怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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ンフィーレア参上!

※誤字報告がありましたので訂正しました!


21話 ンフィーレア・バレアレ

「チーム『ユグドラシル』の方たちにご指名の依頼が来ています」

 

そのことを聞いて俺たちは状況がよく読み込めていなかった。なぜなら、俺たちは昨日冒険者になったばかりだ。指名を受けるほど有名にはなっていない。一体誰なんだ・・・。そうゾルディオたちが考えていると、前髪を眼が隠れるように綺麗に整えた少年が出てきた。一言で言うなら、おかっぱの上位版みたいなのだ。

 

「一体どなたが?」

 

アインズが訊くと、さっきの少年が

 

 

 

「僕です。初めまして、僕はンフィーレア・バレアレと言います」

 

 

 

アインズ達は驚いた。まさかさっきまで話していた人物が今、目の前にいるのだから。その名を聞くやすぐにナーベラルが殺気を出しながらアインズとゾルディオの前に出た。その行動に見かねたアインズがすかさず軽いチョップをナーベラルの脳天にお見舞いした。

・・流石に今のはかばえないな。

 

「それで依頼なんですが――」

 

「失礼、たった今別の仕事を受けましたので、君の依頼を今すぐ受けるということはできません」

 

「モモンさん!名指しの依頼ですよ!」

 

「たとえそうでも、先に仕事を受けた方を優先するのは当然では?」

 

「し、しかし・・・」

 

「でしたら、ひとまずバレアレさんの依頼の内容を聞いてから考えてもいいのではないですか?どうですか、バレアレさん」

 

「僕の方はそれで大丈夫ですよ。できれば早めがいいですが、今すぐの依頼というわけでもないですし」

 

「どうですか、モモンさん」

 

「・・そうですね、そうしましょう。ありがとうございます、ザムシャーさん」

 

「いえいえ、サブリーダーとしてリーダーの補助は当然ですから。あ、当然『漆黒の剣』の方々も同席ですよ?」

 

「え?いいんですか?」

 

「はい、当事者という意味もあり、皆さんの意見も聞きたいので」

 

そう言うと、さっきまで使っていた部屋に戻った。行ったり来たり忙しいな。

 

そこで依頼の内容を聞いた。内容は、近場の森の中の薬草採取、その警護らしい。

なぜ、俺たちが指名されたかというと、昨日店に冒険者がやってきて俺たちのことを言ってたらしい。自分たちよりも一つ上のランクの冒険者を投げ飛ばしたとかで。あとは、プレートが銅であり安く済むからだそうだ。

 

「・・薬草採取の警護。これは好都合ですね。どうでしょうぺテルさん。我々に雇われませんか?」

 

「え?それはどういう・・・」

 

「そのままの意味です。警護に薬草採取となると、野伏(レンジャー)のルクルットさんや森司祭(ドルイド)のダインさんが適任でしょう」

 

その言葉にダインとルクルットが、どっちが採取に向いてるかの張り合いをし

 

「ぺテル、俺たちはそれで構わないぜ」

 

「ではいいですね。途中で遭遇したモンスターは先ほど聞いた仕事同様、討伐し町から追加報酬をもらうということで。バレアレさんからの報酬は頭割りということで。いいですか、ぺテルさん?」

 

「皆さんがそれで良いのでしたら、異存はありません」

 

「では、決まりですね。バレアレさん、よろしければここにいる全員で受けさせていただきたいのですが?」

 

「僕もそれで構いません。では皆さん、よろしくお願いします。あと、僕のことはンフィーレアで構いません」

 

その後、アインズ達はンフィーレアに自己紹介を終え、

 

「では、今後の予定ですがまずカルネ村まで行き、そこで滞在拠点を設け、森に向かうという形になります。採取の日数は採取できた薬草の量にもよりますが、最長で三日です」

 

「そこまでの移動方法は?」

 

「一頭引きの馬車一台です。これに採取した薬草を入れる瓶を載せますので、皆さんを乗せる余裕はないです」

 

後は、漆黒の剣の面々が互いに準備について相談しあい、ンフィーレアに質問していた。

 

 

やがて質問が終わるとンフィーレアが

 

「では、準備を終え次第出発しましょう」

 

 

 

 

準備を終え、アインズ達はエ・ランテルを出た。

カルネ村までの移動の際の陣形は、馬車を前と後ろで守る形にしており、前が『漆黒の剣』、後ろが『ユグドラシル』となっている。

 

「・・うさんくさいですね」

 

「ンフィーレアさんですね。なにか裏があるような気もしますし、とにかく注意をしておきましょう」

 

「ですね」

 

アインズとゾルディオが話していると

 

「モモンさん、そろそろ危険地域に入りますので、警戒してください」

 

「はい。わかりました」

 

そう言うと、チーム全員に目を向け、頷いた。それを見て、全員警戒態勢に入った。

すると、前のルクルットが

 

「そんなに警戒することないってー。俺が目であり耳でもあるんだからさ。奇襲なんか来る前にわかるぜ?どうよ?俺すごくない?ナーベちゃん」

 

「この下等生物(ゴミ虫)が・・・モモンさん、叩き潰す許可をください」

 

んなもん出すわけねーだろと思っていたら。

 

「冷たい一言いただきました!ルプーちゃんは!どうよ!俺ってすごいでしょ!」

 

・・すごいポジティブだな。しかし、今度はルプスレギナか・・大丈夫だよな?

 

「んー、そうっすねー。でも、モモンさんとザムシャーさんのほうがもっと凄いっすよ?ね?ナーちゃん」

 

「そうね、私もそう思うわ」

 

どうやらルプスレギナは人間に対して嫌な態度はとらないみたいだな。

 

「なぁー、やっぱナーベちゃんとルプーちゃんはモモンさんかザムシャーさんと恋人関係なの?」

 

おいおい、そういう質問しちゃうか。まあ、否定するだろ。

 

「それは違うっすよー。それにモm」

 

「こっこここ恋人!?何を言ってんですか!?モモンさんには、アルベド様という方が!」

 

「ちょ、おま!!」

 

「ナーベさん!!」

 

「はっ・・・」

 

何言ってんだよこの子!!それ言っちゃアカンやつだろ!もう少しでやばいところまで行くところだった・・・。

ナーベラルはやってしまったという表情で固まりながら口を押さえていた。ルプスレギナは少し焦っていたが、すぐに冷静になり、ナーベラルのもとに向かった。

 

「ちょっと大丈夫っすか?ナーちゃん」

 

「わ・・私は・・・何てこと・・・」

 

「・・ルクルットさん、詮索は止めてもらえますか?」

 

「・・あー、失敬。ちょっとからかうつもりだったんですけど・・・。訊きすぎました」

 

「いえ、気を付けてもらえればいいんですよ」

 

そう言いながら、アインズさんはナーベラルの背中を慰めるようにポンポンと軽く叩いた。そこに俺もナーベラルの肩に手を置き小声で

 

「大丈夫ですよ。モモンさん怒ってないですし、次同じミスをしなければ大丈夫ですよ」

 

「し、しかし・・・」

 

「ナーベよ。ザムシャーさんも言っていただろう。同じミスをしなければ良いのだ。私は怒っていない」

 

「ほら、モモンさんもザムシャーさんもこう仰ってるんすから」

 

「・・はい、次同じ失敗は致しません」

 

「それで良いのだ」

 

そこに遅れてぺテルがやってきて、

 

「ルクルット、もう話すのは止めて、ちゃんと警戒してろ」

 

「了解」

 

「・・すみません、ユグドラシルの皆さん。仲間がご迷惑をかけて、他人の詮索はご法度だっていうのに」

 

「いえ、今後気をつけて下さればいいんですよ。今回は水に流します」

 

そう言っていると前のほうから

 

「うわぁー、完全にナーベちゃんの好感度駄々下がりじゃん」

 

・・よくこの状況でそれ言えんな。一回千切りにしたろか?

 

「あのバカ・・!本当にすみません。あとで強く言っておきます。それと、先ほどの会話は聞かなかったことにします」

 

・・このリーダーも大変だなぁ。同情するよ・・・

 

「まあ、その、よろしくお願いします。それでルクルットさんが警戒してくださるのでしたら、こちらも少しお喋りさせてもらってもいいですか?」

 

「はい、構いません。ご迷惑をおかけした分、しっかり働きますので」

 

そう言うとアインズは漆黒の剣のぺテルとニニャに質問を大量にした。魔法のこと、武技のこと、冒険者のこと、周辺国家のことと、様々な質問をした。その答えにアインズは満足そうな雰囲気を漂わせながら質問をしていた時、突然ルクルットが

 

「動いたな」

 

そう言いながら、さっきまでの顔と違い真剣な表情でいた。

 




ゾルディオ(どうやらルプスレギナは人間に対して嫌な態度はとらないみたいだな)
ルプスレギナ(あー、こいつらが絶望に包まれる顔が見たいなー)

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