特別S級隊員比企谷八幡   作:ケンシシ

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比企谷小町⑤

「今日はお昼までは自由時間だ。昼からは夜にキャンプファイヤーのための準備をする」

 

嵐山が指示を出すと一旦解散となった。

 

そして

 

「冷たーい!!」

 

川に入った小町が叫ぶ。近くに川があるということで水着を持ってきていたメンバーは着替えて川に遊びにきていた。

 

「気持ち良いし」

 

夏に入ってからずっと玉狛で修行していた三浦も癒されているようだ。

 

「あいや、やはり女子もここに居ったか」

 

そこに厨二言葉が響く。どうやら男子も考えていたことは一緒だったようだ。

 

「おぉ……」

 

「賢、あんまジロジロ見ると蹴られるよ」

 

何にとは言わないが感嘆の声をあげる佐鳥に時枝が言う。

 

「冷たい川の中で絡む時枝くんと佐鳥くん、2人の体温は冷たい水の中なはずなのに高まっていき……」

 

『キマシタワー!!!!』

 

「ちょ、姫菜!擬態しろし」

 

「あはは、海老名さんは相変わらずだね」

 

暴走する海老名を見て笑う綾辻。

そうしていると

 

「あっ……」

 

「ゆ、結衣!!」

 

雪ノ下達も川に来たが三浦達を見た瞬間

 

「あっち、行こう。ゆきのん」

 

三浦の声を無視するように由比ヶ浜は雪ノ下達を連れてその場を立ち去った。

 

「優美子さん……」

 

「ん、大丈夫だし」

 

学校でもボーダーでも由比ヶ浜に徹底的に無視されている三浦は酷く落ち込んでいた。

 

「きっと結衣もいつか分かってくれるって」

 

海老名は三浦がどれだけ由比ヶ浜の事を大切に思っていたか知ってるからか慰める。

 

「わーってるし……ん?あれって……」

 

顔を俯かせていたが、海老名の声で顔をあげると遠くに

 

「あ、留美ちゃんですね」

 

遠くに1人川を眺める鶴見を小町が確認はした。

 

「どうしたの?」

 

綾辻が話しかける。

 

「……朝起きたら、みんないなかった」

 

「そっか……」

 

中々辛い出来事に言葉をなくす綾辻。

 

「……よし、留美ちゃんも一緒に遊ぼう!!」

 

周りに他の小学生がいないことを確認した小町は鶴見にそう話しかける。

 

「……あ」

 

「おぉ!!遊ぼうぜ!!」

 

佐鳥が明るく話しかけるが

 

「ロリコン?」

 

「ぐっはぁ!!」

 

馴れ馴れしすぎたのか、佐鳥にキツイ一撃がみまわれる。

 

「ふふっ……」

 

そんな佐鳥をみて初めて笑みを浮かべる鶴見に周りは同じように笑みを零した。

 

 

 

それから時は経ち夜になった。

 

「キャンプファイヤーとか久々だし」

 

赤々と燃える炎を見ながら三浦が言う。

 

「私の林間学校は大規模侵攻で潰れちゃいましたから、ちょっと羨ましいです」

 

優しい目で火の周りを踊る小学生を見る小町。

 

「今度は私たちでキャンプファイヤーすればいいし」

 

「俺たちもいくぜぇ!!」

 

「はい!!、あれ?嬉しいのに……」

 

小町は嬉しそうに返事をし涙を流していた。

 

「我らの分の食料を持ってきたでござる、あいや小町嬢どうしたでござる?」

 

「えへっ、何でもないです!」

 

食べ物を持ってきた材木座と時枝が加わりさらに賑やかになりそうだったが……

 

【バチバチバチッ!】

 

明るく照らされていた広場に黒い影……近界民が通るゲートが出現した。

 

「ゲ、ゲート!!」

 

三浦の声が響く。

 

「小町ちゃんと海老名さん、綾辻はすぐに小学生の避難を!!材木座くんと三浦さんは護衛を頼む。俺たちは出現したネイバーを片付ける」

 

嵐山はすぐにその場にいたメンバーに指示を飛ばす。

 

「了解!!」

 

全員が返事をするとすぐに行動を始めた。

 

「みんな、こっちに!!」

 

幸いなことに小学生はあまりの衝撃にか散り散りにならずにすんでいて、綾辻の声を聞くと慌ててそちらに走りだした。

 

「きゃっ!!」

 

しかし足をほつれさせた女子生徒が1人転んでしまった。

 

「あっ!?」

 

それをみた小町が助けに行こうとしたが

 

「大丈夫?」

 

「あっ……鶴見さん」

 

「早く逃げよ?」

 

近くにいた同じ班の鶴見が手を差し伸べ一緒に立ち上がるがモールモッドが迫っていた。

 

「手出しはさせん!!」

 

「こっちくんなし!!」

 

材木座と三浦が鶴見達に近づこうとしていたモールモッドを切り裂く。

 

「早く逃げるし」

 

「行こう」

 

鶴見は三浦に一礼すると女子生徒と一緒に走りだした。

 

 

 

「何でこんな場所にイレギュラーゲートが……」

 

バムスターを得意のツインスナイプで撃ちぬきながら佐鳥が喋る。

 

「わからない、だけど迅さんは予知していた。可能性は低かったらしいけどね」

 

「だから俺たちが呼ばれたんですね、念のために」

 

嵐山と時枝がバンダーを集中砲火しながら話し

 

「あれは、雪ノ下先輩達!?」

 

モールモッドを倒しながら木虎の驚愕の声が上がる。

 

「3人がゲートの中に!?」

 

佐鳥が叫ぶが

 

「くっ……」

 

追おうとするがトリオン兵にその気はないだろうが邪魔をして近づけず、3人が通ったゲートは閉じてしまった。

イレギュラーゲートの発生と3人の近界への渡航はすぐに本部に報告された。

 

『近界民の大侵攻が確定しました』

 

イレギュラーゲートの発生により大侵攻が発生するのが確定した事を迅が予知した。


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