防衛大学校の劣等生   作:諸々

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00-46 司波家

新学期初日、エリカはレオを連れてE組を訪れた。

勿論達也に会う為だ、だが見当たらなかった。

「達也君いないわね。」

「生徒会の方じゃねえのか?選挙が前倒しになったんでそれに掛かりっきりになってるとか。」

「それもそうか、次の休みにでもまた来てみようか。」

 

「えーっと達也君は、ねえちょっと。」エリカは十三塚を呼んだ。

「なんだい。」

「達也君はどうしたの?」

「聞いてないのかい?彼は今四校に行ってるよ。」

「何のために?」

「九校戦でのCAD運用について講演すると聞いてるよ。

四校から強い要望が有ったんだって。」

「有名税ってやつか、でもこっちの授業はどうすんだ。」とレオ。

「二月の一条君の方法を使うらしいよ。

後は講演する事で一部の実習は免除になるみたいだね。」

「いつまでなの。」

「会長選挙までだね。それ以上だと論文コンペに影響が出るって。」

「ふーーん」エリカの笑いにレオはぶるっと震えた。

 

会長選挙前の土曜日の午後、達也を除く三年の皆はアイネブリーゼに居た。

会長選挙の前倒しでお疲れの深雪とほのかの慰労会という格好だ。

「深雪、もう良いの?」とエリカ。

「ええ、みんな頑張ってくれたから何とかなったわ。

雫、今年もありがとうね。」

「宣伝を兼ねてるから大丈夫、継続は力。」

「でも選挙が終わったら達也さんも帰ってくるから安心できますね。」と美月。

「えっ、達也ってどこかに行ってるのかい。」と幹比古、雫も頷く。

「達也さんは、今は四校で講演しているんですよ。

聞いた話では評判はかなり良い様です、もしかしたら他の高校に行くかもしれません。」とほのか。

「じゃあ司波さんとは、ほぼ入れ替わりになるのか。」と幹比古。

「「「「えっ。」」」エリカ、ほのか、美月。

「深雪、聞いてない。」雫。

「警備の関係で秘密だったんだけどさすがにもう良いんじゃないかな。」と幹比古。

「なになにどう言う事?」とエリカ。

「二月に二校の生徒が襲われてすぐに一校が襲われただろう。

だから上位3校だけでも連携を強化しようという事になったんだ。

その一環で元生徒会長を相互に交換留学しようという事になったんだよ。

又、三校の一条君がうちに来た事が良い刺激になった事も影響している様だね。」

「そうなんだ、じゃあ深雪、明日家にお邪魔しちゃダメ?」とエリカ。

「いきなりねエリカ、何を企んでるの?」

「そんな事無いわよ。

今まで行った事なかったし、達也君が居ないならガールズトークで盛り上がれるわ。」

「なら僕は遠慮しておくよ。」と幹比古。

「俺もパス。」とレオ。

「私は行きたい、ほのかも行こう。」と雫。

「えっ、…私は明日用事が有るから。」

「美月も一緒に行こう、人数は多い方が盛り上がるだろうし。」とエリカ。

「うーん、どうしようかな。」

「えー、行こうよ。

深雪、美月も一緒で良いよね、達也君の魔工科での様子も聞けるわよ。」

「それじゃあお邪魔しようかな。」

「強引ねエリカ、でもそう言う事なら良いわよ。

但しエリカ、家では大人しくしていてね。」

「えー、私にだけ?」

「日頃の行いよ、それじゃあ明日午後一時にXX駅ね。」

 

帰りのコミュータで二人になった時、雫がほのかに言った。

「ほのか、用事って何。」

「……」

「何故?、達也さんの事を知るチャンスだよ。」

「…深雪と達也さんが一緒に住んでいる所なんて見たくないの!」

「ほのか…」

その後言葉を交わすことは無かった。

だが雫は秘かに決心していた、この機会に何とかしようと。

 


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