ダンジョンでLv.6を目指すのは間違っているだろォか   作:syun zan

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補助役《サポーター》

「それでは、お兄さん。どうでしょうか?リリを雇ってもらえませんか?」

「もうすぐ、パーティを組んでいる人が来ますから、その人と相談してからに……」

服を購入し、集合場所に指定されていた噴水の前に戻ると、意外と時間がかかっちまったようで、既にそこでクラネルがいた。

そして、クラネルは自分より一回りも二回りも小さな犬人(シアンスロープ)の子供に絡まれていた。

「あ、一方通行さん!待ってましたよ!」

「おォ、悪ィな。ちょっと店を見てまわってたんでな……で、そこの脇に控えてやがるちっこいのは一体どォしたんだ?」

「実は、この、リリルカ・アーデさんがサポーターとして参加できるパーティを探しているみたいで……僕達のパーティに入りたいと」

「サポーター?このちっこいのがかァ?」

サポーターは荷物持ちだ。

それがいるといないとで、冒険の効率が大きく変わってくる存在とのことらしィな。

実際、オレたちにとっても、荷物がいっぱいになったから引き上げるっつゥことは幾度かあった。

そこにサポーターがいれば、もっと長くダンジョンで探索ができるだろう。

しかし、まァ、オレたちであれば主に荷物は嵩の割に軽量な魔石になるだろォからそこまで力は要らねェだろォが、普通なら帰りはもちろン、行きも大量の水薬や、壊した時の替えの武器などで相当な重さの荷物を背負って動くことになる。

“レベル”や“ステイタス”による身体強化がある以上見た目で判断することはできねェだろォが、こんな小さなガキが、そういった荷物を持って動けるとは到底思えねェな。

しかし、そのちっこいのは、クラネルに対して相当売り込んできたらしく、クラネルは動けると判断しているみてェだな。

そう考えていると、ちっこいのはクラネル一人だった時の絡みようが嘘だったかのように手のひらを返し、後ろに下がりながら、

「そう、そうですよね、ほら、リリは見ての通りちっこいですし、【力】のステイタスも大したことはありませんし、お二人にはリリみたいなの必要ないですよね。リリは別の入れてくれるパーティを探すことにします。それでは」

「ま、待ってください!リリルカさん!」

そう言って去っていこうとする犬人をクラネルは引き止め、

「実際に僕たちのパーティにサポーターが必要なのは確かですし、僕は入れてみてもいいと思うんですけど……一方通行さんはどうですか?」

と言った。

おいおい、そこでオレに聞いてくンのかよ。

コイツがちゃんとサポーターとして動けるかどうかも分からねェし、急な態度の切り替えといい、気になることは幾つかあるが、まァ居ちゃ悪いってこともそンなにねェだろォな。

「イインじゃねェの?別に入れたって」

「ですよね!というわけですからリリルカさん。今日一日お願いしますね!」

「……は、はい。よろしくお願いします……」

ちっこいのは、入る先が見つかったっていうのにも関わらず、なぜだが力なく笑った。

 

 

 


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