ダンジョンでLv.6を目指すのは間違っているだろォか 作:syun zan
ダンジョンは、深くなればなるほどその
例えば、『キラーアント』のような厄介なモンスターを生み出したり。
例えば、モンスターを生み出す
だからつまり、当たり前のことではあるが、深く潜る冒険者ほどその前の段階で【ステイタス】のみならず、経験、武装、機転、などなど様々な面で地道に力を積み上げてきた、
だから。
「らァっ!」
「ふッッ!」
『ロォォォォォォォォォ!!!』
ありえない。
一つのナイフを除いて武装も貧弱。
機転もそこまで効く様子ではない。
見るからに経験不足の
現在位置11階層。
過去に私が、リリが他の冒険者パーティについて行った時に記録した最深到達階層と同じ階層。
この階層にもなれば上層最硬の防御力を誇る
『ロォォォ!!』
「よっ、とォ!」
『───ガッッ!?』
一方通行が高速で転がってくるハード・アーマードを躱そうともせず、白い手刀で切り払う。
相手の転がる速度も乗った一撃は、まるで甲羅などないかのように巨大な鎧鼠を両断する。
「行きますッ!」
そして、ハード・アーマードが真っ二つに割られてできた一本の道を、ベル・クラネルは駆け抜ける。
ベルが向かう先にいるのはシルバーバック。
その猿の顔を大きく歪ませて、
だが、その速度は、決してシルバーバックなら目で追うことのできない速度ではない。
……目で追えたからといって、対処できるわけではないが。
『グゥォォォ!!』
「らああああああッ!」
目の前に迫って来る敵に叩きつけるために、シルバーバックがその腕を持ち上げるまでに、ベルはシルバーバックの足元まで到達する。そして、黒刃が閃き、シルバーバックの巨体を切り裂いた。
「はッ!!」
『ギグゥゥッ!!』
「ふゥ、これでそっちも終わりかァ?」
「はい、なんとか」
上層でも深部は少数では潜れない。
彼らはそんな定説を簡単に覆してしまっている。
『ハード・アーマード』の甲殻を素手で貫き、『シルバーバック』を圧倒的な速度で翻弄し、討伐している。
……うん。この二人からは盗むのはやめましょうか。
ベル・クラネルは純朴そうですし、彼一人だけだったならあのナイフを盗み取ることもできたでしょうが……もう一人の方、一方通行とやらは、どっちかといえばこっち側、後暗い世界をよく知る目をしています。
多分、向こうも私の事を分かっているのでしょう。
こちらを露骨に警戒していますから。
とりあえず、今日一日彼らに媚を売って逃げ切り、稼業は明日から再開としましょう。
「流石です!お二方とも、お強いですね!」
「そ、そうですかね?リリルカさん。一方通行さんはともかく、僕はまだそれほどでもないと思うんですが……」
「私から見れば、ベル様も一方通行様もものすごーくお強いですよ……それはともかく、ここからは私の出番です。任せてくださいね!」
そう言って、私はモンスターから魔石をくり抜く作業に入る。
自慢ではないけれど、私はこの作業は上層でも随一の腕だと自負している。
正直、これほどの大型種を一気に解体するのはわりかし久しぶりなので少し不安もあるにはあったけれど、意外と体は覚えているものだ。
サクサクと解体を進めていけば、取り出す作業は割と直ぐに終わる。
途中、様呼びを嫌がるベル・クラネルに物事の道理を教えたりもしたけれど、さほどのタイムロスもない。
そうして、解体を終え、魔石をバックパックにまとめて、ベル・クラネルに声をかける。
「そろそろ、
「え!?もう?まだ僕にも余裕はあるけれど……」
「はい、お二人ならばまだまだ余裕はあるでしょうが、荷物の方に余裕がありません。お二人の活躍のおかげでリリのバックパックももういっぱいです」
「そォかい……じゃァしょォがねェな」
「そういうことならしょうがないね」
ふぅ、よかった。
これで、このコンビから離れられる。
一割も貰えないサポーターではあまり稼げませんから、一日を無駄にした気分です。
でも、今日の分は、明日からの
明日から頑張っていくとしましょう。