特別S級隊員比企谷八幡   作:ケンシシ

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戸部最後の活躍かも。あと八幡の運命は収束する(むしろ酷くなる)


相模南①

『男子実行委員 比企谷八幡』

 

防衛任務上がりで遅れてLHRに来た八幡が見たのは黒板に書かれたその文字だった。

 

「あの、先生これは?」

 

八幡が担任に聞くと

 

「あぁ誰もやりたがらなくてな、ちょうどお前は防衛任務も放課後にはなかったようだし、入れたんだが不味かったか?」

 

一応三浦が防衛任務などを理由に止めようとしたが、肝心のシフトは知られていたため失敗したらしい。

 

「あぁ…….いえ、大丈夫です」

 

当面の間は開発室でも八幡の出番はなく、しばらくは暇なのは事実。しかも平塚とは違いクラスの担任に嘘をついてまで断るのは気が引けるので受けた八幡。

ちなみに葉山達の件は裏切り者として認知されている。最初は拐われたという事にする案もあったが目撃者も多い上に一応は正規隊員が3人も、拐われただとそれではボーダーの技術を根幹から疑われかねないことから却下された。根付が相当に頭を悩ませていたが、少しずつ火は雪ノ下家に移っていってるというから、彼の調整力が並大抵ではないことが伺える。三浦によると夏休み明け数日はさすがに重い空気だったが、戸部というクラスメイトがみんなに元気だそうぜといった感じでふれまわり、明るさを取り戻したらしい。

 

「ありがとう、比企谷。じゃあ次女子決めるぞ」

 

案の定、女子も誰もやろうとはしない。しかも相方は自分達のアイドルであった葉山をボコした人間だ。誰もやりたがらなくて当然だろう。三浦と海老名は隊の関係もあり離れるのはできるだけ避けていた。

 

「相模さんとか良くね?ほら相模さん人気だし」

 

「え、えぇ?うちぃ?」

 

同じクラスの戸部がみかねたのか、相模を推薦した。確かに相模は三浦と海老名がボーダーに打ち込むようになってからクラスでは存在感がでていた。

 

「そうだよ、南やりなよ」

 

「相模さんならきっと出来るって」

 

周りから口々に相模を推す声が上がる。

 

「(うわぁ……)」

 

比企谷はクラスメイトの団結力に引いていた。

 

「じゃ、じゃあ。うちがやります」

 

「おぉ、そうか。じゃあ比企谷と相模。実行委員頼むぞ」

 

そしてクラスの出し物は喫茶店というありふれたものとなった。

 

放課後になり最初の文化祭実行委員の集まりが行なわれた。

 

「こんにちはぁ、生徒会長の城廻です。文化祭の生徒会の役割はあくまでフォローです。そして実行委員長は2学年から実行委員から選出してもらいます」

 

ぽわぽわとした雰囲気を纏った生徒会長の少女が言うが、誰もそんな大役をやりたがらない。

 

「誰かやる気のある奴はおらんのかぁ?」

 

文化祭顧問の厚木が言う。ちなみにもう1人の顧問は家庭科の先生だ。

 

「えと、誰もやらないならうちがやります」

 

そう控えめに手を上げたのは相模南だった。

 

「じゃあ次は副委員長だね」

 

「なら同じクラスの比企谷でええじゃろ。同じクラスの奴がそばにいればやりやすいと思うぞ」

 

飛び火された八幡はたまったもんじやまないがあれよあれよと言う間に……

 

「じゃ、じゃあ第1回文化祭実行委員会を始めます」

 

八幡とは違い自分から手を上げたにも関わらず相模はガチガチに緊張していた。

 

「では最初に役員決めから行きたいと思います。宣伝広報をしたい人!!」

 

相模が言うが手があがらない。

 

「え、え……えと」

 

「はぁ……」

 

徐々にテンパり始める相模を見かねた八幡は一枚の紙を相模にだけ見せる。

 

『宣伝で色んなとこにいってもらう』

 

「あ……色んなとこに宣伝でいけます!!」

 

それをきっかけにチラホラと手が上がり宣伝広報の役員が決まっていった。

 

「では次に……」

 

それから八幡のフォローのおかげで相模は何とか役員決めを行う事ができた。八幡もまさかボーダーで根付などの活躍を見ていたのが役立つとは思わなかった。


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