怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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消えた時間

※誤字報告がありましたので訂正しました!


23話 野営

日がすっかり暮れ、夜に差し掛かろうとしている。

俺たちは野営をすることになり、今はたき火を中心に団を取り、夕食にしようという時だ。

シチューが入った皿を全員受け取り、食事が始まった。

だが、ここで問題が。それは、アインズさんは食事ができないということ。それを知っている俺たちも同様に食べられなかった。そんな俺たちに気づいたルクルットが、

 

「もしかして苦手なもの入ってた?」

 

気を使わせてしまったみたいだ。だが、どうやってこの場を乗り切るか・・・

 

「あ、いえ、そうではないんですが・・・宗教的なもので、命を奪った日の食事は4人以上で食べてはいけないという教えがありまして」

 

「へぇ、そんな教えを信じているんですね」

 

「だが、世界は広い。私たちが知らない教えもあろう」

 

アインズさんナイス!何とかこの場はやりきり・・・

 

「でもルプーちゃん普通に食べてるけど」

 

・・まさかのジョーカーがいたとは!アインズさん困ってるよ・・・ここは・・

 

「あ、あールプーと私たち三人は宗教が違いまして・・」

 

「あ、そーなの?」

 

「それは、チームとして大変ですね・・・」

 

「そ、そうですかね?ははは・・・」

 

 

(アインズさん、危なかったですね・・)

 

(はい・・フォローありがとうございます)

 

(いいんですよ、でもまさかこんなところにジョーカーがいたとは・・)

 

(・・まあ、実際私以外みんな食べられるんですけどね)

 

(だとしても一人だけ食べないのは・・・)

 

(その逆も厳しいですけどね・・・)

 

(・・・と、とりあえず!乗り切りましたし!今後は気を付けましょう!)

 

(・・はぁ、ですね)

 

 

と俺とアインズさんがメッセージでやり取りしていると

 

「モモンさんのチーム名は、なぜ『ユグドラシル』なんですか?」

 

「え?そ・・それは・・・な、なんとなくです。・・チームの名前に意味を持ったほうがいいのでしょうか?」

 

「そんなことはないですよ。意味を持ったチーム名もあれば、特にないチームもあります」

 

「・・では、そちらのチームはなぜ『漆黒の剣』なのですか?」

 

「それは・・・」

 

そう言いながらルクルットは苦笑いを浮かべ、逆にニニャは顔を赤らめていた。

 

「ニニャが欲しいと」

 

「止めて下さい!あれは若気の至りです!」

 

・・なんか見たことある光景だな。

 

「恥じることはないのである!」

 

「そうそう!夢を大きく持つのはいいことだぜ」

 

「勘弁してください・・・」

 

『漆黒の剣』の面々はニニャを除いて朗らかに笑い出し、ニニャは耳まで顔が赤くなっていた。

 

「『漆黒の剣』は昔いらっしゃった十三英雄の一人が持っていた剣にちなんでいるんです」

 

・・・え?説明終わり?説明短すぎてよくわからん・・・。だが知ってなきゃおかしいみたいな雰囲気だし、どうすりゃ・・・

 

「なんです、それ?」

 

おお!ナーベラルよくやった!素晴らしいぞ!

 

「あー、ナーベちゃんは知らないかー。ま、そりゃそうだよな。十三英雄っていうのは・・・」

 

それからその十三英雄の説明を聞いた。どうやらこの世界の英雄みたいだな。だが評判は最悪、理由はそのあまりにも強大な力から、悪魔の血を引くとか言われていたみたいだ。それで、漆黒の剣というのは、その英雄の中の一人、「黒騎士」と呼ばれていたやつが持つ四本の剣のことらしい。闇のエネルギーを放つ魔剣キリネイラム、癒えることのない傷を与える腐剣コロクダバール、かすり傷でも命を奪う死剣スフィーズ、能力不明の邪剣ヒューミリスの四本だ。

 

だが、俺ととアインズさんは首をかしげていた。それは、どれも聞いたことのある能力だったからだ。

 

 

(・・なんかどれも聞いたことある能力ですね)

 

(ゾルディオさんも気づきましたか。どれも職業(クラス)「カースドナイト」のスキルに似ているんです)

 

(あー、あの強いのにペナルティも強いやつですか。確かに似てますね・・・)

 

(ですが、もしその「黒騎士」が本当にカースドナイトなら最低でもレベル60はクラスを積み重ねる必要はありますし・・・いや、スキルを得ることまで考えるなら70になるでしょう)

 

(・・・でも、もしそんな存在がいたならと魔神の強さのバランスがおかしくなりますね?ニグンがあの「自称」最高位天使が魔神を倒したとかほざいていたけど・・・)

 

(ですね・・・魔神の強さはそんなものかと思っていましたけど、その答えを知るにはその剣を実際に手に入れるか、その英雄に会わなくてはいけないでしょう)

 

(やっぱそれしかないかぁ・・・)

 

 

 

と俺たちがメッセージで話し合いをしていたら、こっちの話がどんどん先に行っていたみたいだ。話を聞こうと思って耳を傾けたらもうすでに終わりそうだった。それは『漆黒の剣』の目標はその剣を発見することらしい。

 

「―ま、今も本当に残ってるかわかんないけどね」

 

「あ、その漆黒の剣でしたら、すでに一本持ってる方がいますよ」

 

ンフィーレアさんがさりげなく言った一言が『漆黒の剣』の全員が思わず立ち上がりすごい剣幕で

 

「だれですか!」

 

「マジかよ!じゃあ残りは三本!?」

 

「まさかすでに持っている人物がいるとは・・・」

 

「あ・・えっと・・・たしか『蒼の薔薇』のリーダーを務めている方です」

 

「うわぁ、アダマンタイトかよ・・・それじゃあ仕方ねぇな」

 

「ですね・・・しかし、まだあと三本残っていますし」

 

「・・・ですが、私達にはアレがありますし」

 

「アレ?」

 

「これです」

 

そう言うとぺテルは黒い刀身の短剣を取り出した。

 

「本物が手に入るまでの私たちの印として・・・」

 

「本物も偽物もねぇよ、俺たちにとってこいつはチームを組んだ印なんだからな」

 

「珍しくルクルットがいいことを言ったのである」

 

楽しそうに笑いあう『漆黒の剣』たち。

やがて食事の時に話す会話と同様な雑多な会話が始まった。そんな中、『ユグドラシル』の面々だけは静かに冷め切ったシチューを持っていた。(ルプスレギナを除いて)ここで話せる話題が無いということもあるが、恐らく一番はアインズさんの雰囲気がそうさせたのだろう。

 

 

(アインズさん、どうしました?)

 

(いえ・・あの光景を見ていると、昔の自分たちを見ているようで・・・)

 

(・・・寂しいですか?)

 

(・・・・)

 

(正直に言っていいですよ。別に怒りませんから)

 

(実は・・少し嫉妬してしまいまして。羨ましいんです、あの光景が・・・・)

 

(やっぱりですか・・・俺たちが辞めてからずっと一人でいましたもんね。それは嫉妬ぐらいしますよね)

 

(・・すみません、ゾルディオさんが戻ってきたっていうのにこんな事考えてしまって・・・)

 

(いいんですよ、そう思うのが普通です。ですが!これからは俺もいますし!それに!前も言いましたが、もしかしたら他のメンバーもいるかもですし!これから頑張っていかなきゃですよ!)

 

(ふふっそうですね。暗くなってる場合じゃないですね!これからです!)

 

(はい!)

 

 

そうメッセージで話していると、ンフィーレアさんが

 

「冒険者のチームってこんなに仲がいいものなんですか?」

 

「そうですね、命預けてますから。やっぱりお互いが何を考えているかわからなければ危険ですし、それで自然と仲が良くなりますね」

 

「異性がいると揉めるって聞くしな」

 

「・・・ですね。それにチームとしての目標・・・・も、あるからってところもあるんじゃないでしょうか?」

 

ん?ニニャさんの表情が一瞬だけ暗く・・・気のせいか?

 

「そうですね。チームの意志が一つに向くと全然違いますし」

 

「やっぱりそうですよね!それがモモンさんたちの強さの秘訣なんですか?」

 

「そうですね・・・それもありますが、皆さんならすぐに私たちに追いつきますよ」

 

そうアインズさんが言うと『漆黒の剣』の方たちが苦笑いをした。

 

その後、食事を終えすぐに明日に備え俺たちは寝た・・・・実際は寝ないけど。

 




アインズ ゾルディオ((これどうするかな))
ルプスレギナ「あ、モモンさん、ザムシャーさんいらないっすか?だったら私がもらってもいいっすか?」
アインズ ゾルディオ((女神!?))
その後、ルプスレギナは自分のメンバーの分のシチューを全て平らげた。

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