特別S級隊員比企谷八幡   作:ケンシシ

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入隊③

「そうかそうか、千佳ちゃんと言うのか。凄いトリオンの才能だね。ご両親に感謝しなきゃだよ」

 

「は、はい」

 

三雲達がスナイパーの訓練場に飛び込むと意外な光景が見えた。雨取は椅子に座り、鬼怒田がべた褒めしていた。

 

「鬼怒田さんはロリコンだった!?」

 

「離れて暮らしている娘さんを思い出しているのだろう。ちょうど同じくらいじゃないか?」

 

ロリコンの疑惑をもつ佐鳥に東が説明する。

 

「千佳!!」

 

「あっ、修くんに遊真くん」

 

「……む?」

 

三雲達が千佳に駆け寄る。

 

「三雲?……そうか玉狛に転属しおったのか。こらメガネ!ちゃんと面倒みらんか!八幡が防いだから大事にはならなかったものを!!」

 

「は、はい!すみません」

 

三雲に気合いを入れた鬼怒田は

 

「そうだ、八幡。これから会議じゃ、行くぞ」

 

「お……分かりました。じゃあな、雨取に三雲達も」

 

そして鬼怒田と八幡は訓練場を後にした。

 

 

 

それから玉狛の新人の噂は一気に広まった。

 

『戦闘訓練で1秒を切った奴がいる』

 

『玉狛にはトリオンモンスターがいる』

 

『B級下位でA級の風間隊長と引き分けた』

 

「3人が注目されるのはこれからだ」

 

迅は電話相手に楽しそうに告げるのだった。

 

 

 

玉狛新人の3人が鮮烈なデビューをしてから数日たった。

 

「ふーむ、満点だと訓練1つで20点か、前回の戦闘訓練と今回の合わせてプラス100点……となると4000点超えるには……」

 

戦闘訓練の地形踏破、隠密行動、探知追跡の訓練を空閑は軽々と満点を取っていたが、

 

「合同訓練は週2回、満点を取り続けて19週間くらいで4000点になるね」

 

横についていた時枝が教える。

 

「19週間って何日?」

 

「133日」

 

「そんなに待てんなぁ……となるとランク戦で稼ぐことになるわけか」

 

そしてランク戦について教えてもらった空閑は

 

『ドンッ!!』

 

『バンッ!!』

 

『ズバンッ!!』

 

空閑いわく、新三馬鹿をテンポよく倒した空閑は

 

「訓練よりこっちのが断然早いな」

 

「取りすぎて心を折るなよ」

 

レプリカにたしなめられながらもランク戦を始める空閑であった。

 

 

 

「あれが空閑の息子か」

 

「そう、空閑遊真。なかなかの腕だろう?」

 

司令室で訓練の様子を見ていた林藤や城戸

 

「風間、お前の目から見て奴はどうだ?」

 

「確実なことは言えませんが明らかに戦い慣れた動きです。戦闘用トリガーを使えばマスタークラス以上8000点以上の実力はあるでしょう」

 

風間が率直に答える。

 

「なら一般のC級隊員と一緒にしたのは不味かったかもしれないな。木虎や小町ちゃんみたいに最初から3000点超えさせて早めにB級にあげるべきだったな」

 

忍田が呟く

 

「そうしたかったのは山々だけど、城戸さんに文句言われそうだったからな〜」

 

「なぜ奴はブラックトリガーを使わない?昇格するならS級になるのが一番早いだろう」

 

林藤の言葉を無視して城戸が言う。

 

「またまたぁ、色々難癖つけてブラックトリガー取り上げるくせに〜。ブラックトリガーの使用は許可しないとか言っちゃってさぁ」

 

城戸はそれには答えず

 

「あの比企谷並みのトリオンモンスターにブラックトリガー持ちのネイバーを組ませてどうするつもりだ?」

 

「べつに何も考えてないよ、俺や迅がいつも何か企んでいるとか思ってない?……チーム組むのもA級目指すのも全部本人達が決めたことだ」

 

林藤は一息つくと

 

「千佳の兄さんと友達が近界民に拐われてあの子は2人を取り戻したい。遊真ともう1人のチームメイトの修はそれに力を貸してやってるだけだ」

 

「色々バカげてるな、近界の特徴から探すのは困難を極め、生きてるかも怪しい。現実的ではないな」

 

城戸が冷たく言う。

 

「だから助けに行くのをやめろと?可能性で論じれることではないだろう」

 

「世界は子どもが想像するより残酷だと言うことだ」

 

「でもまぁ、救出だろうが復讐だろうが目的があった方がやる気だすでしょ」

 

忍田、城戸、林藤が話していると

 

「どもども、遅くなりました。実力派エリートです」

 

迅がやってきた。

 

「よし、揃ったな。本題に入ろう。今回の議題は近く起こるネイバーの大規模侵攻についてだ」


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