『ランク外対戦開始』
機械音声が響くと瞬時に八幡と三浦は転送された。
「じゃあヒキオ、いくし」
最初は偶然にも極近い位置に転送された2人。三浦はメイントリガーであるスコーピオンを構え八幡と相対した。
「スコーピオンか」
八幡は孤月を1本引き抜き構える。
「っ!?……」
三浦は八幡と目が合った瞬間に三浦は全身が粟立つのを感じた。圧倒的強者ということを肌にヒシヒシと感じた。
「はぁっ!!」
気合いとともに三浦は切りかかるが
『戦闘体活動限界 緊急脱出』
三浦が振り切る前に切り抜けられていた。
「も、もう1度!!」
10本勝負をした結果、八幡の10勝0敗で三浦を負かした。
「ヒキオ強すぎ、どこのチームなん?B級?」
「俺はチームとかに所属してない、というかできない。S級隊員だから」
戦闘を終えた八幡達はラウンジに来ていた。
「エ、エス級?ヒキオが?」
「会った時に分かったが知らなかったか。そういう各ランクの隊員の事は調べなかったのか?」
半分呆れながら八幡が聞くと
「あーしらの隊の参謀様の命令で『なれないランクの隊員の事なんて知る必要ないわ』って言って調べてなかった。知って損はないって言っても、『ブラックトリガー何て規格外の力を使ってるだけよ?参考になるはずないじゃない』って言われたし」
八幡はぽかーんとするが気をとりなおして
「もしかしてだが、ポジションや武器もその参謀が決めてるのか?」
「そうだけど、何で?」
「はっきり言うが、三浦にはスコーピオンは向いてない」
さっきの戦闘を思い出し八幡は言う。
「スコーピオンはその軽量さと形状を自由に扱えるのが強みだ。だけど三浦はスコーピオンを振る時に必要以上に体に力が入っている。体から出しいれするような基本も上手く扱えてるとは言えない。というよりもイメージが追いついてないな。気づいてないだろうけど出すところを間違わないように視線が一瞬そこを向いて何をしたいか丸分かりだ」
八幡はチラッと三浦を見ると真剣に聞いていた。
「アタッカーで行くなら三浦は孤月が良いんじゃないか?シンプルで使いやすい。余計なことを考えなくてすむからな」
「それってあーしが馬鹿って言いたいん?」
ジト目で睨まれる。
「うっ……ちげぇーよ。人には向き不向きがあるってだけだ」
一緒八幡は怯んだがあらためて言うと
「やっぱりかぁ、村上先輩にも言われたんだよねー『お前は孤月のが向いてる』って」
三浦は思い出しながら言う。
「村上先輩って鈴鳴のか?」
「そそ、あーしら鈴鳴支部に所属してるから」
「来馬隊だけじゃかったのか」
八幡が呟くと
「あーしらの葉山隊ができたのは割と最近だしね。チーム作ってもランク戦には出てないから知らなくても当然かも」
「それも参謀の考え?てか葉山?」
八幡は葉山と言う名前を平塚から聞いたのを思い出し
「そう、『最低限のポジションも揃ってないのに挑むなんて無謀だわ、無様に負けるだけよ』らしい。同じクラスの葉山隼人が隊長してる隊。ちなみに参謀ってのは隼人がご執心の雪ノ下雪乃。」
三浦の喋る参謀の真似からまさかとは思っていたが本当に雪ノ下が参謀だったとは。無知な参謀とは笑えると思いながら呆れたのだった。
「てか意外だな。俺みたいなのがさっきスコーピオンの扱いボロクソに言ったのにキレないなんて」
「何で?こっちが相手してもらってる立場なのにそれは失礼っしょ」
それにと続け
「ヒキオと最初に目があった瞬間に今のあーしじゃ勝てないって理解しちゃったから」
八幡は三浦のことを見直すと
「三浦は強くなるぞ、相手との力量差が分かる人は強くなる」
「そっかぁ……まぁあーしなりに頑張るし。今日はありがとうねヒキオ」
「おう……あっそうだ、三浦」
帰ろうとしてた三浦を呼び止める八幡
「なに?」
「学校では俺に話しかけるなよ、目立ちたくない」
三浦は一瞬呆気にとられるが
「分かったし、でもたまにこうして本部で話しかけるから」
悪戯っぽい笑みを浮かべると三浦はじゃあね〜と去っていった。
三浦に甘々ですいません