『作戦を伝えるわ……』
海老名と宇佐美の解析により相手のトリガーのネタは分かった。小南ですら真正面から戦っては到底太刀打ちできないと判断した。
『……以上よ』
『『了解……』』
三浦隊に面々は初めての人型ネイバー、しかも出力からして黒トリガーを倒す……緊張していたが
『何を緊張してるのよ、大丈夫よ。あたしが勝てると踏んだから作戦を伝えたんだから』
小南からそう言われ三浦隊の面々はようやく緊張が解け普段の顔付きになり
「行くわよっ!!」
小南の合図とともに全員が散解した。
「メテオラ!!」
「アステロイド!!」
「「ハウンド!」」
小南はメテオラをばら撒き、三浦はアステロイドを、材木座と小町はハウンドを放った。
「ふむ、中々の弾幕ですが。それでは私には届かない」
高速で軌道を描くオルガノンが弾幕を切り裂くが
「っむ……」
一発の弾丸がヴィザの肩を貫いた。相模のライトニングによる狙撃である。
「南!退きなさい!!」
小南が言うが
「まずは狙撃者から行きましょう」
確実にオルガノンの外から攻撃してくる相模に狙いを定めたヴィザはそちらに向かうが
「ハウンド!」
「アステロイド!」
グラスホッパーを使いヴィザの真正面に立った三浦が再びアステロイドをそしてヴィザの下から狙うように材木座がハウンドを放ち
「まさかオルガノンの死角をついてくるとは思いませんでした」
それらをヴィザは剣を重ね盾のようにして防ぐ
「はぁっ!!」
そしてヴィザの上から双月斧を小南が振り下ろす。
「スナイパーも囮の良い作戦ですが、まだ足りませんね」
ヴィザは盾には使っていなかった剣を起動させ小南を切り裂き
「ブラッディナイトメアスラッシャー!!」
「旋空孤月」
直後に材木座と三浦の旋空孤月が発動するが
「ぐっ」
「くっ」
2人は小南を切り裂いた後の刃によりベイルアウトしてしまうが
「メテオラ」
野生の感でギリギリベイルアウトを免れていた小南はヴィザの前に落ちながらメテオラを起動する
「っ!!」
そんな落ちてきた小南をヴィザは仕込み刀のオルガノン本体で切り裂くが、小南はメテオラを撃ち出さずに一緒に斬り裂かれるように配置しており一瞬ヴィザの視界が0.になる。
「バイパー!!!!」
「お見事……」
そして小町のバイパーのフルアタックを喰らったヴィザは戦闘体が解けた。
「っ!」
「ヴィザ翁まで!?」
ランバネインとヴィザがやられたのが伝わりハイレインとミラは驚愕していた。
「ミラ、2人を回収しろ」
「了解です……」
そしてハイレインは八幡に目を向ける。そこにはマステマを再生成した八幡がいた。
「(もうトリオンも残りわずか……敵が1人になった今のうちにケリをつける)」
「アステロイド!」
八幡はハイレインに向かいながらアステロイドを放つ、1つの準備をしながら
「無駄だ、お前では俺に勝てない」
「それは勝ってから言うんだな……『アイビス』」
お互いに相殺しながら戦っていたが八幡は途中でアステロイドをやめ、準備していたアイビスを放つ。そしてグラスホッパーを起動し
「ぐっ……とてつもないトリオンの弾丸だな」
ハイレインは八幡から放たれたアイビスの一撃をギリギリのラインで相殺しており
「っ、何とか耐えたか」
「スラスターON!!」
グラスホッパーとスラスターで瞬間的にスピードを跳ね上げた八幡はほんの一瞬無防備になったハイレインの首を飛ばした
「っ!」
そこで八幡のトリオン体も解除された。
「見事なものだ、ヴィザと打ち合いアレクトールと撃ち合い奇襲すら防いだ……」
「そりゃどーも」
ハイレインは賞賛すると同時にその恐るべき強さをひしひしと感じていた。
「ハイレイン隊長!!」
ヴィザとランバネインを回収したミラが戻ってきたが
「隊長、こちらに玄界勢力が集まってきています」
「お兄ちゃん!!」
「比企谷!!」
そこにヴィザに最後止めを刺した小町と相模もきた。そして元々攻撃には向かないミラだけでは不利と判断したハイレインは
「仕方ない、ミラ。撤収するぞ。予定通りヒュースは置いていく。」
「了解……」
撤退を決めた。
「見事だ、玄界の戦士達よ」
そしてハイレインはミラの作ったゲートに消えていき
「さようなら、金の鳥」
「っ!!」
手に入らないなら殺せと、ミラは八幡に奇襲の攻撃をする。
「ガハッ……」
心臓や頭は避けたものの八幡は体の複数箇所を刺された。
「このっ!?」
小町はミラを倒そうとするが、ミラはゲートに消えていき、暗かった空が晴れていった。
「ふぅっ……城戸さん。もう大丈夫だ。敵の追加とかはないよ」
迅は城戸にそう通信すると
「迅、今回の結果はお前の予知ではどの辺りのできだ?」
そして迅はひと息つき
「2、3番目ってとこかな」
「そうか、分かった。ご苦労」
民間人
死者0名 重傷者16名 軽症者60名
ボーダー
死者0名 重傷者1名 行方不明者20名
拐われた隊員などを0にすることは叶わなかったがそれでも被害は大幅に抑えられた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!死んじゃやだよ!!小町を1人にしないで!!」
戦場の一角で小町は兄に必死に呼びかけていた。