[完結]師匠はヤムチャ!突然来たドラゴンボールの世界   作:ゆーこー

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締めくくり編
本編最終回 神とオオカミ?


 破壊神ビルス、聞き覚えがある。転生前、映画公開間近で待ち遠しかった覚えがある。それも残ってる記憶の中でのことだから、もしかしたら本当は見たことあるのかもしれない。

 

「ビルス様、今回は随分早いお目覚めですね……」

 

界王神様がおびえている。映画予告ではビルスの情報が不確かだ。地球を破壊しに来たのだろうか?

 

「しょうがないじゃないか、君が死にかけて僕も死にそうだったんだから。それに、夢の中でスーパーサイヤ人ゴッドってのが出てきて僕といい勝負してたのに、丁度そこに倒れてるやつっぽいのが奪い去る夢を見てね」

 

最悪だ、完全に俺は敵か何かの類だ。ブウを倒して安堵する暇もなく地球もろとも破壊されちまうなんて畜生‼

 

ビルスの付き人、ウィスと呼ばれていた人が俺の元に来た。ほいっといって杖を俺に向けると、たちまちにケガが治った。その後ヤムチャさんも復活した。

 

「さて、せっかく早起きしたんだ。僕のこと楽しませてくれないと……なんもなくて詰まんないこんな殺風景な星、破壊しちゃうよ?」

 

不味い、俺はこいつの情報を持っていない。予告編の記憶だけを頼りにするがなぜかひょうきんなダンスをするベジータの姿しか出てこない。気も感じ取れない。どうすりゃいいんだ?

いや、考えてる場合じゃない。ここで俺たちまで死んだらかろうじて守った地球がなくなっちまうんだ。意を決して構えを取る。俺が構えると、スッと横にヤムチャさんも構えてくれた。

 

「よくわからんが、やるしかないってことなんだな?」

 

「はい、多分」

 

「ふーん。君たちなかなか強そうだけど夢で見たスーパーサイヤ人ゴッドとかに比べると全然強そうじゃないんだよねぇ」

 

そういうとビルスは一瞬で間合いを詰めてデコピンで俺を吹き飛ばした。まったく反応出来なかった。ヤムチャさんも次の瞬間には軽く蹴っ飛ばされていた。こいつは、ブウ戦直後に相手するレベルじゃねぇぞ。

俺は飛ばされた地点から繰気弾を地面に潜らせビルスの足元からそれを繰り出した。

が、それをいとも簡単に手でもみ消した。

 

「面白い技だね。でもそんな威力じゃ僕の一割にも遠く及ばないよ」

 

こんどはかなり距離があったのに、さっきと同じで俺が反応出来ない速度で接近されヤムチャさんと同じ場所へ吹っ飛ばされた。

 

「ちくしょう‼ フュージョンさえ使えれば‼」

 

ヤムチャさんが嘆く。俺もそう思う。そうすればぎりぎり反応できるくらいのレベル差にはなれるかもしれないのに。

 

「フュージョン? そいつをすればもう少しは強くなるのかい?」

 

「ああ。そうさ」

 

「ふーん、じゃあ待ってあげるから早くそれしてよ、フュージョン」

 

「だが待ってくれ、フュージョンは一度使うともう一度使うまでに待ち時間があるんだ。俺とヤムチャさんはブウとの戦闘から連闘でまだちょっと時間が必要なんだ」

 

「それはあとどのくらい?」

 

「五分くらいだ」

 

「五分かぁ…期待値的に微妙だなぁ。まあいいや、待ってあげるよ」

 

俺たちに五分の猶予が出来た。その間に作戦会議を行った。

 

「どうするライア。フュージョンしたらすぐ界王拳使って賭けるしかねぇよな?」

 

「それしかないですよ、一瞬にかけましょう」

 

五分後、無事フュージョンした俺は界王拳十倍にブーストをかけて突っ込んだ。

 

「真狼牙風風拳‼」

 

しかし、この真狼牙風風拳も両手で完全にいなされている。まだだ‼ もっと、もっと早く‼

二倍、三倍……そんなもんじゃない‼ 俊足、音速、光速の先だ‼

足元はいつの間にかお留守になっていた。だがそこを狙われることはなかった。

 

何故なら……今、破壊神ビルスは自分を今にも喰らわんとする今までと桁違いの切れ味

を誇る狼牙風風拳をいなすのに集中していたからだ。

 

「驚いたな。僕のスピードになかなか近いスピードじゃないか」

 

だが一撃たりとも有効打が出ていない。俺がやられたら終わりなんだ‼ ふり絞れ!

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ‼」

 

一発だけ、ビルスの顔を掠めた。

 

「あらまあ」

 

「ほぉ……」

 

ビルスの右頬からわずかに血が流れる。

 

「大したものだよ、神の気も持たないのにここまでやるなんてね」

 

そういうとビルスは今までとは比べ物にならないスピードで回り込み、俺の首をたたき気絶させた。

 

「寝不足とはいえこの僕に一矢報いたんだからね」

 

 

 

 

 

 

 

 次に目が覚めた時にはフュージョンは解けており、ビルスは眠っていた。

となりにいたウィスという人が俺たちが目を覚ますのを待っていたようだ。

 

「お二人とも大変すばらしいものを拝見させてもらいましたよ。最後のあれ、どんな技です?」

 

最後のあれ、きっと必死になっていた狼牙風風拳のことだろう。

 

「狼牙風風拳を超えた真狼牙風風拳、それがさらに洗練され神に牙をかけた。差し詰め、神・狼牙風風拳ってとこかな」

 

ヤムチャ4さんがそう言った。読みは変わらないがその名前が妥当だろう。俺も頷いた。

 

「神・狼牙風風拳ですか。あれがおひとりで出せるようになれば時期破壊神候補にもなるかもしれませんねぇ」

 

「ははっ、結構ですよ。俺なんか今は死んでるけど悟空たちに比べたら大したことないんですから」

 

ヤムチャさんは笑ってそう答えた。ここでウィスさんが少し笑った後にこちらを向いて真剣な顔になった。

 

「ところで、あなたはいつまでこの世界にいるおつもりですか? ライアさん」

 

この人も、俺が異世界から来たことを知っているのか⁉まあ界王神様とつながりがあるならそれもあり得るか。

 

「お望みならば今すぐにでもあなたの本来いた世界にお返しいたしますが」

 

「えっ!?」

 

「なんだって⁉ お、おいよかったじゃないかライア」

 

俺は複雑な気持ちだった。俺という存在が消えたらこの世界はどうなるのか、もう一つの未来のことも気になる。家族に会いたいもののこの世界にいた期間のほうが今となっては長い。いきなりこの世界から去るのも名残惜しかった。

 

「ご安心を、あなたが元の世界に戻ってもこの世界がなくなることはありません。あなたがいたという事実は残ります」

 

「でも俺には家族もいる、そっちはどうすれば」

 

「ライア、お前の家族は大丈夫さ。もし何かあったら俺が助けてやるしさ。」

 

「ヤムチャさん……」

 

「ならウィスさん。この際図々しくお願いしたいことがいくつかあるんですが」

 

「どうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

……長い長い、果てしない夢を見ていた気分だ。

近未来な装置から出た俺を、姉のユズが大泣きしながら出迎えた。

やっぱり夢ではなかったんだろうな。俺があの世界にいたことは。

 

俺は最後、ウィスさんにブウにめちゃくちゃにされた世界を戻してもらうことと、もう一つの未来の自分のことも頼んだ。今の俺には二つの世界の記憶が詰まっている。まさかあっちの世界がこんな惨状になってたとはな。俺はもう空も飛べないし狼牙風風拳も再現できないだろう。身体もしばらく寝たきりだったようで弱ってる。だが、俺は強くなった。あの世界で叩き上げた精神があれば、この先の人生も何とかなるはずだ。

俺はヤムチャの一番弟子なんだからな‼




ライアのお話はこれでおしまい。

一応絶望未来編の締めとかをこの後書いて完全終了ってかんじかな?

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