特別S級隊員比企谷八幡   作:ケンシシ

6 / 59
葉山隊①

「(今日は滅多にない完全な非番だからなぁ……たまにはランク戦でも観にいくか」

 

今日も平常通りに学校を無事にボッチで過ごした八幡。長らく顔すら出さなかったランク戦を覗きに行こうかと考える。

 

「(桐絵は玉狛に篭ってれば良いんだがなぁ)」

 

若干遠い目をしながらそう思う八幡であった。

 

「ヒッキー!!」

 

そして帰ろうとした時に遠くで誰かを呼ぶ声がする。

 

「(校舎内で叫ぶとかうるせぇな。これだからリア充は……)」

 

「ちょ、待つし!ヒッキー!!」

 

「(とっとと行くか)」

 

そう考えると八幡は校舎から出て行った。

 

「ヒッキー……」

 

無視され続けた少女は途方にくれた。(注:八幡は誰が呼ばれていたか気づいていません)

 

奉仕部にて

 

「ゆきのん……昨日教わったクッキーを渡そうと思ったんだけど、その人に無視されちゃった」

 

「え?」

 

色んな意味が込められた『え?』である。昨日平塚が奉仕部に連れてきた依頼者の由比ヶ浜からの言葉に雪ノ下は驚くと同時に内心フツフツと怒りが湧いてくる。

 

「どういうことかしら?」

 

「さっきなんだけど、ちょっと目を離したらヒッキー帰っちゃてて、慌てて追いかけて呼んだんだけど無視された」

 

「そのヒッキーとは誰かしら?」

 

「同じクラスの比企谷くん」

 

名前を聞いた瞬間さらに雪ノ下の怒りは燃えたぎった。由比ヶ浜は雪ノ下の 咤に臆せず格好良いとまで言ってくれた子だ。そんな純粋な彼女を傷つけた八幡が許せなかった。

 

「雪ノ下、ちょっと良いか?」

 

どうしようか話そうとしたところに平塚がやってきた。

 

「ちょっと確認したい事があってな……」

 

「ごめんなさい、由比ヶ浜さん。少し行ってくるわ」

 

しばらくして雪ノ下は戻ってきた。

 

「由比ヶ浜さん、彼に仕返しをしてみたくはないかしら?」

 

「え?」

 

 

 

 

ボーダー鈴鳴支部

 

「こんにちは」

 

「お、いらっしゃい雪乃ちゃん。今日は早いね」

 

ボーダーにいくつかある支部の1つである鈴鳴支部。鈴鳴第1こと来馬隊隊長の来馬辰也が迎える。

 

「はい、紹介したい人が……由比ヶ浜さん」

 

「お、お邪魔しまーす」

 

雪乃の後ろからピンク髪の少女が顔をだす。

 

「えーと、彼女は?」

 

「はい、ポジションはスナイパーで私達の隊に入って貰おうかと。葉山君にはこれから伝えるつもりです」

 

「葉山君とは同じクラスの由比ヶ浜結衣です」

 

「あはは、また賑やかになるね」

 

人の良すぎる笑顔を浮かべて言う来馬。

 

「えっと、大丈夫ですか?」

 

「それを決めるのは雪乃ちゃん達だよ」

 

「っ!……はい」

 

「そういえば村上先輩と三浦さんは?」

 

「2人ならボーダー本部にランク戦を観に行ってるよ」

 

「そうですか」

 

由比ヶ浜は話についていけない上に緊張していたが

 

「こんにちは!!」

 

「あっ葉山君!!」

 

「.結衣!?」

 

総武でも割と有名な2年F組葉山隼人がやってきた。そして雪ノ下は大した説明もなく

 

「彼女を私達の隊のスナイパーとして迎えるわ。良いでしょう?」

 

「あ、あぁ僕は歓迎するよ」

 

身内で隊を固めたい葉山はちょうど良く時期をみて由比ヶ浜を誘おうとしていたのだ。

 

「それじゃ軽くボーダーについて説明していこうか」

 

そして来馬は雪ノ下達が来た時と同じようにボーダーについて説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

ボーダー本部

 

「ん?比企……谷?」

 

「え?……どちら様ですか?」

 

「え?同じクラスの三浦だし!あーしの事覚えてないん?」

 

八幡と同じクラスの三浦優美子が顔を合わせていた。

 

「いや、お前だけじゃないぞ。何ならクラス全員覚えてない」

 

「うわぁ……正直引くし」

 

「俺は学校ではボッチだからな。関係ない」

 

さらに呆れた目になる三浦を尻目に八幡はその場を離れようとするが

 

「ちょっと!!何でヒキオはここにいるん?」

 

八幡を止めるとリア充十八番のあだ名でさっそく呼ぶ。

 

「俺がボーダー隊員だからだ。何だヒキオって」

 

「テキトーにつけたあだ名」

 

「お、おう」

 

さらりと言われ何も言えなくなる

 

「ヒキオって強いん?今あーし暇してたからランク戦するし」

 

「あぁ……今のお前じゃ正直俺には勝てないよ」

 

三浦のペースに乗せられた八幡はつい馬鹿正直に答えてしまい

 

「へぇ、良いからやる!!」

 

好戦的な笑みを浮かべる三浦に引きずられていく八幡だった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。