「八幡……この女誰?」
小南が冷たい声で聞いてくる。バトルモード寸前である。
「あ、えと、うちは相模南で比企谷くんのクラスメイトで文化祭実行委員で一緒で……」
「相模、落ち着けし」
パニックになっている相模に三浦が呆れながら言う。
「桐絵、何を考えてるのか知らないけど、こいつは俺にプリントを持ってきてくれただけだ」
「そ、そうなんです」
そう言われ小南は落ち着き
「てっきり八幡が小町ちゃんいない隙にいかがわしい事でもしてるのかと……」
「アホか」
そんなやり取りを見た相模が
「あ……2人は恋人同士?」
そう聞いた瞬間
「「はぁ?」」
「ひぃっ」
「(以外と打たれ弱いのな、相模)」
2人同時に睨まれた相模は怯み、三浦は微笑ましそうに見ていた。
「だ、誰がこんなのとこ、恋人なんて……」
「そうだぞ、相模。桐絵みたいな美少女に俺が釣り合うわけないだろ?」
「なっ…なっ…」
照れで小南が驚いていると
「ヒキオ、あーしは?」
「ん?三浦も美少女だろ。てかボーダーの女性みんな美人だよな」
ボーダーはひっそりと顔での判断をしているのではないかと疑うなと八幡が考えてる横で
「はぁ……」
「やっぱりヒキオはヒキオだし……」
2人が呆れていた。
「小南さんて強いんですね」
「まぁね、ボーダーでも私レベルはいないわね」
しばらくして、流石の相模も慣れてきたようだ。
「ほんと、あーしと材木座の2人がかりでもかなわないからね」
ちなみにまぐれで一本取れた後に三浦と材木座の2人は地獄を見た。
「三浦さん、何か学校より活き活きしてるよね」
楽しくて仕方ないっといった感じの三浦に相模が言う。
「うー……うん、今楽しくて仕方ないし。始まりはアレだったし、嫌な事もたくさんあったけど、あーしはボーダーが好き」
「ふーん、そうなんだ」
相模は三浦が羨ましく見えた。
「どしたん?……相模もボーダー入りたくなったとか?」
三浦がからかい半分に聞くと
「うん、今の三浦さん見てると……ね」
「良いわね、相模さん!!入りましょ!!」
ボーダー随一の戦闘狂が勧誘を始めてしまった。
「え……と、うちでもできるかな?大して運動神経もよくないし、頭もそんな良いわけじゃないし」
「大丈夫、大丈夫。優美子も最初は全然だったし」
「ぐっ……」
笑いながら言う小南に沈む三浦。
「何か入隊日は9月が最後なんだけどズレにズレて特例で10月、ちょうど総武の文化祭終わりくらいだから。大丈夫、入隊したら私が鍛え上げてあげるから」
「(ボコボコにするだけになりそうだし)」
小南の鍛え上げる発言に不穏な影を感じる三浦。そこに
「ほら飯できたぞ」
夕ご飯を作っていた八幡が戻ってきた。
「八幡!!新しいボーダー隊員よ!!」
相模の肩を抱きながら言う小南に
「え!?うちまだ、入ると決めたわけじゃ……」
「おい、桐絵。相模が困ってんぞ」
ごめんごめんと言いながら相模を離す小南。
今回の相模の比企谷宅訪問は相模に良い刺激になったのか翌日からさらに頑張りを見せた相模。その集大成である文化祭がいよいよ開幕である。