依存度の高い彼女   作:はるや・H

3 / 3
ようやく完結しました。しかし、これ解決してないだろ…


03 終幕

最初は、ただ孤独だった、それだけだった。

 

それを紛らわすための相手として、彼を選んだ。

 

けど、私の周囲との繋がりは、気付いた時にはもう切れていた。

 

誰も私を見てくれない。どうして皆、私を避けるの?

 

それが理解できなかった。そして気付いた時には、取り返しのつかない所まで、事態は動いていた。

 

「お願い、1人にしないで……」

 

願いはただ、それだけだったのに…

 

***

 

気付けば、朝になっていた。

 

「あれ?一体あの後何があったんだ……?」

 

俺は状況がさっぱり理解できなかった。周りを見回すと、確かにここは俺の家だ。

 

そして、俺は自分の身体を見る。どこにも傷はないし、どこも痛まない。

 

俺は自分の胸に手を当て、思わずこう呟いた。

 

「生きてる…?」

 

あれから記憶がない。あの時、彼女が俺の眼前に刃物を突き出して迫り、俺を押し倒した時から。

 

どうやら俺は無傷のようだ。色んな意味で。

 

どうして彼女があんな行動に走ったかは分からない。

 

おそらく、彼女は追い詰められて気が動転してしまったのだろう。

 

さて、肝心の彼女はというと、俺の足元でぐっすりと眠っていた。

 

幸せそうに寝息を立てて、すやすやと。

 

さて、どうしたものか、と俺は考える。

 

非常に幸運な事に、俺の両親は仕事が忙しく、当分は帰ってこないだろう。

 

俺は風邪を引かないよう彼女に毛布をかける。

 

…このままぐっすりと眠ってもらおう、という事だ。

 

そして俺は今後のことを考える。

 

どうやら、俺は大変な彼女を持ってしまったらしい、

 

目の前ですやすやと眠っている彼女を見て、俺はそう思う。

 

じゃあ別れるか?そんな答えは、今の俺は持ち合わせていない。

 

彼女を見捨てることなど出来なかったし、そんな事をしたら彼女は一体どうなってしまうのか…

 

考えるだけでも恐ろしい。

 

それに、俺はようやく気付いた。なんだかんだ言って、俺も彼女が好きなのだ。

 

そして数分後。

 

彼女が起き上がる。

 

「ふぁ…、あれ、もう朝?え…」

 

彼女は、目の前にいる俺の顔を見て、まるで死人が蘇って出てきたかのように驚く。

 

そして、その目に涙が浮かぶ。

 

「…良かった、無事で…、ぐすっ…」

 

そのまま泣き出してしまう彼女。

 

「まあまあ落ち着いて。」

 

俺は彼女を宥めるが、彼女はなかなか泣き止まない。

 

「ごめんね…、本当に。」

 

泣きながら彼女は謝る。

 

彼女の話を聞く所によると、俺はあの後気絶してしまったらしい。

 

そして目を覚まさなかった俺のことが心配だったが、気付いたら寝てしまったらしい。

 

「…もし死んじゃったらどうしようかと…」

 

そして彼女はひとしきり泣いた後、顔を上げて、俺を見つめながらこう言った。

 

「ごめんね。約束する、もう二度貴方を傷付けたりしないって。

 

だから、お願い…、1人にしないで。」

 

「…勿論だよ。俺はずっと君のそばにいるよ。」

 

俺はそう言って微笑む。あまりかっこよくは無いが、俺が出来るのはこれくらいだ。

 

すると、

 

「本当?ありがとう…。私達、ずっと一緒にいようね。これからも。」

 

そう言って、彼女はとびっきりの笑顔を見せ、俺に抱きついた。

 

俺はそっと彼女の頭を撫でながら思う。

 

…根本的に、彼女の心の闇を解決出来たわけでは無い。

 

けれど、少なくとも、今は俺が彼女の心の支えとなってあげられる。

 

多分、彼女は一生俺から離れないし、俺は彼女から一生逃れられない。

 

でも、それすらも、今の俺は受け入れられるような気がした。

 

人は言う。女とは麻薬のようなものだと。

 

一時の愛だけのつもりでも、気付けば虜になってしまう。

 

俺にとっても、彼女は無くてはならない存在になってしまった。

 

 

本当に…、

 

俺の彼女は依存度が高い。

 

 




ヤンデレって、書いてる方がゾクゾクするんですよね。快感を得られる。
初めは怖いと思っても、気付けば虜になっている。
これを読んでいるのだから、きっと貴方もその気持ち、共感できるはず。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。