「これはマズイな……」
自分の担当を掃除していた迅は八幡の絶望的な予知をしてしまい冷や汗を流す。
「忍田さんちょっといいか?」
本部に通信を繋げる迅。
「こちら忍田。どうした迅?」
「A級以上で割ける戦力はいない?このままだと比企谷がヤバい」
しかし
「あの比企谷が?……分かった。何とかしてみるが……他の区も緊急事態でな。比企谷の区以外には異常なトリオン兵が集中したうえに人型も現れた」
それを聞いて迅は自分たちはまんまと嵌められた事を知った。
「この大規模侵攻……最大の狙いは超高トリオン持ちの比企谷だったみたいだ……俺が読み違えたばかりに……」
もちろん他の隊員や一般人も標的には違いなかったであろうが1番の目的は八幡。迅は八幡が危機に陥る可能性をベイルアウトのない『マステマ』の使用と考えていたが、それ以上に敵の狙いが八幡と言う事を読み違えていた。
「(比企谷……耐えてくれ……)」
そう祈るしかない迅だった。
「当たれ!当たれ!当たれ!」
「幾ら撃っても無駄だし」
由比ヶ浜はひたすら撃ち続けるが三浦に近づくのは切り落とされ、隙をつこうとしたのはちゃっかり相模が撃ち落としていた。
「ねぇ結衣?結衣は一度でもヒキオとちゃんと話したことある?比企谷八幡って呼んだことある?」
「な、ないけど!普通にヒッキーで分かるじゃん!」
三浦は盛大にため息をつき
「結衣は自分勝手に考えすぎだし、ヒキオは学校じゃほとんど人と話さないのにいきなしあだ名で呼んだって気づくわけないじゃん。あげく勝手に勘違いして、ボーダー裏切って……」
「煩い!!優美子には私の気持ちなんて分からないよ!!」
由比ヶ浜の攻撃を落としながら近づく三浦。
「分かるわけないし!あーしは超能力者でもなければ神様でもないし!嬉しいのも悲しいのも苦しいのも、全部話してくれなきゃ分かんないし!じゃないと助けになれない……」
「煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い」
まるで三浦の慟哭なんて聞きたくないと言わんばかりの由比ヶ浜
「しっかり聞くし!」
ついに由比ヶ浜の近くにきた三浦は由比ヶ浜を殴り飛ばした。
「あーしは今でも結衣の友達だと思ってる!だから今バカなことしてる結衣を止める!そしてあーしに結衣の気持ちを話して欲しい!そしてやり直そ?」
「う、煩い!優美子は私の敵!敵!敵!」
まるで言い聞かすように叫ぶ由比ヶ浜。
「私は優美子みたいに強くない!!優美子に私の気持ちなんて分からない!!そして私からヒッキーを奪った……そうだよ優美子は敵…
…」
そんなどんどん壊れていく由比ヶ浜を見て、自分の言葉が何1つ届かないことに三浦は悲しくなったが
「せめてあーしが止めないと」
八幡との約束でもある由比ヶ浜は自分が止めると言うのを
「ごめん、結衣」
ついに三浦は果たした。由比ヶ浜は三浦の旋空で戦闘体を解除され、三浦の指示で相模に撃ち抜かれ気を失った。
その頃他の戦場では
「ちっ、ガキばっかかよ。外れたな」
東には黒い角を持ったブラックトリガーが現れた。
「思ったより少ないな、拍子抜けだ」
「これから増えるでしょう」
南部には2人の青年が出現していた。