ダンジョンでLv.6を目指すのは間違っているだろォか 作:syun zan
席に着いてすぐ。
カウンターの方から恰幅のいい女性──多分、店長か何かだろう──がやってきて言い放つ。
「あんたらがシルのお客さんかい?ははっ、随分と似てるねぇ!姉弟かい?」
「似てねェ」
髪と瞳の色が近ェだけじゃねェか。
そンなもンで兄弟扱いされるンだったら基本黒髪黒目の日本人なンかほとンど家族になっちまうじゃねェか。
「そりゃ悪かったね!機嫌直していっぱい注文してくれよ!何でもそっちの子はアタシ達に悲鳴を上げさせるほど大食漢なんだそうじゃないか!じゃんじゃん料理を出すから、じゃんじゃん金を使ってくれよぉ!」
「「!?」」
コイツ、そンなに食うやつだったのか。と思ってクラネルの方を見ると、
「ちょっと、シルさん!僕いつから大食漢になったんですか!?僕自身初耳ですよ!?」
「……えへへ」
「えへへ、じゃねー!!」
と、背後にいる店員を見て喚いている。
あの店員、シルとやらがクラネルのことをそう伝えたンだろうな。
言い争ってるみてェだが、そうしねェうちにクラネルが負けるだろうな。
それまでに注文する料理を決めておくか。
……うン、この豚の丸焼きにするか。
「ふふ、冗談です。ちょっと奮発してくれるだけでいいんで、ごゆっくりしていってください」
「……ちょっと、ね。まあ、今日は一方通行さんの入団祝いでもあるから、ちょっと奮発するのも…」
よォやく決着したか。
「じゃァ、クラネル。オレはコレを頼むからオマエもさっさと決め」
「よ、予算3000ヴァリス以内でお願いします……」
…貧乏ファミリアの構成員には高すぎたみてェだな。
仕方がねェからクラネルに合わせて300ヴァリスのやっすいパスタを注文した。
それといらねェと断ったにも関わらず机に置かれた今日のオススメ(850ヴァリス)と
何なンだこの店……。
「えっと、一方通行さんはどこから来たんですか?」
「何処だってイイだろ。それより、ここのことをいろいろと説明してくれるンじゃねェのか?」
黙々と食べていると、クラネルがその雰囲気に耐えられなくなったのか、話しかけてきやがった。
が、ここで学園都市だなンて言ったところで向こうは分かんねェだろ。
なンてったってこことは別の世界かもしれねェンだからな。
コイツが向こうに行くようなことがねェ限り必要ねェ情報だ。
だが、こっちについての情報は今のオレにとって必要だからな。
「そ、そうですね、すみません。じゃあ、あの、何について知りたいんですか?」
「恩恵のことはクソガキから聞いたから、この世界についてと
「えっと、そんなことを言われても専門的な知識とかはないから、教えられないと思うけど…」
「なら、オマエが知ってる範囲で全部言え。」
「じゃあ、この街のことから説明しますね。……」
クラネルの話は質問したり、誘導したりしながら聞けば、ここで生きてくための最低限の収穫は得れそォだ。
少しこの世界の英雄譚が多い気もするが、まァそのへンはコイツの趣味の部分もあるンだろうな。
その部分は特に目を輝かせて語ってンだから。
にしても、このシルとかいう店員。
なンでさっきからここの席に座ってんだ?仕事しろよ。
そうやってクラネルの話をまとめながらこの店のおかしさについて考えていると、急に話が止まりやがった。
固まったクラネルの視線の先にはバラバラの種族の集団。
周囲の客も集団に気づいてざわめきを広げてやがる。
エンブレムを見りゃァそこに刻まれてンのは滑稽に笑う
クラネルの話が本当なら、
それは