「はぁ、別に俺に了解なんて取る必要ないぞ」
気構えている三浦達に八幡はあっさり告げる。
「小町が隊に入りたいならそうすれば良い」
ボーダーに入ったから、俺が口だすことじゃないと言い。
「じゃあ小町ちゃんがB級に上がったら正式に結成だね」
「うむ、楽しみである」
海老名と材木座が言うと八幡は立ち上がり
「三浦、少し話がある」
「う、うん」
三浦も立ち上がると八幡についていき
「三浦は葉山隊の事は知っているのか?」
外に出て川を眺めながら八幡が聞く。
「うん、あーしらがいった林間学校のボランティア先で3人は密航した」
「そうか……」
八幡は息を吐くと
「三浦、もしあいつらが敵になったらお前は、戦えるか?」
八幡が聞くと
「ど、どういうことだし」
「あいつらは人類の裏切り者だ。次会うときは敵の可能性が高い。そんな時にお前は友達だった人を相手して戦えるか?」
振り向いた八幡を見て三浦は死を覚悟した。八幡にその気はないだろうが酷く冷たい目をしていた。
「あ、あーしは……」
少し震えながら答えようとする三浦に
「……まぁ安心しろ、お前が出来ないなら俺が始末をつける」
それは由比ヶ浜への、いや恐らく葉山隊の死刑宣告も同然だった。
「戦うか戦わないか、まだ時間はある。ゆっくり考えとけ」
「わ、分かったし……」
三浦が何とか言うと
「なら良い、小町をよろしくな」
そう言うと八幡は中に入っていった。
「っ……はぁはぁ」
三浦はその場に腰を抜かした。由比ヶ浜と戦うかもしれないという事と初めてみた八幡の怜悧な眼。その2つで緊張が極限まで高くなったいたのだ。
「結衣……」
思いだすのは短かったが由比ヶ浜との楽しい日々。
人懐っこくて可愛いけど、自分の考えを押し殺して人に合わせすぎるのが、たまに傷。
「あーしは……」
しかし雪ノ下と出会ってから由比ヶ浜は変わりだした。最初は自分の意見を少しずつだが言うようになっていった。悔しいとも思うし基本的には雪ノ下が嫌いだが、その点は感謝していた。
「結衣に何もできてない」
改めて考えると三浦は由比ヶ浜に何もしてやれてない。三浦に相談しなかった由比ヶ浜にも非はあるのだが、三浦はそう考えた。
「なら今あーしに出来ることは……」
色々な事がぐるぐると頭を回ったが辿り着いた答えは……結衣を止める事だけだった。
「ならこんなとこで泣いてる場合じゃない…….」
三浦は立ち上がると玉狛支部に入っていった。
「お?案外早く覚悟決めたみたいだな」
八幡が入ってきた三浦に言う。
「あーしをナメんなし、結衣はあーしが止める」
「じゃあ頑張れ、俺はここで1度家に帰る」
そう言うと八幡は玉狛から帰っていった。