超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ミズキ子供に大人気。カリスマ性S(子供に限る)的な。


広がる亀裂

 

イベントは大盛況。本当に大盛況で大成功だ。

教会の一部を一般公開してそこに遊具や屋台を設置、老若男女問わずたくさんの人々が集まった。

それで、ミズキは。

 

「ね〜え〜、次輪投げしよ〜!」

「輪投げ?いいよ、行こっか」

「え〜!私観覧車乗りたい〜!」

「よ〜し、じゃあ輪投げ終わったら乗ろうか」

 

子供をあやしていた。

一応親も近くにいるのだが……親が子と過ごしてきた時間が信じられなくなるくらいミズキになついている。

 

「うぇぇ〜ん!おかあさ〜ん!」

「よしよし、迷子かな?僕も一緒に探すから、泣かないで」

「ぐすっ、ひぐっ……」

「ミズキさん大人気だね、お姉ちゃん……」

「なんか、ここまでくると魔術レベルだよね」

 

呪いか何かをかけられたのではないだろうか。

 

「ほら坊や、そろそろ帰るわよ」

「え〜!もっとお兄ちゃんと遊びたい〜!」

「ワガママ言っちゃダメだよ。その代わり、教会に来たらいつでも遊んであげるから」

「うん……」

「心なしかシェアが上がってる気がするよ」

「どっちかと言うとミズキさんが神様になっちゃいそう……」

 

仏レベルである。後光が差して見える。

実際アブネスには後光が差して見えるようだった。

 

「ああ!なんてこと!ここまで幼年幼女に愛される存在がいただなんて……!」

「本当に宗教になっちゃうよ、これ!」

 

アブネスは手を合わせてナンマンダブナンマンダブとミズキを崇めている。

するとネプテューヌの端末が着信の音を鳴らした。

 

「ん、電話だ。もしもし〜?ブラン?やっぱり来てくれーーーえ?」

 

ブランから一方的に用件を告げられて電話が切れる。

 

「どうしたの、お姉ちゃん?」

「ううん、少し行ってくる。すぐ戻るから、ここをお願いできる?」

「うん、任せてお姉ちゃん!」

「それじゃ、行ってくるね!」

 

ネプテューヌが変身して外へ飛び立っていった。

 

「…………?」

 

ミズキがそれを不思議そうに見ていた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「もう、今日は私だって忙しいのに……」

 

ネプテューヌがルウィーに近い山へと到着した。

 

「ブラン⁉︎どこ⁉︎来たわよ、ブラン⁉︎」

 

大声でブランの名を呼ぶが返事がない。自分で呼んでおいて遅刻かと責めたくなった矢先、上から気配がした!

 

「っ⁉︎」

「オラァッ!」

「きゃあっ!」

 

突如現れたブランが斧を叩きつけてきた。太刀で受け止めたが吹き飛ばされてしまった。

 

「ブラン、何をするの⁉︎」

「ネプテューヌ、シェアを渡してもらうぞ!」

「なんですって⁉︎」

 

また斧で切りつけてくるブラン。太刀で受け止めて間合いを取る。

 

「待ってブラン!条約で武力によるシェアの奪い合いは禁止されているわ!」

「じゃあ騙し取るのはいいってのかよ!」

「騙し取る⁉︎なんのことよ!」

「白々しいんだよ、ネプテューヌ!」

「っ!」

 

《やめてっ!》

 

「なにっ⁉︎」

《うわあっ!》

 

再び切り掛かったブランとネプテューヌの間にウイングへと変身したミズキが立ちふさがった。

盾で受け止めたが、ブランの勢いが止められず吹き飛ばされる。ネプテューヌがウイングを受け止めた。

 

「ミズキ、大丈夫⁉︎」

《うん、なんともないよ》

 

すぐにウイングがネプテューヌから離れてブランの前に立ちはだかる。

 

《待って、ブラン!一体ネプテューヌがなにをしたっていうの⁉︎》

「ミズキ、お前もつるんでるのか⁉︎」

《僕が信じられないって言うなら、ここで切り伏せればいい!》

 

ウイングが両手を広げた。

ブランは振り上げた斧を下ろす。

 

「………各国のシェアの動きを調べた。すると驚きだ、各国のシェアが減った分プラネテューヌのシェアが上がってるじゃねえか」

《プラネテューヌ……つまりネプテューヌがシェアを3国から奪い取っているって言いたいんだね?》

「そうだ。ネプテューヌじゃないならイストワールか、ネプギアか……!」

「待って、そんなことありえないわ!そもそも他国のシェアを奪うだなんて、そんなこと……!」

「だが、誰かがやってるんだ!」

《2人とも待って!武力じゃ何も解決しない!》

 

一触即発の2人を懸命になだめる。

 

《確かに、僕もプラネテューヌのシェアの急激な上昇は不自然だと思う。君達の国のシェアの下降もだ》

「だったら!」

《だけど、僕はみんなを信じてる。少なくとも、シェアを奪うなんて卑怯な真似はしないはずだ。そんなのは、ネプテューヌの望む国じゃない》

「ネプテューヌの味方をするっていうのか⁉︎」

《僕はみんなの味方でいたい。だから、この現象の謎を解明してブラン達のシェアも回復させるし、ネプテューヌの潔白も証明するつもりだ》

 

ウイングは警戒を解いて両手を下ろす。

 

《その調査は第三者の僕が請け負う。異論はある?》

「……ないわ」

「……ねえよ」

《ありがとう。ブラン、まずは君の言ってることの証拠を見せて》

「……わかった。ルウィーに案内する」

「ミズキ、でも」

《心配しないで、ネプテューヌ。君は一旦戻って感謝祭に参加すべきだ》

「ミズキ……」

《行ってくるね》

 

ウイングは変形し、ブランについて行く。

ネプテューヌはその場に漂いながらルウィーへと飛んでいく2人を見ていた。

 

「何が起こっているの……?」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ミズキはルウィーに着いてブランからプラネテューヌに他国のシェアが流れ込んでいるデータの書類を見せてもらった。

 

「うん、確かに。各国のシェアが奪われているようだ……」

「でしょう?」

「だけどブラン。わだかまりは抜きにして、そんなことが可能なの?」

「……無理なはずよ。でも、エディンとの戦争にはシェアを集める機械があった」

「うん。でもアレはプルルートが壊したし、今はラステイションにある。ノワールを疑うわけじゃないけど、今もシェアが吸われているとするなら怪しいのはラステイションじゃない?」

「……けど、プラネテューヌが新たにその機械を開発した可能性もある」

「…………」

 

腕を組んで考える。

なんらかの手段で黒幕がシェアを吸う機械を開発したとして、プラネテューヌに集めるのは何故だ?狂信者などの仕業なのか……?

 

「……僕なら。仮に僕が君達のシェアをプラネテューヌに移そうとするなら、もっと緩やかにやるよ。でも、これはさすがに急すぎる」

「……急がなければならない理由があったって言いたいの?」

「もしくは、バレてもいいと考えているか」

「………つまり?」

「君達を意図的に仲間割れさせようとしたか……。もしくは、バレたとしてもどうしようもないとか。僕は前者の可能性が高いと思う」

「筋は通っているわ。こうして私はネプテューヌに不信感を抱いたわけだし……」

「それならプラネテューヌにシェアを集めたのも納得できる。シェア保有最下位の国なら、尚更不信感を煽れる……」

 

書類の数字を見て考える。なら、犯人は?

 

「……ラスティションに行こう、ブラン」

「え、あ、ちょっと……」

 

ブランの手を引いて外へと向かう。

 

「アノネデスに会いに行く。一応、レイにも聞くつもりだけど……彼女はプラネテューヌにいるしね。それに、アノネデスの方が何か知っている可能性が高い……」

「わ、わかったから、手を、離して……」

 

ブランの消え入りそうな声はミズキには届いていなかった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃、ノワールがラステイションの監獄へと足を運んでいた。

門番がいる厳重に警備された扉を開いて中に入ると空中に浮かぶ透明な球体の中に閉じ込められたアノネデスがいた。

 

「あら、ノワールちゃん。久しぶりね」

「よく言うわよ。この厳重警備の中、私にメールを送ってきたりして」

 

ノワールが呆れた顔をする。

 

「うふ、どうしてもノワールちゃんとガールズトークしたくって」

「言いたいことがあるなら早く言いなさい。私、暇じゃないんだから」

 

まだシェアは下降傾向にあるのだ。早く取り返さなければならない。

 

「あらあら、せっかちねえ。そんなんだと、友達無くすわよ?」

「………早く言いなさ……!……え?」

 

ノワールが声を荒げようとすると門番の1人が中に入ってきた。

ノワールにそっと耳打ちすると、ノワールも耳打ちを返した。

 

「あら、どうかした?」

「……アナタにお客様よ」

 

ノワールがはあ、と溜息をつくとドアが開かれる。そこにはミズキとブランが立っていた。

 

「あらあら……」

「……君に、聞きたいことがある」




事実確認、ブチ切れ→ミズキになだめられて落ち着く→手を握られて赤面=単純、と…。(((テンツェリントロンベ!

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