超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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私の本領は音ゲーです。太鼓の達人が得意。やってる人は是非教えてください。


れっつ、めいく、ふれんず

良いことはたくさんした方がいい。

 

悪いことはしちゃいけない。

 

みんな知ってる世界の常識。

 

じゃあ良いことと悪いことって何?

 

この世には偽善とかお節介って言葉もある。

 

何が何だかわからなくなって、私は何もしないことにした。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

結果は……うん、惜しかった。

最後より1個前のボスで2人とも死んでしまった。結局コンティニューしてクリアしたけど。

画面に張り付いてくる小さい虫みたいなやつも、大きなボスも、投げつけてくる物も全部撃ち抜いた。

 

「すごいね、ネプテューヌ。慣れてるんだね」

「ミズキも凄かったわ。さ、次のゲームに……」

「待って、ネプテューヌ。これ」

 

クリア後に画面が変わった。

どうやら、2人の相性診断なんてものがあるらしい。

 

『100%!抜群の相性!』

 

「クス、抜群だって」

「そりゃ、クリアしたから当たり前よ」

「クスクス、そうだね」

 

顔は嬉しそうだけど、それについて言及しないであげる。

 

「さあ、次はクレーンゲームよ」

「クレーンゲーム?」

「そうよ。このクレーンを操作して、この穴に景品を入れるの。やってみる?」

「やってみようかな」

 

1って書いてあるボタンで上に、2って書いてあるボタンで横に動くらしい。

 

「どれにするの?」

「それじゃ……とりあえずこれで」

 

この世界のキャラはよく知らないけれど、この猫のキャラクターはなんとなく好きだな。

コインを入れて取りたいぬいぐるみの真上にクレーンを持ってくる。

 

「よし!」

 

だが哀れ、クレーンはぬいぐるみの重量を持ち上げられずにそのまま上に行ってしまった。

 

「えっ⁉︎」

「ふふっ、そんな簡単じゃないわよ。ただ持ち上げようとしても、ぬいぐるみは持ち上がらないように出来てるのよ」

「そんな………」

「私を見てて?……そうね、このお菓子でも取ろうかしら」

 

ネプテューヌが狙うのはお菓子が置いてあるやつだ。どうやら、並んでいるポテトチップスを取るらしい。

 

「ここを……こうよ!」

 

ネプテューヌはクレーンを止めたが、少しずれてしまっている。

 

「ずれてるけど……いいの?」

「いいのよ。見てて」

 

クレーンはうまくポテトチップスの重心をずらして転がり落とした。

 

「やったわ!」

「へえ〜……そうやってとるのか……」

「ふふ。さ、次のゲームをしましょう?」

 

ネプテューヌについていく。

するとネプテューヌがクレーンゲームの台の1つに少し視線を止めた。

だがそのままスタスタと言ってしまう。

……………。

 

「………ネプテューヌ、ストップ」

「え?どうかしたの?」

「悔しくってさ。これ、1回でいいからやらせてくれない?」

「……別にいいけど」

 

その中にいたのは可愛らしい犬のキャラクター。名前は柴犬と書いてムラサキイヌ。プラネテューヌは紫の女神であるネプテューヌが治めているからかな。

 

「出来るの?さっき失敗してたけど……」

「任せて」

 

コインを入れてクレーンを動かす。

さっきのネプテューヌみたいに、重心をずらすように……。

 

「ここ」

 

ウィーンとクレーンは動いて、見事柴犬の重心をズラした。

 

「よし!」

 

次の瞬間、柴犬は景品穴に落ちていた。

 

「やった!」

「凄いじゃない、ミズキ」

 

柴犬を穴から取り出す。

フカフカしていて、とても触り心地がいい。

僕は迷わずそれをネプテューヌに差し出す。

 

「はい、ネプテューヌ」

「え?私に?」

「欲しかったんじゃないの?さっき、ちらっと見てたよね?」

 

間違ってると恥ずかしいんだけどね。

だけどそれは杞憂だったようでネプテューヌは少し迷って手を宙に彷徨わせた後、ぬいぐるみを受け取ってくれた。

 

「あ、ありがと……。じゃ、私もお返ししなきゃね」

 

ぬいぐるみで顔の下半分を隠してそんなことを言う。

ネプテューヌは逃げるように台の間をすり抜けていった。

それを追いかけていくとネプテューヌは小さいキーホルダーがたくさんかかっている台の前で止まった。

 

「どれ取るの?」

「………これよ」

 

ネプテューヌが指差す先には……ネプテューヌ?

女神化する前のネプテューヌをデフォルメしたようなキーホルダーだ。

 

「1発でとって驚かせてあげるんだから」

「頑張ってね」

 

まだお姉さんアピールみたいなのは続けているらしい。

でもネプテューヌはしっかりと有言実行、キーホルダーを落としてみせた。

 

「はい。私のキーホルダーよ。……大事にしてよね?」

「もちろんさ」

 

ネプテューヌからキーホルダーを受け取る。

無くさないように、ズボンに括り付けた。

 

「さあ、次は格闘ゲームよ。なんか、さっきからからかわれてる気がするし……ここらで流れを取り戻すわ」

「格ゲーかあ……。これは熟練度の差が出るね」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ホラホラホラホラ」

「いたっ、いたっ、いたた!下段キック連打ってせこっ!それでも女神か〜!」

「なんとでも言いなさい!それっ!」

「くぅ〜!この、このこのこの!」

「はい、カウンターよ」

「初見殺しも甚だしいね!」

「これで勝確よ!ホラホラホラホラ」

「か、壁ハメは!NG!NG!えぬ……ぐわっ!」

「今思ったけどNGってネプ(N)ギア(G)の略かしらね」

「知らないよそんなこと!」

 

 

「くちゅんっ!…………?」

 

 

「あ、煽るのを忘れてたわね」

「それはゲーマーとしてどうなの⁉︎」

「身内だからいいのよ。ほら、かかってきなさいよ」

「この!」

「はい、カウンター」

「いい加減にしてくんない⁉︎」

 

この後散々負けた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「酷い目にあった……」

「ふふ、最後に勝てて良かったわ。これで私の女神としての素晴らしさがわかったんじゃない?」

 

いや、ゲーマーとしては尊敬するけど女神としてはちょっと……。

 

「せめて、もうちょっとお仕事したら尊敬するよ」

「う。違うのよ、アレは休憩なの。女神の仕事はハードなんだから」

「はいはい、休憩ね。くすくす」

 

ネプテューヌはバツが悪そうな顔をする。図星というか、痛いところを突かれたのだろう。

すると、ネプテューヌはまた腕を組んできた。昼のリベンジかな?と思ったが違うらしい。

なんだか、もっと温かい……柔らかな笑顔をしている。

 

「ねえ、ミズキ。ミズキは前、自分のことを兵器と言ったわよね」

「………うん、そうだね」

「でもね、ミズキ。ミズキが自分のことを兵器と言った理由はわからないけれど……きっとミズキは兵器なんかじゃないと思うの」

「………どうして?」

 

僕が問うとネプテューヌはさらに強く僕の左腕を抱きしめた。

 

「だって……こんなにも、温かいのだもの……」

「……………」

 

『ミズキは兵器なんかじゃないわよ。れっきとした、私達の、仲間よ。ミズキは私達の、友達!』

 

「…………クス」

 

そんなことを言ってくれた女の子を思い出す。

嬉しくて、少し笑ってしまった。

 

「だから、ね?そんな寂しそうに笑わないで。そんな顔されると、私、ミズキが何処かへ行ってしまいそうで……」

 

黙って右手でネプテューヌの頭を撫でる。

するとネプテューヌはさも名案を思いついたかのように顔を上げた。

 

「そうだわ。もうすぐ女神の式典があるのは知ってるわよね」

「え?う、うん」

「その後にパーティがあるんだけど、ミズキも招待してあげるわ」

「え?女神のパーティに、僕が?」

「何も女神だけじゃないわ。あいちゃんとコンパも来る予定なの。どう?」

 

ネプテューヌなりに元気付けようとしているのだろう。

そんな気持ち、無駄になんかできるわけがない。

 

「うん。喜んで」

「………良かった」

 

僕達はそのままプラネテューヌの教会に向かって歩き始めた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「それじゃ、よろしいですわね?それじゃ、今回の会議はこんなところで……」

「あ!そうだ、みんな!」

 

パソコンの前でネプテューヌが身を乗り出す。

画面には3人の女の子。

それぞれラステイションの黒の女神、ノワールとルウィーの白の女神、ブランとリーンボックスの緑の女神、ベールだ。

数時間前から式典の打ち合わせを4人でしていたのだが、それももうベールが締めて終わろうとしていた。

それをネプテューヌが遮ったのだ。

 

「式典終わった後のさ、パーティあるじゃん!」

「ゲームならやっちゃダメよ」

「ダメなの⁉︎」

「ダメなのですか⁉︎」

「ベールまで驚いてどうすんのよ!」

「ネプテューヌ。ふざけてるならもう締めるわよ」

「あ、違う違う!そうじゃなくて!」

「じゃあさっさと用件を言いなさい」

 

ブランはご機嫌斜めだ。それというのもついさっきまでブランの妹であるロムとラムが後ろではしゃぎまくっていたからだ。

 

「そ、その式典にね、1人、男の子を招待しようと思うの!ミズキ、っていうんだけど〜」

「男の子?まあ、別に構いませんけど……わざわざ私達に聞くことではありませんわよね?」

 

別に自分の国から1人男を招待するくらい、この場で聞くようなことではないだろう。

ネプテューヌ以外の3人はみんなそう思った。無論、ネプテューヌでもそれくらいわかってるはずである。だからこそ、3人は怪訝に思った。

 

「あの、その、ね?みんなに頼みがあって……」

「何よ。アンタにしては珍しく歯切れが悪いわね」

「……そのミズキって人がどうかした?」

「まさか、結婚の報告とかではないですわよね⁉︎」

「ち、違う違う!そんなんじゃなくて!」

 

顔を真っ赤にして否定するネプテューヌ。

それを目ざとく見たベールが追及する。

 

「あらあら?もしかして、まんざらでもないとかですわね?いいですわね、ネプテューヌは。女神ともなると出会いがなくて……。理想の殿方とは出会えないものですわ」

「ベール……アナタ、そんなこと考えてたの?」

「ノワールは考えたことはありませんの?理想の殿方と出掛けたり、話したり……。私達は女神である前に女なんですから」

「2人とも。話、脱線してる」

 

脱線した話をブランが軌道修正する。

ネプテューヌに視線を向けて、早く話せと目で言った。

 

「その、頼みっていうのは……ミズキと、友達になって欲しいの」

「はい?」

「え?」

「あら?」

 

3人が3人揃って不思議な顔をする。

ネプテューヌは理由を話し始めた。

 

「その、ね。ミズキ達は別の次元から来たらしくって。その次元は戦争で壊されちゃってミズキ達はその次元の唯一の生存者なんだ」

「つい前まで戦争をやっていた身としては、耳が痛いですわね」

「それで?その話がどうして友達になって欲しいとかになるのよ」

「ミズキとはもう1ヶ月以上暮らしてるんだけど……その戦争のせいか、なんか、寂しそうなの」

「寂しそう、ですか」

「うん。ミズキはいつもくすくすって笑うんだけど、なんか、無理してるみたいで」

「……それで、私達に?」

「そう。みんなと友達になったら、ミズキも心の底から笑えるかな……って。そう思うんだ」

「………なるほどね」

「まあ、構いませんわよ」

「そうね。断る理由はないわ」

「ホント⁉︎ありがとう!いや〜、持つべきものは女神仲間だね!」

 




アニメ版だとこんなに女神達は仲良くないですね。ま、いいじゃないですか(適当


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