろ!」

 

「ニニャも一緒に逃げるである!」

 

「え!?そんな!?皆さんを置いていけません!」

 

「馬鹿言ってんじゃねぇ!お前には姉さんを助けるっていう目的があるだろ!」

 

「そうです!あなたにはやるべきことがあります!私たちは最後まで協力できそうにないですが・・・時間くらいは稼いでみせます」

 

「みなさん・・・」

 

「はぁ・・お涙頂戴ねぇ。でもぉ、逃げられると困っちゃうからぁ・・・そこまで遊んであげられないのよぉ」

 

そう女が言うと、ンフィーレアたちが入ってきた扉から、一人の老人が入ってきた。

 

「お主、おしゃべりが過ぎるぞ・・・さっさと片付けろ」

 

「んもう、カジッちゃんてば急かしすぎぃ。これから殺るとこなのよぉ?少しぐらい遊ばせてよぉ。ねぇ?」

 

女が見せた笑顔に恐怖を感じたニニャとンフィーレアはとっさに

 

(モモンさん・・・助けて・・)(アインズさん・・ゾルディオさん・・早く来てください・・・)

 

だが、その思いは届くことはなかった・・・

 

 

 

 

 

~一方そのころ~

 

「意外にもかかったな・・・」

 

「ですね・・・特に写生が」

 

俺たちはハムスケの登録を済ませ、これからンフィーレアさんの店に向かうのだが、登録だけで一時間ほどかかってしまった。

いや、登録はすんなり終わったのだが、その後にハムスケの姿を写生しなければならないらしい。魔法を使えばあっという間に終わるのだが、その際の代金はこちら持ちということでやめた。そんな金はないからだ。そのため、写生にしたおかげで一時間もかかってしまった。

これは、後で謝るしかないな。と俺たちが向かおうとしたとき

 

「ん?お主らはもしやわしの孫と薬草を取りに向かった冒険者の方ではないかの?」

 

「・・失礼、あなたは?」

 

「わしはリイジー・バレアレという。ンフィーレアの祖母じゃよ」

 

「ああ・・これはこれは。さきほどあなたが言った通り、私達はお孫さんの警護を務めました、チーム『ユグドラシル』です。私はリーダーのモモン、こちらはサブリーダーのザムシャーさん、隣がナーベ、ルプーです」

 

「おお!やはりそうじゃったか!それで・・・そっちの獣はなんじゃ?」

 

と、リイジーさんはハムスケを指をさし訪ねてきた。

 

「こいつは薬草の採取の際に現れた森の賢王なんです。そこを私がねじ伏せましてね」

 

「なんと・・・・・こやつがあの森の賢王なのか・・・」

 

するとハムスケは自慢気に鼻を鳴らしながらドヤ顔を決めた。

 

「そういえば孫の姿が見えんのじゃが・・」

 

「お孫さんは、協力している他の冒険者の方たちと一緒に、私達より一足早く店に戻っています。今からお孫さんに会いにあなたの店に向かうところです」

 

「おお、では共に行かんか?お主の冒険に興味が出たわい」

 

こうして、俺たちはリイジーさんと一緒に店に向かった。

 

 

 

 

 

「それじゃあ入ろうかの」

 

俺たちは店に到着し、リイジーさんが鍵を取り出し、店の扉に向かうと

 

「ん?不用心じゃな、鍵が開いとるわい」

 

そう言いながら扉を開け、中に入った。

 

「ンフィーレア、モモンさんたちが来たぞー」

 

リイジーさんがそう言っても返事は帰ってこなかった。・・・おかしいな、ここには先に来ているはず。扉の鍵も開いてるし・・・嫌な予感がするな。そう考えてるとアインズさんがメッセージで

 

 

(ゾルディオさん)

 

(なんですか?)

 

(俺のスキル《不死の祝福》が反応しています。つまり、店の中にアンデッドの反応があります)

 

(ということは、まさかの敵襲ですかね?)

 

(それは判断できませんが・・・とにかくアンデッドのいるところに向かいましょう)

 

(了解)

 

 

俺たちはやり取りを終え、お互いに武器を手にした。その光景を見たリイジーさんは

 

「な!なんじゃ!何をする!」

 

「いいからついてこい」

 

そう言いながら俺たちは店の奥につながる通路に向かった。

 

「この奥は?」

 

「そこは薬草とかを保管する保管庫じゃ。裏口につながっとる」

 

それを聞き、俺たちは扉を開けた。その瞬間、血まみれの光景が目に入って来た。

 

「な、なんてことだい・・・これはどういう・・・」

 

部屋には四人の姿が見えた。どれも壁によりかかるように力なく座っていた。その人たちは『漆黒の剣』の方たちだった。俺とアインズさんが部屋に足を踏み込んだ瞬間に、ぺテルさんとルクルットさんが立ち上がろうとしていた。だが、その瞬間に俺の刀とアインズさんのグレートソードが二人の首を飛ばした。すると、ダインさんがすでに立ち上がっており、こちらに向け、うめき声をあげながら近づいてきた。リイジーはダインさんの顔を見るや

 

「ゾンビ!」

 

と叫んだ。その叫びに構わず俺は刀を握り、同じく首を刎ねた。首が無くなった三人の体は力無く床に倒れた。その倒れた音を聞き、リイジーはようやく状況を理解し、孫を探しに店の中を走り出した。

 

「二人とも、あの人を守ってやれ。この場は、私とザムシャーさんでやる」

 

「「畏まりました」」

 

そう言いナーベラルとルプスレギナは、リイジーさんの後を追った。二人が言ったあと、俺たちはすぐに死体を調べた。

 

「・・・どうやら、全員刺突武器で死んだみたいですね」

 

「死体を見る限り、そうなりますね。それと、全員プレートが無いですね」

 

「恐らく犯人が戦利品代わりに持っていったのでしょう・・・それで、ニニャさんのほうは」

 

「こちらも死んではいますが、他の三人の死体と違い、かなり痛めつけられていますね。顔ははれ上がり、目は同じく刺突武器により潰れていますね」

 

他にも指は骨ごと潰れ、皮膚は裂け、肉が見えている部分もあった。中には、肉ごとはじけ飛んだ部分もあった。

次にアインズさんはニニャさんの服を緩め、その下を見た。

 

「・・・そういうことだったのですね」

 

「ええ・・・そうみたいですね・・・・・体もあざだらけですね」

 

そして、アインズさんはニニャさんの目をそっと閉ざした。

 

「・・・アインズさん」

 

「・・・・はい」

 

「今俺は非常に不快です」

 

「奇遇ですね・・・実は俺もですよ」

 

お互いに口調を一瞬忘れるほどの不快さを味わい、そう言った。

 




~エ・ランテルに向かう途中、ハム助の背中に乗るという話の時~
アインズ「わ、私達ではなくナーベたちが・・・」
ゾルディオ「そ、そうです、私達では華がありませんのでここはナーベさんたちが・・・」
ナーベラル「モモンさ―んと、ザムシャーさんがお乗りになってください。私だけ乗るのは失礼に当たります」
ルプスレギナ「私も同じ考えっす。私達じゃなくてモモンさんたちが乗ってくださいっす」
アインズ「う・・・し、仕方ない、ザムシャーさんここはじゃんけんと行きましょう」
ゾルディオ「・・・やっぱりそうなりますか。では、」
アインズ ゾルディオ「「最初はグー!ジャン!ケン!ポン!」」
ゾルディオ「よっしゃー!」
アインズ「そ・・そんな・・・」
と、いうことだった・・・


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