超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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次はアニメ1話の冒頭です。


女神会議という名のガールズトーク

人は何故、同じ過ちを繰り返すのだろう。

 

私は、親が子供に過ちを伝えるのを怠ったからだと考えた。

 

私はそんなことが起こらぬように子供には私の全てを教えた。

 

子供は、私になってしまった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

先程までの沈痛な表情は何処へやら、ネプテューヌはいつもの調子を戻して笑う。

 

「それで、そのミズキって人はどんな人なの?」

「え?」

 

ノワールが質問した。

 

「当然の疑問でしょ?ネプテューヌから見て、そのミズキって人はどんな人なのよ」

「え、えと……」

「確かに気になるわ。まずは外見から教えてもらえる?」

「外見かあ……。そうだ!確か、写真あったから持ってくるよ!」

「写真、ですか?」

「そう!今日記念写真を撮ったんだ!」

 

そう言ってネプテューヌは画面の前からいなくなる。

女神の式典で忙しくなり、しばらくはろくに話せなくなりそうだという時に、ネプテューヌが提案したのだ。

みんなで写真を撮ってそれを見てれば大丈夫だって。

ネプテューヌは自分の部屋に戻って立ててあるその写真を持ってくる。

 

「おまたせ!この人だよ!」

 

男の人の両端に笑顔のネプギアとピースサインしたネプテューヌ。その隣にアイエフとコンパが写っている。ネプテューヌの腹の辺りには小人が2人。イストワールとジャックだ。

 

「この小人さんはどなた様ですか?」

「あ、えっと説明してなかったっけ?いっけね!ミズキのサポートロボットのジャックだよ!」

「サポートロボット?」

「うん。気持ちがあるんだって。『ちゃんと、考えて、感じる僕の友達』……ってミズキが言ってた」

「じゃあ、この真ん中の男の人がミズキでいいのかしら?」

「そうだよブラン。どう?」

「どう、と言われても……」

「普通にイケメンですわよね。優しそうな顔をしてますわ。一人称は『僕』な感じの」

「うん。ミズキは自分のことを『僕』って言うよ」

「っていうか……普通に優良物件……」

「そうかしら?男である以上、私達を守れるくらいじゃないとダメよ。いかにもヘタレって感じの顔じゃない、その人」

「何言ってんのさ、ノワール!ミズキってば無茶苦茶強いんだからね!」

「へえ〜?じゃあ、どれくらい強いのよ」

 

意地で言い返したのだと思ったのだろう。ノワールは意地悪にそんなことを言う。

だがネプテューヌは至極真面目な目で言った。

 

「下手すれば私より強いよ?」

「ほら、やっぱ………え?」

「だ〜か〜ら〜!私より強いかもしれないって言ってんの!ノワールの耳は節穴だね!」

「いや、穴でいいとは思うのですけど……それはホントですか?」

「ネプテューヌ、冗談キツイわよ」

「そ、そうよ!いくらシェアが1番低いとはいえ、仮にも女神が負けるなんて……」

「嘘じゃないよ!」

 

これは本当の本当。

ぶっちゃけネプテューヌは本気でミズキと戦ったら勝てる自信はなかった。

ミズキの変身は1度しか見ていないがプロセッサユニットなし、ボロボロだったあの時でさえ、あの機動力。そして何より、あの赤く輝くモード。

 

「一応聞くけど……ミズキって人間なの?」

 

ブランが質問する。当然だ、女神に勝てるような人間などいるはずがない。

 

「え?う、う〜ん、どうだろ?」

「なんでそこで疑問系なのよ……」

「違うかも。変身するし、傷はすぐ治るし、手は取れるし………」

「それは間違いなく人間ではないわ。ていうか、ツッコミどころが多すぎるのだけど……」

 

ツッコミの大渋滞。いったいどこから問い詰めればいいのだろう。せめて、あとネプテューヌが3人いれば……。

ねぷ?

ねぷ?

ねぷ?

ノワールは頭痛がして考えるのをやめた。ネプテューヌが3人とか悪夢以外の何物でもない。

 

「凄く問い詰めたいですが……ていうか凄く気になって夜も眠れなくなって女神式典で寝不足で倒れてしまいミズキさんに介抱される未来が見えますが」

「それは幻よ、ベール」

「もうそろそろ時間ですわね。私は用事があるので、これで失礼しますわ」

「それじゃあ、私も」

「私もそうするわ」

「わかったよ、じゃあね!あ、ミズキのことさ、妹達にもよろしくね!バイバーイ!」

 

ブツッと通話が切れた。

ちなみにベールの用事というのはネトゲのイベント開始だったのだが……それを誰かが知る由もなかった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ふう」

 

パソコンを数回クリックして電源を切る。

ノワールは地球儀やら何やらが並んだ机の上の真っ黒い画面のパソコンを見つめた。

 

(戦争の被害者、ね……)

 

本当に耳が痛い。ネプテューヌから経緯を聞いてどきりとしたのは私だけではないはず。

そうだ、戦争というのはたくさんの犠牲を出す。

ミズキはそのいい例ではないか。

 

「お姉ちゃん、終わった?」

「あ、ユニ。ええ、終わったわ。もう入っていいわよ」

「は〜い」

 

ドアを開けてユニが入ってくる。

ユニはノワールの妹、女神候補生だ。その手には書類の束を抱えている。

 

「はい、お姉ちゃん。書類だよ。どうだった?」

「特に問題はない……けど……」

「お姉ちゃん?」

 

黙り込んでしまったノワールをユニが心配そうに覗き込む。

 

『妹達にもよろしくね!』

 

「……ねえ、ユニ。相談があるんだけど」

「え?相談?どうしたの、お姉ちゃん。珍しいね」

 

ユニは自分が頼られたと思ったのか嬉しげだ。ノワールもそれにつられて笑顔になる。

 

「大したことじゃないわ。数週間後に、女神の友好平和条約が結ばれるでしょう?」

「うん。女神同士の戦争を止めて、仲良くしましょうって条約だよね」

「そうよ。その後にパーティがあるんだけど、ユニも参加しない?」

「え、私も?私は留守番のはずじゃ……」

「だから、相談。もし、ユニがパーティに出席すると、帰って来た時にユニの仕事が増えちゃって大変でしょうから」

「でも……どうして?いきなりそんなこと……」

 

確かに、疑問に思うだろう。

ユニもパーティには行きたい。あっちには友達のネプギアもいることだし。

だけど、ノワールが手のひらを返すなんて珍しい。気まぐれなわけはないのだから、何か理由があるはずだ。

 

「プラネテューヌからとある男の人が参加するらしいの。その人と友達になって欲しいってネプテューヌに頼まれてね」

「男の人?」

「そ。妹達にも友達になって欲しいらしいわ。だから、仕方なく、本当に仕方なく、了承したの」

「………ふふ、お姉ちゃんもなんだかんだ言ってネプテューヌさんのこと、好きだよね」

「な、そんなことないわよ!そんなこと言ってる暇があったら、書類片付けなさい!まだまだ仕事はあるんだから!」

「は〜い、お姉ちゃん。ふふっ」

 

顔を真っ赤にしたノワールから逃げるようにユニは部屋を後にした。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「戦争、ね………」

 

ふぅ、と息を吐いてブランは椅子から立ち上がった。

するとドアが開いて元気いっぱいの双子の女の子が2人、駆け寄ってきた。

快活な方がラム、おとなしい方がロムだ。

 

「お姉ちゃん!」

「お姉ちゃん……仕事、終わった……?」

「ええ。今終わったわ」

「ねえねえ、私達もパーティ行きたい〜!」

「私も……。ネプギア達に、会いたい……」

「ダメ。連れて行くわけにはいかないわ」

 

駄々をこねる2人を説得する。

だが、ちっとも聞いてくれる様子がない。

 

「いいじゃん!私達も遊びたいよ!」

「お姉ちゃんばっかり……ずるい……」

「なんと言おうとダメ」

 

まだ子供の2人を外の国に連れて行くなんて、危ないことこの上ない。それに、2人はとてもイタズラ好きで、よく教会の職員にイタズラをしては追いかけられている。

そんな子を連れて行けるものか。

だが親の心子知らず。

今回の場合は『姉の心、妹知らず』か。

どうやってロムとラムを納得させようか考えているとふと、さっきの話を思いついた。

 

「パーティには連れて行けないけど……。その代わり、ロムとラムには友達を作ってあげる」

「友達?」

「どんな人……?」

「パーティに来る、ミズキっていう優しそうな男の人。その人は2人と友達になりたいらしいの」

 

本当はみんなと、だが。この場合は嘘も方便だ。

 

「本当に⁉︎」

「私達と……⁉︎」

 

心の中でブランはガッツポーズする。

 

あたっく、ちゃ〜んす。

 

………なんだ今のおじさんは。

 

 

「その人の予定がわからないからいつになるかわからないけど、いつかその人を連れて来てあげる。だから、今回のパーティは我慢してくれない?」

「うん!大丈夫!ロムちゃんもいいよね?」

「うん……。我慢、する……」

「いい子ね、2人とも」

 

大正解!ポイントゲットでございます。

 

だから、あなたは誰よ。

 

2人の頭を撫でると2人は笑顔になった。

 

「さ、もう寝なさい」

「うん!」

「お姉ちゃんは……?」

「私はあと少し仕事をしてから寝るわ。おやすみなさい」

「うん……おやすみ……」

 

 

ブランは妹達を説き伏せられた満足感と、ミズキをダシに使ってしまったことに少しの罪悪感を抱いてパソコンの前に戻った。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ネプテューヌはパソコンの電源を切るとリビングへと向かった。

もちろん、休憩のためだ。だが今回ばっかりはサボりではない。本気で疲れた。

 

「ふぇ〜、疲れたよ〜……。誰か、私に癒しを……。ホイミ、ホイミネーを……」

 

ばったりとソファーに突っ伏す。

 

「あ、お姉ちゃん。大丈夫?」

「あんまり大丈夫じゃない……。ネプギア、私にホイミネーをかけて……」

「滋養強壮の食材でも買ってこようか……?」

 

ネプギアは苦笑いをしながらソファーに突っ伏す姉を見る。

見えちゃいけないところが見えていてだらしないが気にしない。スカートの中とか。

 

「うう……頑張らなきゃ。栄養ドリンク飲んでもうひと頑張り!」

「うん!私も手伝うよ」

 

冷蔵庫までフラフラ〜と歩くネプテューヌ。

 

「最近みんなとも会ってないし……」

「仕方ないよ。でも、モンスター退治とかは請け負ってもらってるんだし」

「そうだよね。みんなも頑張ってるんだもんね!」

 

私だけが寝るわけにはいかないよね!

そう思って冷蔵庫を開けるとその中にビニール袋に包まれた何かが入っていた。

 

「あれ?こんなのさっき開けた時には……」

「くんくん……はっ!これは、プリン!」

「匂いでわかるの⁉︎」

 

完全密封のはずだが。

 

「プリンさえあれば私は元気100倍、プリンマン!さあ〜、食べ……ってあれ?2つある……」

 

早速冷蔵庫から取り出すと感触から中には2つ入っていることがわかった。

ネプテューヌは不思議に思って袋の中からプリンを取り出すとスプーンと一緒にメモ用紙がひらりと床に落ちた。

 

「あれ?メモ?」

「どれどれ……『ネプテューヌ、ネプギア、お仕事お疲れ様』……」

「もしかして、ミズキから⁉︎」

 

ネプギアがメモを拾い上げてそれを読み上げる。

 

「『疲れてると思うけど、これを食べて元気を出して。応援してるよ、ミズキより』……だって」

「〜〜〜!ありがとね、ミズキ!この恩は必ず返すよ!」

「お、お姉ちゃん⁉︎」

 

ネプテューヌは走り出して行ってしまった。

 

「プリンは食べないの⁉︎」

「終わってから食べるよ!さあ、お仕事頑張るよ〜!」

「ま、待ってよお姉ちゃん〜!」

 




アタックチャンス。
ヨシヒコ二期とか超楽しみ。

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