幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活   作:軍曹(K-6)

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Phantasm Stage 人妖の境界

さて、と上条は続けて藍に向かう。

 

「なぁ。お前さ、さっき貴音が橙を苛めたから報復しに来たんだよな?」

「あ、ああ」

「だったら、俺は()()()()()()()()()()()()()()()()から()()()()()()()()()()()()()()

「「はぁ!?」」

「・・・あ、アリガトウございます」

 

疲労がたまっていたらしい貴音は、上条にお礼を言うと彼の影の中に消えていく。

 

「さあやろうぜ。悪いが今俺は気が立ってる。こんな言い方したくないが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。クソ狐」

 

上条は純血の吸血鬼(アーカード)の力を開放し、その赤い瞳で藍を睨む。

 

「恨むなら自分を恨め。俺は確かに幻想郷が大好きだ。だがな! 俺の貴音に勝手に手を出してんじゃねぇ。例え幻想郷が受け入れても俺が受け入れねぇ! もし、幻想郷がこんなことまで受け入れるって言うんなら、そのふざけた幻想はこの俺がぶち殺す!」

「はい。そこまでよ」

 

その声と同時。上条の真横から電車が突っ込んできた。

 

―――廃線「ぶらり廃駅下車の旅」―――

 

もちろん上条にそれが当たるはずもなく、片手で止められていた。

 

「それを言うならぶらり途中下車の旅だろ。あと、俺に攻撃としてコイツを当てるんだったら無人在来線爆弾位なことしないと意味ないぜ?」

「知ってるわ。それと、さっき藍にあなたが言ったことをそっくり返すわ当麻。自分の所有物に勝手されて、黙ってられないのはこっちも同じなの」

「そうかい」

 

神と吸血鬼と人間。三つの特性を併せ持ち、神上の名を持つ少年。上条当麻。

と、

幻想郷の妖怪の賢者にして、幻想郷をだれより愛するBBA少女。八雲紫。

 

どちらが勝つかはなんとなく予想はつくが、勝つまでの被害が尋常じゃなさそうな二つの力がぶつかろうとしていた。

 

「・・・・・・どうして、かしらね」

「何だよ」

「私が勝てるイメージが全くわかないの」

「そうなのか?」

「ええ。あなたには幻想郷中が束になってかかっても勝てない気がするわ。まだ適当に拳をふるってる一般人の喧嘩並みなのに」

「ぐっ・・・・・・。良いだろ!? 武道なんか誰が教えてくれるんだよ!」

「それもそうね。あなたが武道を習ったらそれこそ世界が崩壊するわ」

「さすがに上条さんもこれ以上強くなろうとは思わないな・・・。それほど苦戦するような事はないし、とりあえず」

「そうね」

「「俺(私)の従者を傷つけた落とし前はつけてもらうぞ(わよ)」」

 

―――幻砲「マスタースパーク」―――

 

先に攻撃を放ったのは上条だった。

 

「外の世界は先に銃を抜いたほうが負けではなかったかしら?」

「ここは幻想郷。しかも相手は妖怪。こんな所に人間のプライドもクソもあるかっての!」

「そうね」

「さっきの一つだけ訂正。お前、絶対負ける気ないだろ」

「ええ。もちろん。でもあなたは私の能力も無効化する。幻想郷の妖怪はあなたの前じゃ総崩れよ」

「・・・かもな」

 

―――幻符「終点折り返し線」―――

 

上条がスッと右手を振ると、紫の真横に電車が振るわれる。

 

「ちょっ!!」

 

慌てて上に回避した紫は、反対側の地面に叩きつけられた電車を一瞥し、それをやった張本人を見る。

 

「スペルカード名は違うし、方法も違う。だが、廃線で攻撃するって部分はあってるだろ?」

 

そういう上条の右手には、廃線車両の車体下部が掴まれていた。

 

「それを人間の身体能力だけで振り回せるあなたは十分おかしいと思うわよ」

「そうかァ? それより俺が吸血鬼としての力をふるわなかったってよくわかるな」

「それは分かるわよ。あなたの体から吸血鬼の魔力が流れていない。当麻の性格上、自分の正体を知らない相手に手加減をする事はあるけど、私相手にそれをする必要はないでしょう? それになにより、当麻の両目が紅くない」

「あらま。バレてたの?」

「ええ。最初に会った敵には絶対に手加減するでしょう?」

「まあするけどさ・・・。そうか、目か」

 

上条は納得したようにそう言うと、そのまま自分の影で電車を飲み込んだ。

 

「さて、紫。まだまだやるか?」

「・・・ええ。そうね。まだ終わってないもの」

 

「スペルカード。幻爆「幻想消去」」

「スペルカード。紫奥義「弾幕結界」」

 

その弾幕勝負は霊夢が止めに来るまで続いたという。

 


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