超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ドーモ、最近友達に借りたファイヤーエムブレム暗黒竜と光の剣をやってる歌舞伎役者です。やっべリンダ可愛い。脆いけど。ペガサス三姉妹可愛い。脆いけど。


将を射んと欲すればまずペガサスとドラゴンを射よ

「はぁ〜………」

 

大きなため息。 肺の空気を全て入れ替えてしまうような長い長い呼吸。

それの息が髪に当たっているネプテューヌが眉をひそめてコントローラーを弄る。

 

「う〜ん………」

 

現在ミズキの膝の上のネプテューヌは降りようとかと悩む。

しかし最近はめっきり冷え込む。膝掛けはまだしも、尻の温かみは逃すわけにはいかない。

多少の呻き声には目をつぶり、ネプテューヌはカチャカチャとスティックを動かす。

 

「ぬぅぅぅ〜ん………」

 

ついにミズキが背中を大きく曲げてネプテューヌの頭に顎を乗せた。

腕は前に回しているために、後ろからネプテューヌの全身が覆われていてとても暖かいのだが……。

なるほど、これが呪いの武器とやらか、とネプテューヌは1人で納得する。いい装備には欠点がつきもの。デビルソードの攻撃力を過信しすぎると自分にダメージがいって◯バールあたりが即死するのが炎の紋章の宿命だ。

今回のデメリットはミズキの溜息。聞く者のテンションを地の底まで下げてしまうようなーーー。

 

「あぁぁぁぁさぁぁぁぁ……」

「狂化⁉︎」

 

バーサーカー化。騎士は徒手では死なないのである。

 

「もう、なんなのその溜息は。聞いてるこっちが溜息しちゃいそうだよ」

「ん〜……ん……」

 

無事ミズキはプルルートを切り抜けて帰ってきた。

ネプギア達も花を煎じた汁を飲んでたちどころに回復……しなかった。

余談ではあるが、ネプテューヌ達が見つけてきた花はワタシタチハマタイツデモアエル花に良く似た『コンナコトヲスルヤツラユルスモンカ花』であったのだ。

その効能のせいでしばらく妹達は掌で人の頭を掴みまくっていたが、今度こそワタ(以下略)花を取ってきてようやく回復。

『もう知るか』とはネプテューヌの言である。

 

そんなこんなあったものの、今はそこそこ平穏な日々。

のはずだがミズキは日に日に溜息の頻度が増えている。

 

「……あ、ミスった……」

「何やってんの?」

「ベールから借りたギャルゲー……」

「ギャルゲー?ふぅん、そういうの興味なさそうなのに」

「僕から頼んだんだ。勉強になるかと思って」

 

ミズキが持つ携帯ゲーム機には女の子の顔が写っている。そして選択肢が3つ表示された。

 

『無理やり脱がせる』

『相手から脱がせる』

『むしろ自分が脱ぐ』

 

「ファッ⁉︎何しようとしてんのこの主人公は⁉︎」

「え、一肌脱ぐか脱がないかみたいな」

「紛らわしい!エロゲーと勘違いするところだよ!」

 

カチカチとボタンを押して『むしろ自分が脱ぐ』を選択。一肌脱いだ主人公が好感度を上げた。

 

「ていうか、なんの勉強?確かにギャルゲーとかエロゲーは学べること多いけど……」

 

実際、学べることが多いのである。

もちろんピンキリではあるが泣けるものは特に泣けるし、家族愛や友情など学べることは大変多い。それはネプテューヌも少しではあるが知っていた。

 

「そりゃ、ギャルゲーやるんだから恋愛の勉強だよ」

「いや、それは学べるかどうかは微妙だけど……」

 

ネプテューヌも恋愛の経験が豊富なわけではないし、それどころか経験値/zeroなのだが。

 

「いいんだよ、少しでも参考になれば……。……あ」

 

『巨乳が好きです』

『おっきいのが好きです』

『小さいのに人権なし』

 

「何この主人公殺すよ⁉︎」

「こればっかりは人の好みだけどね……。ここで、このアイテムを使えば……」

 

『俺はオールラウンダーです』

 

「んっしょっと」

「それはそれでクズだよ……」

 

画面の中でも女の子達に主人公がドン引きされていた。しかし好感度は下がらなかったようだ。

 

「恋愛の勉強って……ぷるるんのため?」

「それもある、けど……。ふぅ」

「……?」

「………ノワールとブランが会ってくれない………」

「なんだよ惚気かよ」

 

ペッと唾を吐いたネプテューヌが興味を失ったようにゲームに戻った。

 

「あれから1度も会えてない……。のらりくらりとかわされ続けてるんだよ」

「てやんでい!勝手にしろっぺ!オイラは知ったこっちゃねえどすえ!」

「色々混ざってるけど……。……うん、確かに知ったこっちゃないよね」

 

ミズキがゲームを中断して脇に置いた。

 

「ほれ、どいてネプテューヌ」

「ほえ?どこ行くの?」

「部屋。メールするんだ」

「誰に?」

「ユニとロムとラム」

「なして?」

「将を射んと欲すればまず馬を射よ。ってやつ」

「……つまり?」

「女神のハートを射止めようと思ったらまずは妹から……ってことじゃない?」

「ハートを射止めるって……」

「やめて僕も言ってから恥ずかしくなったからホントやめて」

 

ミズキがネプテューヌを下ろして立ち上がる。

体を寒さで震わせながらミズキは自室に向かう。

 

「クク……覚悟してなよ……」

(不安だ……)

 

 

ーーーーーーーー

 

 

それから数日後。

ルウィーの教会でブランが仕事をこなしていた。

 

(……最近、妙に静かね……)

 

物足りなさを覚える。何かが足りない気がする。

息抜きのついでに何が足りないか、と考えると……そうだ、最近ロムとラムが騒いでいないのだ。

毎日ドタバタと扉の向こうから足音が聞こえてきて、遊べ遊べとせがんでくるのだが……。

と、思った端からドタバタと足音がした。

 

「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」

 

バン、と大きくドアが開く。

ロムとラムが息を切らせながらやってきていた。ロムは片手に紙を持っている。

 

「なに?まだ少し仕事があるから、遊ぶのはまた今度に……」

「違うの……。これ……」

 

ロムが紙を差し出してきた。

紙はなんとクエストの依頼書。

 

「『ルウィーの絶滅危惧種、エンジェルモモンガを守れ』……?」

 

エンジェルモモンガとは、ルウィーの絶滅危惧種である。いやそれはわかってるという声は聞こえません。

 

「会いたい……!」

「会いたいって……。そんなの、動物園に行けばいくらでも……」

「違うのよ!そのエンジェルモモンガって、みつりょう?で減ってるんでしょ?そいつらをとっちめるのよ!」

 

ラムがそう言うので依頼書を改めて読んでみると、なるほど依頼書はそういう内容だ。

エンジェルモモンガはその名の通り、まるで天使のように空をフワフワと漂う動物で、毛皮は非常に高価で売れる。そのため密猟者に狙われやすい上に、漂っているだけなので動きが鈍く狩られやすい。

現在絶滅危惧種に登録され、ルウィーでも細心の注意を払って保護しているはずだが、まだ野生にもエンジェルモモンガはいる。それを守れということだろうか。

 

「運が良ければ、会えるということね。だけど、密猟者も装備が充実していて苦労しているみたいだし……」

「だからこそ私達が行くのよ!ね、行っていいでしょ!」

「モモンガさんに、会いたい……!」

 

ロムとラムの瞳に見据えられる。

少しの間考えてブランは結論を出した。

 

「いいわ。ただし、私も一緒よ」

「やった〜!」

「早く行こ……?」

「今ある仕事が終わったらね。支度をしておいて」

 

最近はデスクワークばかりで肩が凝っていたのだ。ここらで暴れてストレス発散、ついでにシェアも得られるとくれば願ったり叶ったりだ。

 

「は〜い!ほら行こ、ロムちゃん!」

「うん……!」

 

嵐のように2人は駆けていった。

ふぅと溜息をつきながら肩を回してパソコンに向き直った。

パソコンで仕事をしながらも、閉じているメールのバーが気になる。

 

(そういえば、返信先延ばしにしてたわね……)

 

ミズキから送られてきた「会いたい」というメール。多分、会えば何が起こるかは予想してる通りだ。多分、それは私自身も望んでいることだ。多分、私はそれを了承してしまう。

だが、あくまで多分だ。

プルルートの存在。それがブランに影を落としている。多分、ノワールも同じだろうけれど。

 

(話をつけたい、ってことかもしれないものね……)

 

不安と期待がないまぜになったわけのわからない感情。それにほんの少しの嫉妬のスパイスがかけられている。

 

(私の方が先なのに……)

 

それを言ったらノワールの方が先ではあるのだが、言いっこなしだ。先を越されたというのが悔しい。積極性の差だったというのだろうか。

もし、その差のせいでミズキに捨てられるようなことがあれば、私は……。

 

「……ごめん、なさい」

 

それが怖いから、先には進めない。このままが1人楽でいられる。

 

「『今日は、ロムとラムと仕事に行くから、会えないわ』……と」

 

最後に「ごめん」と書き出しておく。

送信をクリックして今度は罪悪感に胸を痛めた。随分と忙しい胸なことだ。

 

「……やらなきゃ」

 

ロムとラムとの約束がある。

口実に使ってしまったのは悪いが、しかし約束は約束。

期待させた妹達を裏切らぬようにブランは仕事を再開した。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

そして、エンジェルモモンガが生息していると言われている山。

本日は快晴、山の天気は変わりやすいといえどもまあ余程の事がない限り安心だろう。

しっかり服は着込んだし万が一のために様々なサバイバルグッズも持ってきた。

準備万端、何も憂いはない。

………はずだった。

 

「ニコニコ」

「……………」

「どうしたの、ブラン。顔が赤くなったり青くなったり緑になったりしてるけど」

「……………」

 

なんっ………で、ミズキがいるの……?

 

「……なんでもないわ。ほら、ミカンを食べ過ぎると肌が黄色くなるでしょう。アレと同じよ」

「赤は?」

「昨日紅生姜を食べ過ぎたわね」

「紅生姜⁉︎いや、出来ないことはないかもだけど……青は?」

「ブルーハワイの飲み過ぎね。最近は頭を良く使うから、糖分が欲しくて」

「シロップ一気飲み⁉︎じ、じゃあ緑は?」

「ピッコ○の食べ過ぎね」

「○ッコロ⁉︎」

「だからなんでもないの。そう、私は普通よ、普通。いつも通りなんだから」

 

「私達紅生姜もブルーハワイもピ○コロも食べてないけど……もがっ」

「し〜っ……。邪魔は、ダメ……」

 

ロムとラムは端っこの方で計画通りな顔をしていた。クッソゲス顔である。でも小さいから微笑ましい。

 

「さあ、行きましょう。早くしないと日が暮れるわ」

「……はいはい。ついて行きます、お姫様」

 




こんなこと!こんなことをするやつら、ロゴス!許すもんかぁーっ!(パリーン)

エロゲギャルゲはマジ泣けます。いや、本当なんですって…。

ファイヤーエムブレムは女キャラ可愛いですよね。まあ、ifとかはやってないんですけど。あ、やっぱ1番好きなのはチキです←


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