幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活   作:軍曹(K-6)

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Stage 4 昔時の業火

「・・・・・・・・・まだ」

『? どうしました。ご主人』

「まだモフられ足りんのかキサマァーッ!!」

「にぎゃ―――ッ!」

 

暫くお待ちください。

 

地霊殿の屋敷の方からトコトコ着いてきた黒猫を再度モフりにかかる上条。数分ぐらいモフモフしていたら陰陽玉が突撃してきた。

 

「? 何すんだ」

『・・・その猫は妖怪です』

「いや、知ってるけど」

「・・・・・・こほん。じゃじゃーん。お兄さん、楽しい事してるね! あたいも混ぜてくれるかい?」

「弾幕ごっこの事か?」

「猫の姿のままの方が楽なんだけど会話がまともに出来ないし、それに、あのままじゃお兄さんに負けそうだったから元の姿に戻しちゃった」

「あっそ」

「見てた見てた聞いてたよ。ご主人様の勇姿、お兄さんの野望! 間欠泉を止めるんだって? 止めときな止めときな。あいつは危ない奴さ! ここらで一番危険な地底の鳥だ」

「安心しろ。どれだけ危険でも大丈夫さ。恐らくな」

「ま、そんな危険な鳥を相手にする位なら私とやるよ!」

「・・・? でもまぁ望むところだ! もう散々猫の姿のお前と戦った気もするが」

「人間の貴方を殺して、業火の車は重くなる~♪ あー死体運びは楽しいなぁ!」

「葬儀屋にでもなったらどうだ?」

 

上条は緩く構えて燐と対峙する。

 

「そう言えば。トラウマのはずなのにどうしてあのお姉さんはお兄さんに謝ったんだろうね」

「ッ!」

「・・・あ。別に精神的攻撃とかそんなつもりじゃないんだよ。ただ純粋に気になってさ」

「・・・・・・よくある体で言えば、俺はアイツに許して欲しかったんだと思う。アレは俺のトラウマだろ? 俺はあいつにお礼を言われたんだよ。電撃で体を焼き焦がして殺したって言うのに」

「・・・焼死体!?」

「食いつくとこそこかっ!」

 

上条は見当違いの方向にとんだ話を拾いに行く。

 

「・・・・・・とにかく、話は終わりにしよう。さっさと弾幕ごっこで決着着けて終わりにしようぜ」

「気になるなぁ・・・。その焼死体のこと」

「・・・・・・消えたよ」

「ん?」

「最初からそこになかったかのように消えたよ。死体なんかな。満足か? あと、俺は無性に腹が立った」

「・・・え?」

「嬲り殺してやるよ」

 

上条は悪魔のような魔王の笑顔でそう言った。

その一言の瞬間からその地底には上条当麻の“気”があふれ出した。

地底全体が震え、その世界が全て上条の体の一部になったような感覚さえ覚える。

 

「ここからはずっと俺のターンだ」

 

燐が上条の動きを見逃すまいと目を凝らした刹那。上条の体がバラバラに千切れるようにして襲いかかってきた。

 

「え!? 何それ!」

 

それは上条が編み出した技。

技の基礎は『合気道』なのだが。合気道は相手の力を利用して受け流すように投げ飛ばす技。それに対し上条は、そこから更に加速することを思いついた。相手の力に自分の力を合わせ、勢いを強くする。そんな事をやっていた。

そんな時、夏の蚊を見て思いついたのが相手の視界から外れたらどうなるのだろうか。という技だった。初めは腕だけだったが、マジシャンが使う視線誘導なんかも織り交ぜて体全体をばらけさせることに成功。そして完成したのがこの技。

風のように舞う歩法。その名も―――

 

 

 

―――『風歩』

 

 

 

そして攻撃の最中、目が慣れてきたところで上条の動きに変化が訪れる。

 

「へ・・・変化した!?」

 

それは上条が使う武道の歩術の一つ。『雷歩』

 

「さーて。それじゃあそろそろ締めようか」

 

そう言った彼は動きを変えた。稲妻のように迸るその攻撃。上条はこう名付けている。『雷迅』と。

 

『・・・無双ですねぇ』

『当麻ってどこを目指しているの』

『さあ?』

『自分の中の何か、を目指しているのは分かるんですが・・・・・・』

 

ちなみに、彼は終始余裕そうな笑みを崩すことはなかった。

 

 

「不完全燃焼だぜ」

『不完全燃焼なんだろwwwそうなんだろwwwそうなんだろってwww』

『・・・霊夢。貴音は一体どうしたんだぜ?』

『・・・さあ?』

「お見事。あたいが人間に負けるとは思わなかったわ」

「さっきから人外だって言ってるだろ。で? この先にいるペットってどんな奴なわけ?」

「うちらと同じでさとり様のペットなんだけどね・・・。最近、果てしなく強大な力を手に入れたのよ。それで誰の手にも負えなくなって・・・・・・。うちら動物は長く生きながらえたり、怨霊や魑魅魍魎を飲み込んだりする事で力を得るの。でもあいつは・・・・・・何処で見つけたのかしらねぇ。神様の力なんて飲み込んで」

『神様って美味しいのかしら』

「少なくとも味はしないな。その代わり強大な力が手に入ると思うけど」

『・・・・・・なんで知ってるかは聞かないことにするわ』

「おう。そうしとけ。聞いてて気持ちのいい話じゃねーから」

 

上条は軽く流していた。

 


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