ええじゃないか、やりたかっただけだから!
リンダの案内に従って歩く。
ネプテューヌのとりあえず遊びたいという提案で、それに従って案内してくれている。
地面がだんだんと砂に変わっていき海に近いことを感じさせる。そして木々が開けた先にはーーーー。
「ここがR18アイランド1の景勝地!ヒワイキキビーチです!」
「う……」
「おお!おお〜!」
ミズキは目を背けてネプテューヌが歓声を上げる。それというのも……。
「な、なんでみんな裸なのよ⁉︎」
「解放的ですわね〜」
「僕は、ちょっと目のやり場に困るかな……」
「あれ〜?ミズキ君〜顔が赤いよ〜?」
「か、からかわないでよ。いくらなんでもこれは恥ずかしいんだから……」
ヒワイキキビーチにいる女の子はみんな裸である。イケないところにはしっかりと白い光がかかっていて安心安全です。
「ねえねえ、あの光ってるのは何?」
「ああ、あれはナゾノヒカリ草です。際どいところが大好きなんです」
「普通に水着を着ればいいじゃない!」
「際どいところ……!」
なるほど、あの光っているのはそういう植物らしい。
「一応、隠れてはいるんだね……」
「じゃあ、こういうことしちゃってもいいんだね〜⁉︎」
ネプテューヌが水着を脱ぎ捨てて海に飛び込んだ。水着を脱ぎ捨てた瞬間に際どいところにナゾノヒカリ草が張り付いて隠す。
「うっ」
「あれれ〜?また顔が赤いよ〜?」
「や、やめてってば」
「ふふふ〜。今のミズキ君、可愛い〜」
プルルートが擦り寄ってミズキをからかう。
「それじゃ〜、私も脱いじゃう〜」
プルルートも水着を脱ぎ捨てる。
「ほらほら〜、嬉しい〜?嬉しいでしょ〜?」
「や、やめっ………?」
プルルートがミズキの腕に抱きつく。するとミズキはその感触に違和感を覚えた。
「私も脱ぎますわ!」
ベールも脱いでネプテューヌに合流した。2人は裸のままで水を掛け合って遊んでいる。
「ふふ、気分爽快ですわ〜!」
「ネプギア〜!」
2人が手を振ってネプギアを誘う。
「く……み、みんながやってるなら……!」
「ストップ、ネプギア」
ネプギアが水着に手をかけようとした時、ミズキが待ったをかけた。
「もう、からかわないでよネプテューヌ。発案はベール?」
「あら、鋭いですわね。どうして気付きましたの?」
「プルルートのお陰だよ」
そう言って腕に張り付いたプルルートを見せる。
「ごめんね〜。ドジッちゃった〜」
ミズキがプルルートの胸に手をかけてナゾノヒカリ草を剥がすと、そこには脱いだはずの水着があった。
「2人とも、脱いでないでしょ?」
「あちゃ〜、バレたか〜」
「あと一歩でしたわね」
2人もナゾノヒカリ草を剥がす。2人ともちゃんと下に水着を着ていた。
「危うく脱いじゃうところだったね、ネプギア」
「うぅ……恥ずかしいです……」
ネプギアは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「くそ〜、こうなればヤケだ〜!食らえっ!」
「きゃっ⁉︎」
ネプテューヌが海の中からノワールとブランに向けてナゾノヒカリ草を投げつける。
ナゾノヒカリ草がノワールとブランの体を覆って……なんだか……。
「水着着てるのに裸みたいだね。クスクス……!」
「や、やっ!恥ずかしい……!」
「な、なんてことをしてくれるの……!」
「や〜い!みんな裸だ〜!」
「お、お姉ちゃん、ちょっとやりすぎじゃ……!」
「ほら、ネプギアも〜!」
「きゃっ!」
ネプギアにもナゾノヒカリ草がくっついた。
「は、恥ずかしい……っ!」
「まあまあ、剥がしてあげるから……」
「ミズキにも〜!」
「だろうと思った」
「えっ⁉︎ひゃわ〜っ!」
投げられたナゾノヒカリ草をミズキは手で掴んで投げ返す。ネプテューヌの体をナゾノヒカリ草が覆ってしまい……そして……。
「お姉ちゃん、真っ白だ……」
「存在が規制対象のネプテューヌだね」
「ああいおんあんやあいお〜!(私そんなんじゃないよ〜!)」
「R18が服着て歩いてるみたいな女神」
「えうっ⁉︎ああいちうぉああいあ⁉︎(ねぷっ⁉︎私痴女かなにか⁉︎)」
「ほら、剥がしたげるから」
「ぷは〜っ!息苦しかった〜!」
「クスクス、普通に遊ぼう?ビーチボールとかあるからさ」
ミズキがみんなのナゾノヒカリ草を剥がしていく。
するとリンダがチラシを差し出してきた。
「そうそう、こんなイベントがあるんすよ」
「ん?『R18アイランド障害物遠泳大会』……?」
「景品はスイカらしいっすよ。どうっすか?」
「スイカかぁ……いいね。取れたらみんなで食べようかな」
「もうすぐ受付は締め切りらしいっす。参加、しますか?」
「うん、する。みんなはする?」
「いいわ。どうせ、変身するつもりなんじゃないの?」
「バレた?ちょっと海が得意なガンダムがいてね」
「でしょうね。じゃあ私達は勝ち目ないじゃない」
「クスクス、ごめん。その代わり、スイカは持って帰るね」
手を振ってミズキは受付へと走っていく。
「これで〜、スイカ食べられるね〜」
「ミズキ様なら確実でしょう。心配することはありませんわね」
「でもさぁ、これ、障害ってあるよ?」
「障害遠泳大会なんて、聞いたことないね」
「だよね?どんな大会なんだろう……」
そうして、遠泳大会が始まった。
ーーーーーーーー
『さあ、始まるわよ!『R18アイランド障害遠泳大会』!実況は私、アブネスがお送りするわ!』
「あの女……あの時の……?」
「ん?ブラン知ってるの?」
「……ううん、知らない」
『参加者は27名!参加感謝するわ!ルールは簡単、障害を越えて片道2km往復4kmを泳いでもらうだけ!1位にはこのスイカを贈るわ!全員、準備はいい⁉︎』
参加者が歓声を上げる。
周りには屈強な人や日焼けした人が多くミズキに勝ち目はないように思えるが……多分素直に泳いだとしてもいい勝負をするだろう。『なんでもできる』のだから。
『それじゃ、よ〜い……スタート!』
アブネスの号令で砂浜の上の男達が一斉に海に向かって走り始めた。
そして次々と海の中に飛び込んでいく。ミズキも先頭グループに続いて海に入った。
「あれ〜?あの浮いてるのなに〜?」
「え?そうね……板か何かかしら?」
『まずは第1関門!板に書いてあるものを審査員に見せてもらうわ!お題は海の中にあるものから観客から借りなきゃいけないものまで多種多様よ!』
審査員は板が浮いてある辺りで手を振った。あの人に物を見せる必要があるらしい。
先頭グループは早くも潜ったり反転して戻ったりと動き始めた。
ミズキはとりあえず変身せずに板を手に取る。
それを見たミズキは反転して砂浜へと戻ってきた。
「あれ、戻ってきちゃったよ⁉︎」
「そういうお題だったのね。運はあまり良くないみたい……」
ミズキは急いで戻ってきてキョロキョロしてからネプテューヌのところへと走ってきた。
「借り物ですか?」
「うん。借り物っていうか……うん、借り物にしちゃいけないとは思うんだけど……」
「なによ、歯切れが悪いわね。なんて書いてあったのよ」
ミズキは苦笑いしながら板をもう1度見る。そしてみんなにその内容を見せつけた。
『彼女(彼氏)』
『ええええええっ⁉︎』
「そういうわけなんだ。嘘でもいいから……今だけ僕の彼女になってくれないかな……って」
ミズキはバツが悪そうに頭を掻く。
「いや、流石に不謹慎かな。今回はみんなには悪いけど諦めてもーーーー」
「ま、待ちなさいよ!」
「ま、待って……!」
(あら)
ノワールとブランが一歩前に出る。
それを見たベールが頬に手を当てて興味深そうな顔をした。
(これは、いいチャンスかもしれませんわね)
「どうかしたの、2人とも。もしかしてアテがあるとか?」
「い、いや、そうじゃなくて……いや、そうなんだけど……そうじゃなくて……」
「だ、だから……その……」
「……?」
端切れを悪くしてもじもじする2人。
「2人はミズキの彼女として立候補すると言いたいのですわよ」
「あ、ああ」
「ちょ、ベール!」
「ベール……!」
(いいじゃないですの。このままではいつまで経っても言いだせそうにありませんし。それに、スイカ食べたいからとか言い訳しておけばいいんですわよ)
2人にベールが耳打ちする。一応の逃げ道はあるのだから、損はないはずだ。
「でもいいの?そういうのって……」
「い、いや、その、別に好きとかじゃなくて……」
「………ぅ……」
「やれやれですわね」
(ちょっとベール!何してくれてるの⁉︎)
(ネプテューヌも反対するのですか?大丈夫ですわよ、あの2人の様子じゃ万が一にも付き合うことにはなりませんわ)
(だ、だけど……!)
(本当に大丈夫なんですか?)
(ネプギアも心配性ですわね。今から私が大丈夫にしますから、少しそこで見ていてくださいまし)
ベールが喉を鳴らす。
「あのですね、ミズキ様?2人はーーーー」
「は〜い。私が彼女になる〜」
「……え?」
ベールが素っ頓狂な声を出す。
横には元気に手を挙げる不安要素ーーーープルルートがいた。
「いいの?プルルート」
「うん〜。私〜、スイカ食べたいし〜。それに〜、ミズキ君イジメたいも〜ん」
「最後のはどうかと思うけど……それじゃあ……」
「ま、待ってよ!」
「待てよ!」
「え?」
ノワールとブランがさらに前に出てミズキに詰め寄った。
「わ、私!私が彼女の……役!あくまで、役をするから!」
「いや、私がやる!プルルートが良くて私がダメな理由はねえだろ⁉︎」
「え?えと……」
「え〜?私がミズキ君を〜、イジメたいんだけど〜」
「ミズキなら後でいくらでもイジメていいから!」
「ええ⁉︎イジメないでよ⁉︎」
「じゃあ〜、いい〜」
「僕の話を聞いてくれる⁉︎」
「おい、ミズキ!私の話を聞けよ!」
「僕の話を聞いてって!5分だけでもいい!」
「あくまで、あくまで仮定の話として!彼女にすらなら私よね⁉︎」
「いや、私だろ⁉︎ツンデレなんか使い古された属性なんかよりーーーー」
「なんですって⁉︎」
「なんだよ⁉︎」
「え、えと………」
いつの間にか喧嘩を始めてしまったノワールとブラン。プルルートはどこ吹く風でニコニコしている。ミズキはただオロオロしているだけだ。
「えと……ベールさん、その、これは……」
「私も予想外ですわよ。プルルートというイレギュラーが入るだけでこんなに……」
「まあ、これなら別にいいけどさ……」
3人は離れたところからそれを見つめている。
「そ、その、喧嘩はやめ……っ⁉︎」
「きゃっ!」
「うわっ!」
突如ミズキがノワールとブランを突き飛ばした。2人は押し飛ばされて尻餅をついてしまう。
「いたっ、ちょっとミズキ⁉︎」
「な、なにすんだよ⁉︎」
「うぐううっ⁉︎」
「えっ⁉︎」
「ミズキ⁉︎」
2人が文句を言おうと顔を上げると、そこには巨大な赤黒い怪鳥がミズキを足で掴もうとしているところだった。
「離れて、2人とも!くっ!」
あまりにも突然のことでミズキは武器を出すこともできず怪鳥の足に掴まれ、空に持ち上げられる。
「あれって、EXモンスター⁉︎」
「どうして今頃⁉︎」
(あの鳥……どこかで……?)
ネプテューヌとネプギアが遠くに飛び去ろうとする怪鳥を見て声を上げる。体色が赤黒く、背には周りよりも少し薄い色でハートマークが刻まれている。
「ミズキ君が〜、飛んじゃった〜?」
「の、呑気に見てる場合じゃないわよ!」
「こんの、邪魔すんじゃねえよ……!」
2人が変身して空を飛ぶ。
足に掴まれたミズキもただ掴まれているだけではない。
「く、く……!離してよっ!」
手にビームサーベルを握って刃を発振。出てきた刃が鳥の足を焼く。怪鳥はたまらずミズキを離した。
「クエェーーーーッ!」
「ヤバっ、落ちた後のこと、考えてなかった……」
「ミズキ!」
「うおっ」
「テメエ、覚悟はできてんだろうなッ!」
「クエエッ!」
ノワールがミズキを抱きかかえてブランが怪鳥を叩き飛ばす。
「っ、いけない!観客の方に!」
新たなEXモンスター現る。
次は海賊ガンダムですかね。おいおい答えだろこれ…。