特別S級隊員比企谷八幡   作:ケンシシ

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比企谷小町③

「君達だったのか、ボーダーからの協力者と言うのは」

 

三浦達を確認した平塚が言う。

 

「比企谷はどうした?いつも君達といると聞いていたのだが」

 

平塚が聞くと

 

「兄ならボーダーの任務でいません」

 

「兄?君は……」

 

「比企谷八幡の妹の比企谷小町です」

 

小町が自己紹介すると

 

「お兄さんとは全然似てないのね。あんな腐った男の妹なんてさぞ大変でしょう。同情するわ」

 

雪ノ下が心底八幡が嫌いという風に言うと

 

「そうですか、兄は貴女達より凄い人達に認められてる自慢の兄です。貴女達が何と言おうと気にしませんよ」

 

小町がツンとした感じにいう。

 

「今日は別に喧嘩をしに来たわけじゃないんだから落ち着いて」

 

小町と雪ノ下の間に嵐山が入る。

 

「ふん……」

 

雪ノ下は不機嫌そうにだが引き下がると

 

「ではこれからの予定を説明しよう、遅れたが私が総武の責任者の平塚だ」

 

そう言うと平塚が日程などを説明し始めた。

 

「俺達が皆の手伝いをさせて貰う、短い間だけどよろしくね」

 

嵐山がボランティアを代表して挨拶をする。

 

「ボーダーの人だ!!」

 

「格好良い!!」

 

嵐山隊を見て子ども達から歓声が上がる。

 

「では先生、よろしくお願いします」

 

「はい」

 

小学校の先生に場を譲り嵐山は退くと

 

「みんなはこれから山道を通って……」

 

 

 

小学生の全斑がオリエンテーリングに出発したあと小学生の教師がこちらにきて

 

「まず頼みたいのは今日の夕ご飯作りの手伝いです。山頂に道具などは用意してあります。登るついでに出来れば子ども達の様子もみて欲しい」

 

「わかりました、じゃあみんな行こうか」

 

嵐山を先頭にボランティア組みも登り始めた。

 

 

しばらくして

 

「あの子達どうしたのかな?」

 

「少し迷ってるぽいすね」

 

迷ってる風の子ども達を見て由比ヶ浜が言うと佐鳥も反応する。

 

「ちょっと様子を見てきます」

 

葉山がその生徒達に近寄る。

 

「どうしたのかな?」

 

「あ、ボランティアのお兄さん!!」

 

「ちょっと答えがわからなくてぇ」

 

何人かの娘が甘えたように言う。

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

葉山の方を見ていた佐鳥に時枝が聞く。

 

「いや、あの子何で離れてるのかな?っと」

 

視線の先には葉山と楽しそうに喋る集団をつまらなさそうに眺める少女がいた。

 

「仲間外れにされてるみたいね、彼女」

 

雪ノ下が言った時に

 

「チェックポイントは見つかったかな?」

 

葉山がその少女に話しかけていた。

 

「……まだ」

 

「名前はなんて言うのかな?」

 

「鶴見留美」

 

小さく名乗ると

 

「そうか、留美ちゃん。みんなと探せば見つかるかもよ」

 

そう言って葉山は鶴見を集団の中に連れて行く。するとさっきまで楽しそうにしていたのに

 

「早くいこぉ」

 

葉山の前だから取り繕っているものの、ギクシャクしていた。

 

 

「どんな所でもあるんですね、あぁいうの」

 

小町が言うと

 

「当たり前じゃない、学年など関係なく、みな等しく人間なのだから」

 

雪ノ下の言葉を最後に一行はその場をあとにした。


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