超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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この章も長くなりそう…。


見つけたい答え

「ん、ん〜……」

 

朝、プルルートは部屋に人の気配があって起きた。寝ぼけ眼を擦ってその方向を見るとネプテューヌが棚を見つめている。

 

「……………」

 

棚に立てかけてあるピーシェのぬいぐるみだ。ピーシェが置いていってしまったもの。

 

「ねぷちゃ〜ん……?」

「あ、ぷるるん。ごめん、起こしちゃった?」

「ん〜ん〜……それは〜いいんだけど〜」

「ごめん、ぷるるん。もうすぐ朝ご飯だからね!」

 

そう言ってネプテューヌは部屋を出て行ってしまった。

 

「……これで〜、4回目〜……」

「ごめんね、プルルート。許してあげて」

 

部屋にミズキが入ってくる。

 

「私〜、怒ってないよ〜?でも〜、心配〜」

「大丈夫。もうネプテューヌはやるべきことがわかってるはずだから。あとは待つだけだよ」

「何を〜、待つの〜?」

「決意だよ。迷わない決意。……時間がいるんだ」

 

ネプテューヌがどうしたいかはわからない。どんな気持ちかも、予測しかできない。

 

「その時は助けてあげて、プルルート。ネプテューヌが道を見失った時、道を指し示すのは……友達の役目だ」

 

ミズキもニコリと笑って部屋を出て行った。

 

「……1番迷ってるの〜、自分のくせに〜……」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ネプギアが部屋のドアをノックする。中から「入っていいよ」という声が聞こえた。

 

「入ります」

「どうかしたの、ネプギア?」

 

ネプギアが入ったのはミズキの部屋だ。ミズキは机に向かって何かを書いていたみたいだ。

 

「あの……私、どうすればいいのかわからなくって……。お姉ちゃんも、みんなも悲しくって……。だから、ミズキさんなら何かわかるかなって」

「……答えはわかってるんだ。もう1度ピーシェに会って、たくさん話をするべきなんだ。それはわかってる。それはみんなわかってる。でも、僕も欲しい答えを持ってない……。一緒に考えてくれるかな?」

 

ミズキの机の上の紙にはミズキの考えが散らばるように書かれていた。

 

「最初は……僕達はどこから間違えたんだろうってことだよ」

「……R18アイランドに行ってさえなければ……でも、プラネテューヌに残ってたユニちゃん達も会えなかったって……」

「じゃあ、出会ったことが間違いなのかな?」

「そんなことはないです!」

「うん、その通りだ。でも、それじゃ八方詰まりなんだ」

 

ミズキは紙の上に大きくバツを書く。

 

「出会ってどうする?出会いたいのはなぜ?何が間違ってた?どこから間違えた?なんで間違えた?ピーシェはどんな気持ちでここを去ったの?今ピーシェはどんな気持ち?」

 

紙の上にどんどん問題が書かれていて、処理できない。どんなコンピューターだろうとこの問題は処理できやしない。

 

「……そんな……」

「わからないことが多すぎるね。だから、僕達にピーシェは助けられない」

「そんな!だって、そんなの、そんなの……」

「僕達にはできない。けど……もしかしたら、ネプテューヌなら……」

 

ミズキが見つめるのは文字で埋め尽くされた紙の中の僅かな余白。

 

「ネプテューヌなら、答えを持っているかもしれない。どうすべきか、どうしたいか、わかるかもしれない」

「お姉ちゃんが、ですか……?」

「うん。役割分担だよ。誰かにできないことがあるなら、みんなで手伝う。マジェコンヌの時もそうだったでしょ?」

 

マジェコンヌを倒すのはネプギア達の役目で、女神を救い出すのはミズキの役目だった。

だからきっと今回は、ピーシェを取り戻す役目はネプテューヌの役目なのだ。

 

「だから、今は僕達にできることを探してる」

「……助けましょう、お姉ちゃんを。お姉ちゃんを信じて……!」

「……うん、その通りだ。もしネプテューヌがしたいことがあったなら、僕達で全力で助けよう」

「……はい」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃アイエフとコンパはパソコンの前に座っていた。その画面にはユニとロムとラムが映し出されている。

 

「……というわけなんです。手伝っていただけますか?」

「うん。私達のところにもジャックさんから連絡は入ってるわ」

 

つい先程のことだが、ジャックが衛星の写真を解析してピーシェの行方を見つけ出したのだ。

ジャックはアイエフとコンパ、それに各国に協力を申し出て、とりあえず仕事のない女神候補生がその役目を果たそうとしているのだ。

 

「私達も、ピーシェちゃんに会いたい……!」

「絶対見つけ出すんだから!」

「はいです!きっと見つかるですよ!」

「じゃあ、これから目的地の座標を送るので飛んできてくださいますか?」

「ええ。座標は?」

 

 

 

 

 

アイエフとコンパはバイクに跨ってプラネテューヌの街の外れに到着した。

すると女神候補生が空から変身を解きながら降下してきた。

 

「待たせたわね」

「いえ。私達も今来たところですし」

「それで、ピーシェちゃんのいる場所は?」

「もしかして……あれ…?」

「は、はいそうです。あの建物ですぅ」

 

みんなでコンパが指差す建物を見る。

その建物は家……というよりは何かの事務所のようだ。ボロくて生活の匂いもなく、人が住んでいるのか怪しいくらいだ。

 

「……あれ?なんでロムちゃんわかったですか?」

「え?……なんでだろ……?」

 

不思議とわかったのだ。この感覚、前にも感じたことがある。

 

(私、最近変だ……)

 

ロムは子供ながらに自分の不思議な感覚を怖がってしまう。まるでなんでも見通してしまったような感覚がある。

 

「まあ、偶然なんじゃない?入りましょう」

 

ユニがみんなを連れて建物の中へと足を踏み入れる。

建物は本当に何かの事務所のようだがほとんどの部屋の扉は開いて使われていない。

唯一閉まっていた扉の前にみんなで立った。

 

「何かおかしいわね……」

 

ユニだけではない。全員が不審感を抱いている。ジャックは言ったのだ。母親と思われる女はピーシェの名前を1度も呼ばなかったと。やはり、ジャックの心配は当たっていたということだろうか?

 

「……誰かいますか〜?」

 

アイエフがドアを小突く。だが中からは返事がない。しかもドアには鍵がかけられていないらしくノックの衝撃だけでドアが少し開いた。

 

「……入りますよ〜⁉︎」

 

アイエフ達は慎重に部屋の扉を開いた。

奥へ奥へと向かっていくが全く人がいない。それどころか生活に必要なものすらない有様だ。恐らくだが、ここには人は暮らしていない……。

 

「これが、最後の部屋ね……」

 

アイエフがドアノブに手をかけた。その瞬間。

 

 

「ダメッ!」

 

 

「え?」

 

ロムが大声をあげた。

アイエフは驚きでドアノブから手を離してしまった。

 

「ど、どうしました?」

「……わからない。わからないけど……やだ……!」

 

ロムは直感でドアを開けてはいけないと感じているようだ。ロムがそっと後ずさってドアから離れていく。

アイエフはその様子を見て慎重にドアを近づき直した。

 

「だ、ダメ!ダメなの……!」

「わかってます。ドアは開きませんから……」

 

アイエフは懐から何やら機械を取り出してドアノブに取り付けた。

 

「……この裏、爆弾があるわね。ドアノブを下げると作動する仕組みになってる」

「ええ⁉︎じゃあ、さっきドアを開いてたら……!」

「……みんな、死んでたかもしれません」

「や、やったね、ロムちゃん!お手柄よ!」

「………うん……よかった、けど……」

 

自分の不思議な感覚が怖い。一体これは何?どうしてこんな感覚が芽生えたの?

 

「……ですけど、これではっきりしました。誰かが私達を罠にはめようとしていたということが……」

「じゃあ、ピーシェちゃんは、母親のところに帰ったんじゃなくて……」

「十中八九、攫われたわね」

 

その事実に全員が息を飲む。

 

「どうするの?この中に大事なものがあるかもしれないけど……無理矢理開けたらその大事なものごと、粉々になっちゃうわ」

「……私が爆弾を解除してみます。少し、時間はかかりますが……」

「任せたわよ。もしかしたらこの奥にピーシェちゃんへの手がかりがあるのかもしれないし……」

 

アイエフはドアに張り付いて爆弾の解除を始めた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

とある閉じられた部屋。その部屋の隅っこでピーシェを迎えに来た女は座り込んで爪を噛んでいた。

 

「なんで……私は……女神なんて嫌いなのに……!」

 

その目線の先にはひたすらにキーボードを叩く、アノネデス。監獄にいるはずのアノネデスが女の前にいた。

 

「女神はいなくなった方がいいんです……なのに、なんでこんなことに協力を……!」

「アナタも諦めが悪いわね、レイちゃん」

 

女の名前はキセイジョウ・レイ。女神排斥運動の活動家だ。

 

「アナタに無理矢理やらされてるだけじゃないですか!私、ただの市民運動家なのに……どうして私なんですか⁉︎」

「仕方ないでしょ。今回のクライアントがレイちゃんを仲間に引き込めって言ってきたんだし」

「そのクライアントって誰なんですか⁉︎」

「アタシも知らないわ。電話でしか話したことないし。ま、ギャラは悪くないわね」

「……私、もう帰ります!」

 

レイが立ち上がって部屋のドアを開こうとする。それをアノネデスが前を向いたまま引き止めた。

 

「あら、それはダメよ。アナタ……もう共犯なんだから」

「………!」

 

レイは立ち止まって振り返る。アノネデスもこちらをパワードスーツ越しに見ていた。

 

「攫ってきたのは他でもないアナタ、でしょう?」

 

モニターにはコードに繋がれて磔にされたピーシェが映っていた。目を閉じているピーシェの体に光が注がれていく。

 

「わかったらそんなところで腐ってないでアナタの仕事をして?この子もそろそろ仕上がるわ……」

「……………」

 

だが、2人には影になって見えていなかった。ピーシェの服の中にあるから気付かなかった。

ピーシェの服の内側、小さな小さなぬいぐるみがほんの少しだけ、揺れた。

 




ロムは何かに目覚め始めました。その感覚は一体なんなのでしょうか。
この章はそうっすね…クロスボーンに関係するガンダムの祭りで。

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