超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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終わったぁぁぁぁ!
次からアニメもラストに入ります!


日常という名の波乱へと

ネプテューヌが32式エクスブレイドを握りしめた。

 

「はああっ!」

「やあっ!」

 

ネプテューヌの32式エクスブレイドとピーシェの爪がぶつかり合う。

 

「うん、うん!いい戦術だよ!この剣を受けるためには擬似ファンネルを戻さないといけないもんね!そうなれば私も演算する必要ないし!」

「黙りなさい!それ以上、ぴー子の体で喋らないでよっ!」

 

そして機動力ならネプテューヌに利がある。

後退するピーシェをネプテューヌが追っていく。

 

「ファンネル!」

「えっ、あうっ!」

 

ネプテューヌの意思で動く太刀がピーシェを追い越して、柄でピーシェの腹を打つ。

そのせいで勢いが止まったピーシェにネプテューヌが追いつく。

 

「これで!」

「ガード!」

 

エクスブレイドで切りつけるがピーシェは爪で防いだ。

 

「惜しい惜しい!次は出来るかもね!」

「いつまでも、舐めくさってんじゃないわよ!」

 

2人が間合いを取って向かい合う。

ピーシェは1本ずつ、両手で2本の爪を射出した。

 

「擬似ファンネル!」

「通じないって、言ってるでしょ!」

「シェフの気まぐれ、私の同時攻撃も加えて!」

「っ、あっ!」

 

爪をファンネルで払ったネプテューヌだったが、ピーシェのパンチに吹き飛ばされる。

 

「それっ!」

 

ピーシェが爪を振るとそこから斬撃が飛んでくる。

ネプテューヌは上昇してそれを避け、左手に持っていた盾を投げ捨てた。

 

「っ、これ以上長引かせても私が不利になるだけ……なら!」

「捨て身の特攻、だよね!いいね、そういうのって燃える!」

 

ピーシェの手に擬似ファンネルが収納される。

 

「圧倒的不利……1撃でも貰えば私、負けちゃう……。なんて、最ッ高なの……⁉︎」

「ぷるるんとところにでも行けば⁉︎きっと、メチャクチャにしてくれるわよ……!」

 

ネプテューヌが円陣を蹴って移動した。

瞬間移動ほどもあるその移動速度は紫の軌跡を残して空を駆ける。

 

「はああっ!これが、今の私の全力よっ!」

「じゃあ、私はそれを砕くね!」

 

ネプテューヌのエクスブレイドとピーシェの爪がぶつかり合った。

ダイナマイトが爆発したような衝撃波が周りに飛び散り、クリスタルの結晶が森の中に散っていく。

砕けたのは、エクスブレイドだった。

 

「そんな……!」

「これで私の!か〜ちっ!」

 

ピーシェの爪がネプテューヌの腹を貫く、その寸前だった!

 

「あれっ?」

 

ピーシェの変身が解けた。そう、その瞬間はプルルートが砲台を破壊した瞬間だったのだ!

 

「っ、今よッ!」

 

エクスブレイドの柄を握り直す。

もうシェアの力はなくとも、まだみんなの意思がある!私の周りにみんながいる!右手にミズキがいる!

 

「信仰の剣が砕けたって!それに勝るとも劣らない、信頼の力が私にはある!」

 

エクスブレイドの刀身が復活し始めた。さっきよりもずっと歪で、カッコ悪くて、それでも美しく強い剣だ!

 

「見えない想いを見える剣に!この32式エクスブレイドで!」

「ヒヒッ、私の運が悪かったかな?」

「ぴー子から、出てってェッ!」

 

ピーシェの体をエクスブレイドが通り抜ける。

ピーシェの体には傷1つないが、ピーシェの体の赤黒い瘴気は霧散していった!

 

「……………」

「っ、ぴー子!」

 

ピーシェが真っ逆さまに落下していくのを受け止めた。

その時、ピーシェの首にぶら下がるキーホルダーのような物にネプテューヌは気がつく。

 

「これ、は………」

 

ガンダムの顔を模したぬいぐるみ。こんなのを作るのはミズキぐらいしかいない。

きっと首にぶら下げていたこれはずっとピーシェの側にいたのだ。

 

「ミズキが言っていたのは、これね……。これが私達とぴー子を、離れても繋ぎ止めていた……」

 

そのぬいぐるみをそっと撫でた。

 

「ぴー子……」

 

ふと、周りの空間が真っ白くなって2人の服が消えていく。何も覆い隠すことのない、本心の世界。

その中でピーシェはそっと目を覚ます。

 

「ねぷてぬ……」

「ごめんなさい、ぴー子。あんな小さいことで怒って……。許してあげられれば、良かったのに……」

「ぴ、ぴーも!ぴーもごめん!ねぷてぬのぷりん、おいしかった!だから、だから……!」

「ふふっ、たくさん食べたかったのよね。それがわかってれば……こんなに遠くにぴー子が行くこともなかった……」

 

ネプテューヌがそっとピーシェの頭を撫でる。

 

「ずっと、謝りたかった……。大好き、ぴー子……」

「ぴーも……ぴーもねぷてぬ、すき……!」

 

心が刹那、通じあう。

瞬間、白い世界が弾けた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

日常が再び帰ってきた。

プルルートが砲台の下の基地を潰したために制御がなくなり、近くにいるものから問答無用に攻撃するEXモンスターの特性が戻って同士討ちを始めたのだ。

増援も送られて来ず、そうなればもう討伐は容易であり各国は迅速にモンスターを退治した。

その後は首謀者の逮捕のためにノワール、ブラン、ベールがR18アイランドに向かうがそこで見たのは砲台があったはずの場所にあった大きなクレーターの中で血だらけのミズキに抱かれて泣く血だらけのプルルートの姿であった。

ミズキの傷自体はすぐに塞がったものの、出血は多量であり、病院に運び込まれたミズキは未だ目を覚まさない。

だがジャック曰く、命に別条はないらしく後は目覚めを待つばかりだ。

アノネデスとレイはすぐに見つかって逮捕され、投獄。

ピーシェもプラネテューヌの教会に再び保護されたが、元どおりにならないものがあった。

それは………。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

プラネテューヌの大きな病院。そこに慌ただしい足音が響いた。

スライド式のドアを乱暴にネプテューヌが開ける。

 

「ミズキ、起きたって本当⁉︎」

「し〜っ、ネプテューヌ、病院ではお静かに」

「あ、ご、ごめん……」

「クスクス、いいよ。心配してくれてありがと」

 

ミズキが病院のベッドの上で上半身だけを起こしている。

 

「心配したよね〜、ねぷちゃん〜」

「うん、そりゃあもう。心配しすぎて、逆に私が死んじゃうくらいだったよ!」

「クスクス、それは困るね」

 

隣にはネプテューヌより先にプルルートが座っていた。

自分の意思ではないとはいえ、ミズキを大怪我させてしまったプルルートはずっと付きっきりでミズキの側にいたのだ。

ミズキが目覚めたと伝えてくれたのもプルルートだ。

その時、ネプテューヌはミズキの胸のあたりが湿っていることに気付く。

ミズキはネプテューヌに向けて困ったような顔をしてウィンクする。

きっと、プルルートはネプテューヌが病院に来るまでに泣いていたのだ。胸が湿っているのは、きっと涙とか鼻水とか涎とかだろう。

 

「あ〜、そうだ〜。私〜、飲み物買ってくるね〜」

「うん。“ありがと”、プルルート。助かるよ」

「どういたしまして〜」

 

プルルートが席を外す。

ミズキの「ありがと」は水を買ってきてくれて感謝するという「ありがと」ではなかった。

ミズキはネプテューヌを手招きするとネプテューヌがミズキの近くの椅子に座った。

ネプテューヌもプルルートの意思は察したらしく、ミズキの顔を見て困ったように笑った。

 

「……良く頑張ったね、ネプテューヌ」

「っ、…………ひぐっ」

 

ミズキのその一言でネプテューヌの瞳から涙が溢れ出した。

ミズキはネプテューヌの頭を抱き締めた。

 

「ぴー子、ね……!ぐすっ、帰ってきたよ……?すっごい……元気で……っ」

「うん。君のお陰だよ」

「改造された、体も……!ジャックが、っ、治して……えぐっ、治して、くれてる……!」

「うん、うん」

「でもね……!記憶が……っ、ひっ、ひぐっ、ぴー子のぉ……記憶、が……ううっ!」

「うん、うん……」

 

ネプテューヌの背中をポンポンと優しく叩く。

そう、あの戦いの後にただ1つ戻らなかったものがピーシェの記憶なのだ。

度重なる改造と強化人間として暴走しかけたこと、さらに……アンチクリスタルに似た何者かの支配。

それらがピーシェの脳を傷つけたためとジャックは推測している。

 

「でもね……っ!通じ合ったんだよ……?私、ほんの一瞬だったけど……!ひぐっ、あうっ、謝っ、て……!ご、ごめ、ごめんなさいって……っ、ぐすっ、大好き、って……!」

「うん、良く頑張ったよ。ネプテューヌは……良く頑張ったさ」

「でも……っ!私、ぴー子を、ぴー子、を……!」

「うん、全部伝えて。……慰めるから」

「ううっ、うわぁ……ん……!ひぐっ、あうっ、えぇぇ……ん……!」

「ネプテューヌ……君は、凄いよ……」

 

ミズキの胸の中で泣きじゃくるネプテューヌ。

その声を扉の向こうでノワールが聞いていた。

 

「………やめやめ。盗み聞きなんて、趣味が悪いわね」

 

ノワールが扉から身を離す。ノワールはネプテューヌが大丈夫になるまで、誰も入らないようにしていたのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

そして、別れの日はやって来る。

大いなる存在であるピーシェを元いたプルルートの次元に戻す日だ。

結局、最後の最後までピーシェの記憶が蘇ることはなかった。

 

「ばいば〜い、みんな〜。元気でね〜」

 

プルルートが手を振る。もう片方の手はピーシェと手を繋いでいた。ピーシェはネプテューヌのぬいぐるみを抱きしめている。

みんなも寂しそうな顔をしているが、その中にネプテューヌはいなかった。

 

「それでは、次元のゲートを開きますね」

 

天に巨大な魔法陣が現れ、そこから円柱状の柱が立つ。恐らく、あの中に入ればプルルート達は帰ってしまうのだろう。

 

「お〜い!ちょっとタンマタンマ〜!」

「遅いわよ、ネプテューヌ」

 

ネプテューヌがギリギリ走り寄ってきた。

その手には袋を持っている。

 

「はい、ぴー子。これ」

「なに?これ……」

 

ピーシェが袋の中から「ねぷの」と書かれたプリンを取り出す。そのプリンを覚えていないことにネプテューヌは一瞬顔を歪めたが、すぐに満面の笑みを浮かべた。

 

「世界で、1番おいしいものだよ!」

 

するとプルルートが思い出したように手元から人形を取り出した。

 

「そうだ〜、ぎあちゃ〜ん。これ〜」

 

プルルートが取り出してのはネプギアを模したぬいぐるみだった。

 

「はい〜、あげる〜」

「わあ、ありがとうございます!」

 

ネプギアが満面の笑みを浮かべた。

次にプルルートはミズキを呼ぶ。

 

「あと〜、ミズキ君〜」

「ん?なに?」

 

プルルートは後手に何かを隠していて、何を持っているかわからない。

ミズキはプルルートに歩み寄る。

 

「む〜……届かないよ〜。しゃがんで〜?」

「ん、わかった」

「目もつぶって〜?」

「ん」

 

しゃがんだミズキが言われた通りに目をつぶる。

 

「プルルートさん、早くしてくださいよ?ゲートが閉まってしまいます(´-ω-`)」

「わかってるよ〜。それじゃ〜」

 

瞳を閉じた真っ暗な世界で話し声が聞こえる。

すると、みんなが息を飲む音とノワールの声が聞こえた。

 

「ミズキ!」

「えっ?」

 

幸か不幸か。

ミズキがその声に振り向いたためにーーーー。

 

 

 

プルルートのキスは頬に逸れた。

 

 

 

「ちゅっ」

 

 

 

「っ⁉︎」

 

『⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎』

 

みんなが口をあんぐり開けて、一瞬遅れて真っ赤になる。ロムとラムまで見てしまったため、非常に教育に悪い!

 

「…………えと……」

「もう〜、邪魔しないでよ〜。でも〜、確かに卑怯だったかもね〜」

 

プルルートも微かに頬を赤らめてニッコリと笑う。

 

「これは〜、助けてくれたお礼ってことにしておくね〜。また〜、会いに来てね〜?」

 

プルルートが次元ゲートの中に入る。それにつられてピーシェもゲートの中に入る。

 

「じゃ〜ね〜」

 

プルルートが手を振るとゲートの中が光に包まれる。

瞬間、それは奇跡か、必然か。

ずっとねぷのぷりんを見ていたピーシェがふと、呟く。

 

「………ねぷてぬ?」

 

「えっ………?」

 

3人が消えて光の粒子だけ残る。

その光の粒子も消えてみんながいた証がなくなっていく。

 

それでも、最後には、本当に。

 

全て、元通り。

 

「………まいったなあ」

 

とはならないようだ。いい意味で。





蘇る悪魔。

世界の終わりの始まり。

圧倒的な力。

………それにも負けない力が、目覚める。

次回、最終章。

「変身」

ーーーー

や っ た ぜ 。
後悔してない。むしろ歓喜してる。これ書いてニヤニヤしてる自分の顔見て死にたくなりました、へへっ。

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