超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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セリフ、あってるでしょうか……。耳コピだから危うい。


英雄の名は、ガンダム

これはきっと君の後悔。

 

君はそれを引きずって歩いている。

 

これはきっと君の苦しみ。

 

君はそれをこれから引きずろうとしている。

 

これはきっと君の幸せ。

 

君はそれに気付かずに踏みつけた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

白い鳩が数羽並んで飛び立つ。白い鳩は平和の証。

 

「ゲイムギョウ界にあまねく生を受けし皆さん」

 

バタバタと旗が並ぶ。並ぶ旗は秩序の証。

 

「新しき時代にその第一歩を記す今日この日を皆さんと共に迎えられることを、喜びたいと思います」

 

ネプテューヌが歩きだしてきた。女神化した姿でドレスを着て。

 

「ご存知の通り、近年世界各国で争いの絶えることはありませんでした」

 

その一方で白髪の女神が黒いマントを脱ぎ捨てた。

 

「女神、ブラックハートが治めるラステイション」

 

それと同時に兵隊達が一斉に立ち上がる。

そしてノワール=ブラックハートは前へと足を踏み出した。

 

「女神、ホワイトハートが治めるルウィー」

 

また兵隊達が立ち上がる。

そしてブラン=ホワイトハートが前に歩き出す。

 

「女神、グリーンハートが治めるリーンボックス」

 

また、兵隊が立ち上がりベール=グリーンハートが前に歩き出す。

 

「そして私、パープルハートの治めるプラネテューヌ」

 

ネプテューヌ=パープルハートが女神達が歩く道の交差点に着く。それと同時にプラネテューヌの兵隊達が立ち上がった。

これで4カ国の兵隊達が全て立ち上がった。

 

「4つの国が国力の源であるシェアエナジーを競い、時には女神同士が戦って奪い合うことさえしてきた歴史は過去のものとなります」

 

4人の女神の足元にあった6角形のブロックが宙へと真っ直ぐ浮かんでいく。

 

「本日結ばれる友好条約で、武力によるシェアの奪い合いは禁じられます」

 

ブロックの上昇が止まった。4人の女神が空中で向かい合う。

 

「これからは国をよりよくすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展につなげていくのです」

 

4人の女神が前に歩いていく。

そして両手を隣り合った女神に触れて、目を閉じ、天を仰ぎ、誓い始めた。

 

『私達は、過去を乗り越え、希望あふれる世界を作ることを、ここに誓います』

 

ネプテューヌが目を開き、優しく微笑む。

それと同時に空には花火が上がり、地には拍手が巻き起こるのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「はあ〜、疲れた」

 

ネプテューヌは変身後の姿ではぁ、と息を吐く。その息には無事式を完遂することができた安堵も含まれていた。

 

「皆さん、お疲れ様ですわ」

「お疲れ様」

「お疲れ……」

「みんな、お疲れ様。はぁ、女神化解きたいわ……」

 

ネプテューヌはまたため息を吐く。今度はただ「疲れた」というだけの重っ苦しい息だ。

 

「解けばいいじゃないの。もう解いていいんだから」

「ほら、もうすぐミズキが来るのよ。みんなは式典の後、直接来てたからここにいるけど。ミズキはいなかったからここに来るまでに少し時間がかかるのよ」

「なるほどね」

 

ノワールは素直に納得する。

アイエフやコンパ、それにイストワールや妹達は式典にも参加していたために既にパーティ会場にいるが、ミズキはそうはいかない。

 

「……あれ?でもそれと女神化を解かないことの何が関係してるのよ」

「やーね、サービスよ、サービス。ノワールだって国民達には立派な姿を見せたいでしょ?それと一緒」

「一緒……なのかしら」

 

なんか、それはそれでシャクだ。認めてはいけない気がするが、国民の前でいちいち女神化している身としては何も言えない。

 

「では、私も女神化は解かないでおきますわ。初対面はいいところを見せたいですからね」

「好きにしろよ」

 

機嫌が悪そうにブランは言い捨てる。機嫌が悪い理由は、その、大きさが違うからだ。色々と。

 

「あら?ブラン、妹達はどうしたの?」

「帰らせた。まだあいつらにパーティは早え」

「そうなの?ロムちゃんとロムちゃんにもミズキに会って欲しかったのに」

「そのうちルウィーに来な。2人にもミズキの話はしたんだ。会うのを楽しみにしてた」

「それはいいですわね。私もミズキさんをリーンボックスに招待してみましょうか」

「なによ、みんなミズキを狙ってるの?」

「そうでなくとも自分の国を見ず知らずの人に見てもらうというのはやってみたいですわね。『どうですか、私の治める国は』って」

「そういう意味からラステイションに来なさいよ。シェアNo. 1の国を見せてあげたいわね」

「もう。みんな節操なさすぎよ」

 

ワイワイと女神の間で話が盛り上がる。

それを少し離れて見ながらユニとネプギアが話していた。

 

「ねえ、ミズキ、ってどんな人?」

「ミズキさん?そうだね……。私はもう、ミズキさんなしじゃ生きていけない、かな」

「⁉︎」

 

無論、機械の話が出来るからなのだが。

 

「遅いわね。何時頃に来る予定なの?」

 

ノワールが痺れを切らした。その視線の先には時計があってその短針は7を、長針は2のあたりを指していた。

 

「おかしいわね、ミズキが時間に遅れるなんて。あいちゃん、ちゃんと時間は伝えた?」

「ええ、伝えたわよ。7時には来るようにって」

 

時間の5分前には来るような人なのに。

 

「何かあったのかよ?」

「いや、そんなことはないはずだけれど……」

 

心配そうに入口の門を見つめるネプテューヌ。

その門が勢いよく音を立てて開かれた。

 

「あ、ミズ………キ……?」

 

そこにいたのはミズキだ。

ただし、タキシードを着て、ドアを蹴破り、ドレス姿の女の人をお姫様抱っこして。

 

『』

 

「コンパ!コンパ、いる⁉︎」

「………ふぇ?わ、私ですか?い、いるですぅ」

「ちょっといい?」

 

コンパがミズキの元へ駆けていく。そこで何やら話をしているようだが女神達のところには聞こえない。

その女神達のところに小人がひらりと飛んできた。

タキシードを着ているがシャツの第一ボタンは開けてネクタイをしていないため、ホストみたいな格好だ。

 

「遅れてすまない」

「ジャック……あれは?」

「ん?ああ、ここに来る途中に足を挫いた女を見つけたのだ。間取りにも詳しくないから医務室が何処にあるかもわからなくてな。なら、会場にいるであろうコンパに任せるのがちょうどいいのではないかという話に」

「ああ、そういうことね」

 

ネプテューヌはこめかみを押さえて納得する。

 

「まるで姫を抱えた王子様のようでしたわね」

「いったい何事かと……」

 

ベールとノワールも呆れる。

 

「でもよ、コンパを呼びに行けば良かったんじゃねえの?そっちの方が目立たないで済んだだろ」

「それもそうね。応急手当とかも出来なかったのかしら?」

 

ブランとノワールは文句を言う。

ジャックはそれについても補足の説明をした。

 

「ミズキは痛がっていたあの女を置いていけるような奴ではない。それに、ミズキの周りには数秒あれば捻挫くらい治るような奴らばかりいたから応急手当の経験もない。その上……」

「その上?」

「あいつが見てきた怪我は、大抵どうにもならないような怪我ばかりだからな」

「 」

 

女神達は絶句してしまう。

ジャックに皮肉を言っている様子はない。つまり、素なのだ。それが、ミズキとジャックの当たり前なのだ。

 

「ふう、遅れてごめん」

「あ、ミズキ……」

 

苦笑いしながらミズキが駆け足でやってきた。

ちなみに後ろでは名も知らぬ女がコンパに手当されながらキラキラした目でミズキを見ていた。アイエフは「この天然タラシめ……」と毒づく。

 

「初めまして。僕はクスキ・ミズキです」

「あ………ああ、ネプテューヌから話は聞いていますわ。私がリーンボックスの女神、ベールですわ」

「私がルウィーの女神、ブランだ」

「私はラステイションの女神、ノワールよ。あっちにいるのが、妹のユニ」

 

ニコリと笑って頭を下げるミズキ。だが皆は今までの話で先入観があったのか距離を取り気味だ。

 

「よろしくお願いします。式典、見させてもらったよ」

「どうだった?私のセリフ。かっこ良かったでしょう?ねえ、ノワールもそう思うわよね」

「え?ま、まあまあね。どうせ、イストワールが台詞考えたんでしょうけど」

「む」

「あはは……でも、みんな立派だったよ。それに、尊敬する」

「私達を尊敬?つい前まで戦争してた奴らをか?」

 

ブランがそう言う。

世辞を言う気ならやめろ、という目だ。

だがミズキはうんと頷いた。

 

「うん。だって、戦争を止めたのも君達でしょ?」

「……………」

 

ブランは黙り込む。

 

「でも、僕らも負けてないよ。僕らだって戦争を止めたんだ」

「………え?」

「何さネプテューヌ。そんな鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔をして」

「ま、待ちなさいよ。アナタの次元が壊れたのって戦争のせいじゃ……」

 

ノワールがネプテューヌの疑問を代弁する。

 

「その、1つ前の戦争だよ。戦争してた2つの国を、両方倒したんだ。僕と、みんなとで」

「み、みんなって、もしかしてミズキみたいな人が?」

「そうさ。僕達はみんな、その身に英雄の力を宿していたんだ」

 

ミズキは右手の手の甲を見せる。そこには燃え上がる炎のマークが彫られていた。

 

「英雄の名前はガンダム。……覚えていてね」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「久しぶり、ネプギア」

「あ、久しぶりです、ミズキさん」

「それと初めまして、ユニ」

「あ、はい。初めまして」

 

しばらくネプテューヌ達と話していたミズキはユニと話すためにネプギアの元へとやってきた。

 

「君も、女神候補生なんだよね」

「はい、一応。でも、まだまだなんです」

「まだまだ?」

「はい。女神化も出来ないし、仕事もお姉ちゃんに叱られてばっかりで……」

「そ、そんなことないんですよ。ユニちゃんはとても仕事が出来るんです」

「でも、私はお姉ちゃんを超えなきゃいけない……。そんなの、無理なのに……」

「ユニちゃん……」

 

ユニは肩を落として凹んでしまう。

その手に持ったグラスに注がれたワインの湖面が揺れた。

 

「………それは、確かに時間を必要とすることだよね。もっともっと頑張らなきゃいけないことだ」

「…………はい」

「でもね、ユニ。きっとノワールは君を叱ってるんじゃない」

「でも、いつも『もっともっと頑張りなさい』って……」

 

そう言って顔を上げたユニ。ミズキはクスリと笑う。

 

「ノワールはきっと、ユニに期待してるんだ」

「私に、期待……?そんなこと、ないです」

「そうでなきゃ、君を励ましはしないよ」

「お姉ちゃんは、私を励ましてなんか……!」

「クスクス、ノワールは少し不器用なだけさ」

「ぶ、不器用って………」

 

だがユニはいつも近くでノワールを見ているから心当たりがあった。ネプテューヌに素直になれない姿など何度も見てきた。もしかして、私にも?

 

「大切なのは『ひたむきな心と負けん気』。真っ直ぐ突き進む心があれば、きっと女神化も出来るさ」

「ひたむきな心と……負けん気」

 

ユニはその言葉を噛みしめるようにもう1度呟いた。

どうしてだろう、この人の言葉には真実味がある。心の奥にストンと落ちるような……解けない問題が解ける時の閃きのような……。

 

「頑張ってね、ユニ」

「は、はい!」

「ところでネプギア。ジャックを知らない?」

「ジャックさんですか?さっきテラスでイストワールさんと話してるのを見ましたよ」

「ありがと。ネプギアも、頑張ってね」

「は、はい!」

 

2人の頭を撫でてネプギアの話の通りにテラスへ向かう。

ガラスの窓を開いてテラスに出ると夜風がミズキの前髪を揺らした。

その先を見るとこちらに背を向けて手すりに座っているイストワールとジャックがいた。

 

「ジャック、いい?」

「くく……!ん、ああ、ミズキか」

「うん」

 

ジャックはイストワールと楽しそうに話していたのだろう、背中を震わせて笑っていた。イストワールも目尻に涙を浮かべて笑っている。

 

「き、聞いてくださいミズキさん。にゃなるあって……ふふふっ……!」

「にゃ、にゃなるあ?」

「も、もうこれが最高で……もう、店長さんと強盗犯が……!にゃなるあ……!」

「店長さんと強盗犯の間に何が⁉︎強盗されたとしか思えないんだけど⁉︎」

「ご、強盗犯が……懐から卒業アルバムを持ち出して……!ふふふっ……!」

「まったく話が掴めないんだけど⁉︎」

「特に、店長さんが強盗犯と愛を誓い合うところなんか最高ですよ、ふふっ……!」

「あれ⁉︎なんで2人が結婚してんの⁉︎普通は憎み合う仲だよね⁉︎ていうかそこは笑うところなの⁉︎」

 

なんの話をしてたんだろう。本当に。

 

「イストワール、悪い、少し席を外してくれるか」

「は、はい。それじゃ、また」

「うむ。またな」

 

イストワールがパーティ会場へと戻った。それを見てからミズキは後ろ手で窓を閉める。

 

「………決めたよ、ジャック」

「そうか。………どうする」

「僕は、ネプテューヌ達を守りたい。みんなを守りたい。だから、だから……」

「最も嫌なことでもやる、か?」

「うん。僕はクズになる」

 

ぎゅっと拳を握り締める。

 

「僕のためにここまでしてくれる友達を……僕は、傷つけなきゃいけない」

「その覚悟は、出来たか」

「うん。明日だよ。明日の夜、僕は………」

 

 

 

「プラネテューヌを、旅立つ」

 

 

 

「たとえ、2度と帰れなくなっても」

 




やっとこさ1話(の冒頭)に突入。
オープニングが終わるまであと3話くらいあります。オープニングは3週間も続くような大層なものでしたっけ(白目

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