怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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村人の叫び

※誤字報告がありましたので訂正しました!


2章 伝説の始まり
12話 もうあんな思いはさせない


模擬戦から一日がたち、転移二日目の朝

 

「zzz」

 

ゾルディオは自分の部屋で寝ていた。怪獣は寝ないと思ったが、そんなことはなかった。

寝ていると部屋をノックする音が聞こえ、ゾルディオはすぐに起き、

 

「はい、どうぞ」

 

すると一般メイドの一人、シクススが大きなカートに料理を運んできた。

 

「おはようございます、ゾルディオ様。朝食をお運びに来ました」

 

「ご苦労様です。そこのテーブルにお願いします」

 

「はい」

 

そう言うと、シクススは一人部屋のわりに大きいテーブルの上に料理を並べていった。

 

「ご用意できました」

 

「ありがとうございます。では、いただきます」

 

ゾルディオは料理を食べ始めた。ゾルディオが料理を口元?に近づけた瞬間、料理が消えた。それはまるで漫画やアニメのような光景だった。だがこれでゾルディオは食事ができるようだ。

 

 

(やばいやばい。食べられるか不安だったけど意外といけた!良かった~)

 

ゾルディオは食事ができるか確認していなかったため、朝食が来たとき内心かなり焦っていた。

 

(しかし、この料理めっちゃウマ!なにこれ!そこらのレストランよりうまいぞ!流石はナザリック!)

 

料理が食べられたことと、そこらのレストランよりうまいことに感動していたゾルディオはゆっくりと食事を味わった。

 

(・・だけど独りで食べるのはやっぱ寂しいな。モモンガさんが食べられる体だったらよかったんだけどな~)

 

そう思っていた時、偶然にもシクススと目が合い、ゾルディオはひらめいた。

 

「あ、確か・・シクススさん、ですよね」

 

「え!?あ、はい!私はシクススでございます!なぜ私の名前を?」

 

「いえ、ナザリックの配下の者は一応すべて確認しましたので」

 

「そうなんですか!名前を憶えていただきありがとうございます!それで、私に何かご用でしょうか?」

 

「はい。よろしければ私と食事をしていただきたいのですが」

 

「・・・え?」

 

「あ、もう食べてしまいましたか?」

 

「い、いえ!至高の御方の食事がまだなのに配下の者が食べるわけにはいきません!」

 

「ということは朝食はまだですよね?」

 

「は、はい」

 

「ではご一緒に食事をしましょう。独りでの食事はいかに料理がおいしくても、味気ないですし。それに、まだ一般メイドの方とは話したことありませんでしたし。丁度いいので会話しながら共に食事をしましょう」

 

「で、でも、それはゾルディオ様の・・・」

 

「いいんですよ。それに目の前で食事をされたら、お腹が減りますよ?」

 

「・・・で、では失礼します」

 

そう言うと、シクススはゾルディオの対面に座った。

 

「はい。あ、それとここでは畏まらなくて構いませんよ。友達と同じ感覚で結構ですよ」

 

「そ、それは!それだけは!」

 

「そうですか・・まあ無理に強いるわけにはいきませんね」

 

そう言いながら空いている、もう一つの皿とスプーンとフォークをシクススに渡し

 

「では食事をしましょう。あと、何か聞きたいことがあったら何でも言ってください」

 

「は、はい!では失礼して・・・」

 

こうしてゾルディオに食事を部屋に持っていく際に、メイドは一緒に食事をしなければならないという謎のルールがナザリック中に広まった。

 

 

 

朝食を終えたゾルディオはモモンガと一緒に《遠隔視の鏡》を試していた。

鏡とにらめっこしている骸骨ってシュールだな・・・。そう考えてたら突然、どこからともなく音が鳴りだした。

 

「お!できた!」

 

すると後ろからセバスが拍手をして

 

「おめでとうございます、モモンガ様」

 

「ありがとうセバス」

 

そうモモンガが感謝を述べ、鏡に顔を戻し操作していくと

 

「ん?昼間から祭りか?」

 

「・・・いえ、違いますね。これは・・」

 

鏡には村を襲っている騎士の姿が見えた。騎士が村人を次々と殺していっている。それは一言で言うなら「虐殺」だった。

 

「・・・ちっ!」

 

その光景を見ながらモモンガさんは舌打ちをした。どうしたというんだ?

 

「・・ゾルディオさん、これを見てどう思いますか?」

 

「え?なんか殺してんなーぐらいしか・・・!?」

 

「・・気づきましたか」

 

「はい・・・人が殺されるのに・・・何も感じません」

 

「・・私も同じです。これが異形種になった、っていうことなんですね」

 

俺とモモンガさんは、自分たちが本当に人間じゃない、異形の存在になったんだと実感した。

 

「・・・どうします?助けますか?」

 

「見捨てます。危険を冒してまで助ける必要はありません」

 

モモンガさんが言っていることは正しい。わざわざ助けに行く意味も、筋合いもない。

俺も同感だった。だが、その時、鏡に二人の姉妹が騎士に追われてる姿を見た。

姉のほうは妹を守ろうと背中を盾に騎士の剣で切り付けられていた。

この光景を見て俺は思った。誰かが無残に殺されるのはもう見たくないと。

かつての自分のように・・・。

 

 

ゾルディオはリアルで身内が亡くなったというが、実は殺されたのだ。それも家族全員だ。ゾルディオの父親は弁護士で、誰からも恨まれる仕事をしていた。そんなある日、家に父親に恨みを持つ男が入ってきたらしい。男は家族を皆殺しにし、自殺した。その時、ゾルディオは一人暮らしで被害にあわなかったのだ。命は助かったが、父も、母も、そして妹も失った彼は、これから一人で生きていくしかなかったのだ。

 

 

(・・同じことをするのは俺の目の前では絶対に許さん)

 

「モモンガさん、俺行きます」

 

「ゾルディオさん!?」

 

「誰かが困っていたら助けるのは当たり前・・・。たっちさんがいたら言いますよね」

 

「ゾルディオさん・・・。わかりました!行きましょう!」

 

そう言うと、モモンガはアルベドに完全装備で来るように伝えた。

だが、姉妹は今まさに、剣が振り下ろされようとしていた。

 

「モモンガさん!ゲートを!」

 

「はい!」

 

モモンガはすぐにゲートを開いた。

 

「先に行きます!」

 

「ええ、後から向かいます!」

 

そして俺はゲートをくぐった・・・

 

 




シクスス「ゾルディオ様はどうやってお食事されているのですか?」
ゾルディオ「それは秘密です」(わからない)

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