「今日はよろしくお願いします、風間さん。オペレーター頼む、三上」
「あぁ、こっちこそ頼むぞ。比企谷」
「比企谷君、よろしくね」
八幡は奉仕部とやらに辟易しながら防衛任務に来ていた、恐らくもういかない。今組んでいるのはA級4位風間隊。No.2アタッカー、スコーピオン使いの風間蒼也率いる隠密戦法が得意な部隊でオペレーターは三上歌歩である。本来は別の隊が風間隊と防衛にあたる予定だったがその隊が来れなくなり、急遽比企谷が組むことになったのだ。
「あれ?いつもより目が腐ってるんじゃない?」
「お、おい菊地原」
この2人はアタッカーの菊地原士郎とオールラウンダーの歌川遼である。
「気にするな歌川、今日は自覚するレベルで腐っている」
「珍しいな、いつもはさらっと流すのに、何かあったのか?」
「えぇとですね……」
そして八幡は今日あった事を話した。
「うわぁ……流石は比企谷だね」
「比企谷……」
菊地原と珍しく歌川がドン引きしている。恐らく八幡の作文の内容に
「雪ノ下……」
「雪ノ下建設……ボーダーのスポンサーの1つだな」
三上が聞いたことがあったのか思い出そうとしたところに風間が答える。
「あぁ、それで聞き覚えが……」
三上がそう呟き
「まぁ直接関係があるかは断定できないけどな」
八幡がそう言ったところに
「!!っ、ゲート反応!誤差0.61、これは……」
「どうした、三上」
ゲートの指示を送っていた三上が何かに気づいた。
「反対側にも同じくゲート反応があり、何故か鳩原先輩のトリガー反応と未承認のトリガー反応が3つあります!!」
「風間さん、風間隊はそっちに向かってください。万が一のカメレオンと菊地原のサイドエフェクトが必要でしょう」
「分かった、こっちは任せたぞ。行くぞ菊地原、歌川」
八幡の提案に即座に判断を下した風間は隊の2人に指示し
「「了解!!」」
3人はトリガー反応の出た地点に向かった。
「さてヤりますか」
「比企谷君、開いたゲートは2つ。バンダー10体にモールモッドが5体出現」
「了解」
そう返事をした八幡は孤月を2本抜き
「『旋空孤月』」
獲物を探しているトリオン兵たちの近くに降り立つついでに孤月を二振りする。ボーダーのアタッカーが多く装備している攻撃トリガー『孤月』それに瞬間的に攻撃を拡張できる専用のオプショントリガー『旋空』を合わせた斬撃は5匹のうち計4匹のを一瞬で切り裂いた。
「……あとはバンダーか」
八幡に気づいた残りの一体は攻撃に移る間もなく弱点である目を切られ動かなくなった。
モールモッドから少し離れた位置にいるバンダーはすでに砲撃体勢に入って八幡目掛けて一斉砲射をするが
「『シールド』」
2本の孤月を納刀していた八幡はサブトリガーから防御系トリガー『シールド』を起動し砲撃を防ぎきると
「『バイパー』」
もう片方で発動させていた変化弾と呼ばれる射撃トリガーである『バイパー』を発動させる。弾の軌道を自分のイメージで変化させられるのが最大の特徴だがその弾の軌道をリアルタイムで変えられるのはボーダーの中でも極僅かである。ちなみぬ八幡の射撃トリガーを使う時に生成されるトリオンキューブはボーダートップクラスのトリオン量を誇る二宮のそれを大きく上回っていた。
「三上、次のゲートはないか?」
「お疲れ様、今は開いていないわ」
幾重にも別れたバイパーの弾丸は10体いたバンダーを残らず沈めた。
その後あまりゲートは開かずに防衛任務の終了の時刻がきた。
「任せて悪かったな、比企谷」
終わりになり立て込んでいたであろう風間隊が戻ってきた。
「これくらい大した量じゃないですから。それより鳩原先輩は?」
「民間人を連れての近界への密航だろう。俺たちがついた頃にはすでにもぬけの殻だった」
「そうですか……」
数日後に鳩原の所属していた二宮隊は密航事件に関しては伏せられたままにB級へと降格させられた。