ダンジョンでLv.6を目指すのは間違っているだろォか   作:syun zan

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登録

太陽が燦々と空に輝いてやがる……あァ、日光が肌に刺さるゥ。

時刻は12時少し前。

場所は人通りで混み合う西のメインストリート。そしてオレ達は走っている。

クソガキが出かけた後、冒険者用装備一式を身につけたクラネルに起こされたオレは、

仕方ねェからクラネルについて行く事にした。

クラネル曰くダンジョンに向かう前に一度ギルドに寄るとか。

たしか俺の冒険者登録をするンだっけか。

冒険者ねェ……確か、登録しねェと、本来はダンジョンに潜れねェンだったな。

向こうでの経験から、こういうのに登録するなンて気が進まねェが、その為にいちいちルール無視で動く必要性は感じられねェからな。

そんなことを考えながら街道を走っていると、見覚えのある店の前まできた。

「あっ!ベルさん!?」

「えっ、シルさん?」

そこで、店員─仕事もせずにオレ達と同じテーブルについてた奴だ─が、話しかけてきた。

クラネルも知り合いに話しかけられ、足を止めて振り返る。

すると、店員は、何か言いづらそうにしながら口を開いた。

「あの、先日はすみませんでした。不快にさせてしまったようで……」

「な、なんでシルさんが謝るんですか!?シルさんは悪くないじゃないですか!!」

そして飛び出してきた謝罪の言葉に、クラネルが慌てる。

身振り手振りを交え、大げさにやって店員は悪くないと説明するベルに、店員もクスクスと笑みをこぼした。

微笑ましげにベルを見ていたかと思うと、店員は何かに気づいたように手を打ち鳴らした。

「少し待っていてください」と言って厨房の方に消え、戻ってきた店員は大きめのバスケットを抱えていた。

「今日もダンジョンに行かれるんですよね?よろしかったら、貰って頂けませんか?」

「えっ?」

「私たちのシェフが作った賄い料理二人分です。味は折り紙つきですよ」

「いえ、でも、何で……」

「先日のお詫びと……差し上げたくなったから、では駄目でしょうか?」

「……すいません。じゃあ、いただきます」

「ええ、代わりに、これからもこのお店を利用してくださいね?私、お二人なら凄い冒険者になれると思ってますから」

「ありがとうございます!」

そう言って、クラネルが頭を下げると、店員は笑って奥へ戻っていった。

そのすぐ後から、

『シル、あれを渡しては貴方の分の昼食が無くなってしまいますが……それに、もう一人分はどこから?』

『あ、うん。私はお昼一食分くらいなら我慢できるし、もう一人分は誰のか確認せずに持ってきちゃったけど、一応今日は自分で作ってきたお弁当があるから……』

『ニャー!?し、シル。その弁当は自分で食べたほうがいいと思うニャ!』

『え?でも、そんなこと……』

『そうだニャ、そうだニャ。シルが勇気を出してコレに弁当を渡したんだニャ。その分のご褒美として、シルが作った弁当はシルが食べたほうがいいと思うニャ!別に、シルの料理を食べるぐらいなら空腹で半日過ごしたほうがマシとかそんな考えで言ってるわけじゃないニャ!』

『そんなこと考えてたんですか!?コレでもないし、料理もそこまでじゃありません!!』

と、厨房の方が煩くなってきていやがるが、特に気にすることでもねェな。

さっさとギルドに行くとするか。

 

──────

 

冒険者ギルド内部。

窓口に行き、職員に登録することを言えば

何枚も書類が渡され幾つかの質問を聞かれ、書いた書類を職員に渡した。

こういう事も向こうと重なってるなァ。

すると職員──クラネルのアドバイザーもやっているらしィ──が首を傾げる。

「うーん」

「エイナさん?書類に何か問題でも……」

問題ねェ……どォ考えても問題アリアリだろ。

本名も出身地も、その他諸々大分書いてねェ部分があるからなァ。

「いや、ベル君の連れてきた、えー、一方通行君だっけ?君の冒険者登録は完了したよ。担当も私がつくことになったし。少し気になることはあるけれど、今聞くべきことじゃないから」

問題ねェのかよ。

いくらなンでも酷く大雑把じゃねェか?

「まァ、登録できたっつゥンなら、別にイインだがなァ」

「……気になることが一体何なのかすっごく気になりますけど、聞かなかったことにします」

「うん、ありがとう。ベル君も一方通行君も。とにかく、君たちはパーティを組むわけでしょう?それで、折角だから、パーティプレイの教習を……」

うン?教習?

教習という言葉を聞いた瞬間、クラネルは立ち上がった。

そして、オレの手を掴むと外へ向かって走り出した。

「ありがとうございました、エイナさん!それじゃあ!」

「オイ、クラネル!どォした!?」

「エイナさんの教習は厳しくて長いんですよ!一方通行さん!」

うヘェ。

そりゃァ確かにめンどくせェことだ。

「じゃァ仕方ねェ!さっさとずらかっぞ!」

「ちょっ、二人共!ま、待ちなさああああい!」

職員が追ってくるが、一般人と【ステイタス】持ちじゃァ身体能力の差は大きい。

見る見る間に差が開いていく。

そして、見えなくなるかならねェかぐれェの所でクラネルは後ろを向いて叫ンだ。

「またいつかお願いしまああああああす!!」

「オレには別に必要ねェかンなァ!」

実際、オレはパーティらしい連携なンてする必要はねェからなァ。

さっさとダンジョンに行っちまうとすっか。


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