幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活   作:軍曹(K-6)

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エピローグ ケンカの仲裁と新たな枷

実際に上条と扇のぶつかり合いは幻想郷に異常を起こした。

突然の雷雨だったり吹雪だったり。絶対にありえないことが起きまくった。

だが、それも止まった。何故止まったのかというと、二人の拳が再度ぶつかると思われたその間になじみが割り込んだからだ。

 

「「ゲッ!」」

 

二人の拳が紙一重でなじみに当たらず止まる。

 

「さあさあ二人ともそこまでにするんだ。これ以上やると君達の住むところが無くなるぜ」

「「え・・・?」」

 

二人がようやく周りを見るとそこには荒れ果てた幻想郷の景色があった。

 

「ゲッ」

「これは・・・」

「「直すしかないよう(だな)ですね」」

 

上条と扇は二人息を揃えて能力を発動させる。一瞬で幻想郷の景色が元あるべきのものに戻った。だが、それは同時に、逆のことも一瞬でできることを意味していた。

 

 

―――その為。

 

「おっ。今日はキムチ鍋?」

「えぇ。お手製です」

「・・・みんな喰わねーの?」

「辛そうだし・・・」

「遠慮するわ」

「ふーん」

 

上条はキムチ鍋に箸を突っ込む。

 

「ふは―――。カラウマ。でもチと辛いな」

 

 

その夜。

 

「ZzzZzz」

 

コキ。コキパキ。ゴキッ。グキベキ。

 

「イテ」

 

ゴキンメキメキポキパキ

 

「テデデデデッ!」

 

 

―――朝。

 

「・・・・・・・・・。・・・・・・・・・?」

 

何事も無く朝普通に起きた上条は少し体に違和感を感じた。

 

「あれ? な、なんか身体中がイテ・・・。ってオイ・・・もう昼過ぎじゃん・・・」

「やっと起きたね当麻。ちょっと表にでな」

「あ? いや朝食・・・」

「昼過ぎに食っても無駄だ」

 

萃香に呼ばれて上条は博麗神社の表に出る。

 

「さあ、手合わせと行こう」

「ち、ちょっと待てよ萃香・・・。何か俺、妙に調子悪くて・・・。寝違えたかな~? それにしちゃ全身が・・・」

「いーから来なよ。当麻は既に師である私を越えたんだろ?」

「へっ。そりゃまァこれくらいで負けやしねーがな」

 

意気揚々と向かっていった上条だが、簡単に投げられてしまう。

 

「ん?」

 

もう一度向かっていっても同じように投げられてしまう。

 

「アレ~~~~?」

「数年前に逆戻りだね」

「アホな・・・。いくら調子悪いっつっても・・・。これは何かの冗談だろ?」

「寝てる間にお前の関節あちこち外してつけ直した。当麻はもう半分の力も出せん」

「なっ。何だと―――!? じ、じゃあこの身体中の軋みは・・・。(はっ)昨日食った鍋か!?」

「いや、鍋は食わないだろ」

「テメー一服盛ったな!? ヤケに寝坊したのもそのせいか!」

「キムチなら薬の味がバレにくいと思ってな」

「呆れたもんだな、萃香・・・。人間にあっさり追い越されたのが悔しくてこんな手使うとは・・・」

「当麻は・・・・・・」

「あ?」

「当麻は天才だ。俗な言い方で好かないけど、まごう事なき天才だよ。当麻ほどの器なら『流派を守る』なんてせせこましいことは言わずに、自分自身が『まったく新しい流れ』の創始者になる資格も充分にある」

「話がかみ合ってねーぞ。こんな小細工しやがって。女の子でも容赦しねーぞ。この程度我慢すりゃ、鬼程度・・・・・・・・・」

「へぇ? やってみな」

「後悔すんなよ!!」

 

自身の技の一つを萃香に向かって放つ上条。だが、鈍い音と共に彼の動きが止まる。

 

「どした?」

 

上条はその場にへたり込んでいた。力を失ったように。

 

「あぎゃー!? かっ肩が外れた!! こっ股関節も・・・・・・!?」

「だから言っただろう。当麻はもう全力は出せない。全力を出そうとすると関節が耐えきれずに外れるように調整した」

「魂にかけた枷と似たようなことしやがって・・・。しかも肉体的に・・・徹底的に俺を縛るつもりかっ!」

「当麻は才能的に順風満帆すぎるんだよ。その「枷」は当麻に丁度いい障害物になる。全て順調な人生ほどつまらないものは無いよ―――。障害は人生を豊かにするスパイスとも言える。私達に感謝しな」

「このっ。糞アマ共―――!!!」

 

上条は思わず叫んだ。何か新しい技を手に入れれば手に入れるほど、彼女たちは上条に様々な枷をつけてくる。いい加減に外したいと彼は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Next Stage 次譚へのプロローグ

 

ある日のこと。上条が最近の日課である武道の鍛錬を繰り返していた時のことだった。

数度の脱臼を越えて思わず座り込んだところへ少女が駆け寄ってきた。

 

「ご主人ッ! 大変です! 早く! 神社の方へ!」

「ん? 何かあったのか」

 

上条は腑罪証明(アリバイブロック)で博麗神社へとテレポートする。するとそこには魔理沙を初めとして、なじみや扇。文やレミリア。フランなど、見知った面々がそろっていた。

 

「何だ? 何かあったのか。一体何があったんだよぉ!?」

 

いきなり魔理沙に引っ張られた上条は博麗神社の住居スペースになだれ込む。

 

「いってー・・・急に引っ張ると危ないだろ・・・。って霊夢。お前どうした・・・・・・・・・」

「神々の義眼で見て気付いたようね。その通り、霊夢は今刻々と命を削られている」

「・・・どうすんだよ。どこかからの攻撃か?」

「・・・・・・それを探す時間も無い。だから当麻にはこの世界以外の場所で霊夢を直す方法を探してきてほしいの。この際科学的でも魔術的でも何でもいいから。その技術を持って帰ってきて」

「・・・その間ここはどうすんだ?」

「私達が時間を止める。咲夜の能力を参考にして幻想郷中の時間を止めて待ってるわ」

「・・・そうか。なじみ、扇ちゃん。一緒に行くか?」

「・・・・・・じゃあ行こうかな。君の影の中で忍ちゃんと仲良く話してるから必要となったら呼んでくれ」

「私も以下同文ですよ」

「ありがとな二人とも。・・・・・・貴音」

「・・・えぇ!」

「ごめんなさい。時間が無いから「枷」を外してあげることはできない。その状態で頑張ってくれる?」

「ついでにパーフェクト上条さんで帰ってくることにするぜ」

「・・・・・・ふふ」

「じゃあ霊夢。待ってろよ」

「大丈夫。私達は信じてるから」

「絶対帰ってくるんだぜ。バカ当麻」

「安心しなさい魔理沙。当麻は誰よりここを愛しているから」

「行ってらっしゃい。当麻、お姉ちゃん」

「「ああ(ええ)。行ってきます」」

 

上条と貴音の視界の端でパチュリー達魔法使い組や、その他技術者が集まって時間を止めようとしているのに対し、上条達の周りにいくつもの魔方陣が出現する。

そして、二人を包むようにスキマが出現し、上条と貴音の長い長い旅は始まった。

 

その数秒後。幻想郷頭脳派達の手によって、幻想郷を含めたその世界全ての時間が停止した。

 




これにて幻想郷生活完結になります。

星蓮船とか神霊廟とか扇ちゃんより優先してもよかったなと思いますが、その辺りの手直しはまた後々。やるとはいってない。

それでは次の生活で会いましょう。

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