「失礼します」
「遅い!なにをもたもたしとる!?」
三雲たちが会議室の中に入るとさっそく鬼怒田が怒ってきた。
「待たせたな、ぽんきち」
「何でお前がおる!?」
らいじん丸に乗ってついてきた陽太郎に突っ込む。
「時間が惜しい、早く始めてもらおうか」
城戸が言うと
「我々の調べた予想だと近く大規模な近界の侵攻があると予測できた。先日は爆撃型のネイバー1体の攻撃で多数の被害がでている。我々としては万全の備えで被害を最小限に食い止めたい。平たく言えば近界民の君としての意見を聞きたい」
忍田が続けて空閑に聞く
「近界にもいくつも国があることはわかってる、いくつかの国には遠征もした。だがまだデータが足らん。知りたいのは攻めてくるのはどんな国かどんな攻撃をしてくるかと言う事だ。元は近界民とはいえ入隊した以上協力してもらう」
鬼怒田が現状を伝えると
「なら俺の相棒に聞いた方が良いかも」
空閑がそう言うと空閑の傍からレプリカが現れた。
『はじめまして、私の名はレプリカ。遊真のお目付け役だ』
レプリカの存在を知っていた人以外は驚いていたが
『私はユーマの父ユーゴに作られた多目的型トリオン兵だ。私の中にはユーゴと旅した近界のデータがある。恐らくそちらの望むデータもあるだろう』
だが、とレプリカは言い
『その前にボーダーにはネイバーには無差別に敵意を向ける者もいると聞く。私自身まだボーダーを信用していない。そこでボーダーの最高責任者殿には私の持つ情報と引き換えにユーマの身の安全を保証すると約束してほしい』
そして城戸は
「良いだろう、ボーダーの隊務規定に従う限り空閑遊真の身の安全と権利を保証しよう」
その言葉に虚偽がないか見抜いた空閑とレプリカは
『確かに承った。それではネイバーについて教えよう』
そして得られた情報をもとに更に会議が進められた。
夜、ボーダー本部屋上にて
「ようぼんち揚食う?」
トリガーの調整を鬼怒田らと共にしており、休憩していた八幡のもとに迅がやってきた。
「頂きます、何か用ですか?…あっ、それとあいつらはどんな感じですか?」
ぼんち揚を貰いながら八幡が聞くと
「三浦隊の皆は小南にしごかれてメキメキ実力をつけてきてるよ。八幡はあのトリガーを使う気か?」
「もちろんです、こんな時のためにあれを作って貰ったんですから」
ぼんち揚をボリボリしながら言う八幡。
「確かにお前が本気を出せば被害は大幅に減るだろうけど……その場合の最悪の未来はお前が死ぬかもしれないぞ?死ななくても捕まったりとか」
「大丈夫っすよ。そうならないためにあんなトリガーを作ったんですから。それに今は昔と違ってたくさんの仲間がいるじゃないすか」
自信有り気に言う八幡。
「そうか……そうだな」
迅は安心したかのように笑うとその場を去っていった。
数日後、総武昼休み屋上
「最近ヒキオ、玉狛に来ないけどどうしたん?」
昼ご飯を食べ終えた三浦が八幡に聞く。ちなみに大規模侵攻が起きると聞かされてから三浦隊と八幡はすぐに確認できるよう、食事の場所を屋上にしていた。
「もう俺の専用トリガーの調整も終わったからな。今日からは顔出す予定だ」
「ならまた腕を上げたウチのスナイパー技術を見せてあげる」
相変わらず相模はすぐに調子に乗りやすいようだ。
「昨日、小南嬢に叩き斬られまくって泣いておったのは誰だったか」
「木崎さんに殴り飛ばされて無様晒してた厨二に言われたくないし」
材木座と相模は調子に乗りやすいという共通点があるからか妙なコンビネーションの良さを出しており玉狛メンバーからは漫才師扱いされている。
「先輩に厳しく当たられる後輩、しかしめげずに気持ちをぶつけていく!……
『キマシタワー!!』
✳︎注意 ただの模擬戦の風景です。
そうしていると
「始まったみたいだな」
本部を中心にゲートが大量に発生しているのが見えた。
八幡は今は総武の仲間や玉狛のメンバー、鬼怒田などの開発室の仲間に太刀川などの本部の仲間に囲まれている。もう誰も傷つけさせない。そう誓い
「トリガー起動」.
トリガーを起動した。