怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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約束の果て

※誤字報告がありましたので訂正しました!


16話 天使

「まずは皆さんと取引をしたいことがあるので、すこしばかりお時間をもらえませんでしょうか?」

 

「我々と取引だと?ガゼフ・ストロノーフを差し出す代わりに命だけは助けてくれと言うのか?」

 

「……お時間をいただけるようでありがたい。さて、まず最初に言っておかないといけないことが一つ。皆さんでは私達には勝てません」

 

そう言うと、陽光聖典の者たちは笑い出した。

 

「無知とは愚かなものだ。我々のことを知って戯言か?それとも我々のことを知った上で気でも狂ったのか?まあ、どちらにせよその愚かさのつけを支払うことになるぞ」

 

その言葉を聞いてゾルディオは肩をすくめ

 

「やれやれ、本当の無知はどちらでしょうね?私達は貴方がたの戦いを全て観察していました。その私達が此処に来たということは必勝を確信しているから。もし皆さんに勝てないならあの男は見捨てた、そう思いませんか?」

 

「それに、お前と戦士長の会話をすべて聞いていたが・・・本当に良い度胸をしている」

 

そうモモンガが言った瞬間、周囲の空気が変わった。

 

「お前たちはこのアインズ・ウール・ゴウンと、そして我が友人がわざわざ手間をかけて救ってやった村人たちを殺すと広言していたな。これほど不快なことがあるものか・・・!」

 

ニグンはモモンガのただならぬ殺気を感じ怯えた。

 

「・・・ふ、不快とは、我々相手に大きく出たな魔法詠唱者(マジックキャスター)。で、だからどうした?」

 

「貴様らには、情報を聞き出した後に絶望と苦痛の中で死を遂げてもらう」

 

その瞬間、陽光聖典の者たちの隙間を縫うように、死を感じさせる風が通り抜けた。

 

「て、天使達を突撃させよ! こちらに近づけさせるな!!」

 

天使たちが一斉に剣を向け、突撃してきた。

 

「はぁ、やれやれもう少し頭が良ければ苦痛なく死ねたのに・・・。アインズさん、ここは私にお任せを」

 

「ああ、任せた」

 

ゾルディオは「キングブレスレット」に触れ、形状を鉄アレイのような形に変えた。そしてそのまま相手に向け、光を放った。

 

 

その瞬間、突撃した全天使が一斉に爆発を起こし、光になった。

 

 

「な!?何が起きたんだ!?」

 

「なに、簡単な話ですよ。全ての天使どもを内部から爆破しただけですよ」

 

陽光聖典の者たちは全員、何を言っているのかわからない様子だった。無理もない。今の一撃だけであの数の天使をすべて消すことは不可能だからだ。だが、目の前にいる怪物はそれをやってのけた。そのあまりにも常軌を逸した状況に、混乱しているのだ。

 

 

ゾルディオが使ったのは、「キングブレスレット」の能力の一つ、「ウルトラアレイ」を使用した。「ウルトラアレイ」は、敵に向け光を広範囲に放出し、光に触れた相手を内部から爆発させる武器であった。

 

 

「おや?これだけですか?何の面白みもありませんね」

 

「流石はわが友。あれぐらい造作もないな」

 

「ば、馬鹿な!くそっ!!て、天使達を再召喚しろ!四方から突撃させるのだ!」

 

そう言うと、天使たちが再び召喚され、今度はアインズ達の周囲を囲み、突撃してきた。

 

「どれ、今度は私がやろう。全員下がれ」

 

そう告げるとアルベドとゾルディオは下がった。

 

「砕け散るがいい。《負の爆裂(ネガティブ・バースト)》!」

 

アインズの周りに黒い波動がドーム状に発生し、範囲が広くなると同時に天使たちを飲み込み、またすべて消滅した。

 

「そ・・そんな!ありえん!こんなこと・・・」

 

「さて。これでお終いか?」

 

「くっ!《監視の権天(プリンシパリティ・オブザベイション)》、奴らを殺せぇ!!」

 

ニグンが命令すると、一体の天使が巨大なメイスで襲い掛かってきた。

その攻撃に動じないゾルディオは体で受け止めた。

 

「うーん、マッサージにもなりませんね」

 

そう言うと、ゾルディオは片手を天使に向け、赤い光線を放った。すると見る見るうちに天使は緑色に変色し、凍り付いたかのように動かなくなった。

 

 

ゾルディオが放った《赤色凍結光線》は、当たった相手をしばらくの間、凍ったかのように動きを止める特殊攻撃である。

 

 

「・・は?」

 

「では、解凍しよう。《獄炎(ヘルフレイム)》」

 

続いてアインズの指先から黒い炎が出され、それに触れた天使は一瞬にして炭となった。

 

「ちょっとアインズさん。解凍するのに炭にしてどうするんですか」

 

「すまんすまん、少し火力が高すぎたか」

 

「化け物が!」

 

「う、うわぁぁぁぁ!!」

 

そう言い、陽光聖典の者たちは一斉に魔法を撃ってきた。そのどれもがユグドラシルに存在するものばかりであった。だがアインズとゾルディオには全く効かなかった。

 

 

(アインズさん、やっぱり天使だけじゃなくて魔法もユグドラシルにあるものばかりですね)

 

(そうですね。)

 

 

メッセージで会話していると陽光聖典の一人は何を狂ったのか、スリングを撃ってきた。

そんなの、食らうわけねーだろ。

だが、鉄のスリングは全く当たらず、逆に跳ね返っていき、撃った本人の顔面に当たり、頭を吹き飛ばした。

 

「アルベド・・・私達があの程度の飛び道具で傷つく事は無い事は承知している筈だ。わざわざお前が・・・」

 

「――お待ちください、アインズ様。至高の御身と戦うのであれば、最低限度の攻撃等言うものがございます。あのような飛礫など・・・失礼にもほどと言うものがございます」

 

「ふはは・・・それを言ったらあいつら全員失格じゃないか?なあ友よ」

 

「ふふふ、全くですね」

 

 

(あ、あいつらは本物の化け物だ・・・ここは、使うしか・・)

 

ニグンは懐からクリスタルを出し

 

「お前達!最高位天使を召喚する!!時間を稼げ!!!」

 

(あれは、魔封じの水晶?)

 

「・・あれは魔封じの水晶か?」

 

「・・そう見えますね。それにしても最高位天使と言いましたね」

 

「それにあの輝きは超位魔法以外を封じるものだ・・・」

 

「アインズさん、ここは私がやりましょう」

 

「待つんだ、もしも熾天使級(セラフクラス)だったら・・・」

 

「そのときは《超越進化(ハイパー・エヴォリューション)》を使って速攻でけりをつけます」

 

「・・・すみません」

 

「いいんですよ、これくらい。アルベド、アインズさんにスキルを使用して守ってください」

 

「はい!」

 

アルベドはアインズの前に出ていつでもスキルを使える状態にした。さて、本当に熾天使級(セラフクラス)だったらこっちも本気を出さざるを得ないな・・・

 

 




ガゼフ「こ、ここは・・」
村長「ここはゴウン様の魔法で防御を張られた倉庫です」
ガゼフ「ゴ、ゴウン殿は?」
村長「戦士長様と入れ替わるように消えまして」
ガゼフ「そうか・・・」(さっきもらったアイテム・・・そういうことか)

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