[完結]師匠はヤムチャ!突然来たドラゴンボールの世界   作:ゆーこー

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第93話 ギニュー激怒!お前はそんなもんじゃないだろう!

俺にはわからなかった。

コウは俺に何を求めているのか?

だが、自分で見つけなければならない。それが親というものだろう。

今、目の前には俺に殺意剥き出しの息子、バビディに操られているコウがいる。

そして先程、界王神様達は次の部屋に移動した。

あといくらダメージを受けたら魔神ブウが復活してしまうのだろうか…そんなことを考えてる暇は無い。

コウの狼牙風風拳が、片腕しか使えない俺に襲い掛かる。

必死に片手で対抗するも、二本の腕を完全に守りきることは縮まった実力差では不可能だった。

仕方無い。相手が手ならこちらは足だ!

「狼牙風風脚!」

リーチも長く威力の高い狼牙風風脚で応戦し、一時有利にたった。が、俺の足をコウは掴まえた。そのままハンマー投げの要領で地面に俺を叩き付け、とどめに気円斬を放った。

すぐに起き上がったので気円斬は辛うじて避けられたが、一瞬でも起き上がるのが遅れていたら下半身と上半身が見事に真っ二つになっていただろう。

不味い、このままだと負ける。

 

「この、甘ったれがぁぁ!」

突然、次の部屋に進む円上の扉から大声が聞こえた。

俺とコウはそちらを向いた。そこにいたのはギニューだった。お前、界王神様達と下に行ったんじゃ無かったのか。

 

ギニューは俺の元に来るなり平手打ちをした。

「な、何するんだよギニュー!」

「コウ、少し待っていろ!俺はこいつと話がある。ライア、さっきからなんだお前の戦いは!」

「仕方無いだろう。見ての通り片腕をやられたんだ」

「その片腕の負傷もお前が甘いからだ!貴様、それでも親か!本気で殴ってでも子を正しい道に進ませるのが親ではないのか!」

「やってるさ、何なら蹴りだって入れてる」

「今のコウとライア、お前らの決定的な違いはなんだと思う!」

「殺る気か?」

「外れでは無いが違う!覚悟だ!今のコウはお前を本気で倒そうという覚悟がある!それに対してお前は、うっかり殺さないように、最小限のダメージで倒そう、息子を本気で殴るのか…等と明らかに手加減した攻撃をしているぞ!」

 

反論できなかった。確かにその通りだ。今の俺の攻撃には覚悟が無い。生半可な攻撃。

「そんな心で勝てるものか!子を導けるものか!やれ!全力で!」

 

俺の中でひとつの決心がついた。

「待たせたなコウ。再開しよう。本気で」

ブーストモード。

俺の本気の拳で目覚めさせてやる。今、ギニューにされたようにな。

 

「そうだ、それでいい。では、俺も下に行くぞ」

今度こそ完全に二人きりになった。

どうやらコウは、何もしないで待っていてはくれなかったようだ。

初めて見る構えだ。右手はデコピンの形を取りこちらに向けられている。左手は右手首を支え、右足を後ろに下げている。まるで大きな衝撃に備えるように。

「スーパー…デコピン!(射)」

コウがデコピンをすると、強力な、しかしとても小さく濃縮された気の塊が恐ろしい早さでこちらに飛んできた。右手から二つほど気弾を出し迎撃するも、コウの気の塊は意図も簡単に俺の気弾を消滅させ、威力を変えずこちらに向かってきた。

命拾いをした。コウは自分の腕を地面と平行に出していた。もし、これが少し上に行けば俺の心臓を貫いていたであろう。コウの身長が低かったお陰で、気の塊は俺の左足に命中した。

どうやらコウは大きく気を消耗したらしい。俺は残った右足に力を込め、思い切り地面を蹴飛ばしコウに接近した。そして、右手でコウの顔を思いっきり殴った。この一撃でコウは倒れた。その時の顔は満足気だった。

 

数秒後、コウの額からMの文字が消え、目を覚ました。

俺は気付いた。コウは色んな強敵と全力で戦いたかったんだと。そして俺は、コウの戦闘力の低さからまだ早いとやらせてあげて無かったことを。

「父さん…僕、ごめんなさい」

「気にするな、父さんこそ悪かった何も分かってあげられなくてな」

「父さん、その傷僕がやったんでしょ?大丈夫?」

「痛いさ、お前の技ほんっとに効いたぜ。父さん嬉しかったよ」

 

もし、この時俺が目を覚ましたばかりのコウを両手で抱き抱えて、言っていたなら相当様になっていたことだろう。しかし、左足と左腕をやられている俺には肩を借りて話すことしか出来なかった。

 

 

 




オリジナル技
スーパーデコピン(射)
作中で構えの説明はしてあるので省略。
技として近いのは魔貫光殺砲である。
魔貫光殺砲が二本指に身体中の気を集めるのに対して、こちらは人差し指一本に集中しているため、さらに気が濃縮され、魔貫光殺砲で考えるなら威力は二倍分となる。
そうして作られたピストルの弾程度の大きさの気の塊をデコピンで弾くことにより発射する。
また、バリエーションとして(打)、(空)が存在する。(射)は、もっとも確実にダメージを与えられるがエネルギー消費が激しい。他のバリエーションについては出てきた時に説明いたします。
スーパーデコピンの威力は本人が持つ通常の気の数十倍に昇る。

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