水着とミズキで被る。やりにくい、訴訟。
「あれ、ネプテューヌ着替え早いね」
ミズキが男子更衣室から出るとそこには水着になったネプテューヌが立っていた。
「そ、そうね……」
「ん?どうかした?」
ネプテューヌは自分の体を隠してモジモジしている。ミズキの方を見ると恥ずかしそうに目を逸らした。
「お、おかしくない?水着」
「……?別におかしくないよ?僕こそ、おかしくないかな」
ミズキが着ているのは黒地に青のペンキの飛沫が飛んだような模様のズボンと、上には白地にチャックの部分だけ青くなっているラッシュガードだ。ラッシュガードはチャックを開いているためにミズキの腹筋や胸筋が見える。
ネプテューヌは自分の水着姿が恥ずかしかっただけではなく、ミズキの体を見ているのが恥ずかしくて目を逸らしていたのだ。
「大丈夫よ、おかしくないわ。にしても、ミズキって結構いい体してるわね」
「クスクス、ありがと。でもジャックには敵わないなあ……」
ペタペタと自分の体を触るミズキ。
そのうち、更衣室からノワールとネプギアが出てきた。
「ん、ノワール、ネプギア」
「あ、み、ミズキさん……」
「う、ミズキ……」
「クスクス、みんな恥ずかしがり屋だね」
ネプギアとノワールも体をモジモジさせた。
「変じゃないから安心して。似合ってると思うよ」
「あ、本当ですーー」
「本当⁉︎」
「うん、本当。可愛いと思う」
「そ、そう?」
ネプギアの声をかき消すノワールの声。
よほど嬉しかったらしい。
「み、ミズキも、その……カッコいいわよ」
「……クス、ありがと。嬉しいよ」
(露骨なアピールね……)
(恋する乙女って変わるんだね、お姉ちゃん……)
小声で会話するネプテューヌとネプギア。これがオチた者の末路なのだろうか。
すると次はベールが更衣室から出てきた。
「みなさん、ちゃんと水着には着替えましたわね?」
「ベール。……って、すごい水着だね」
「ええ、そうでしょう?悩殺されました?」
「されないよ……」
ベールのビキニは胸が貝殻で出来ていた。いわゆる、人魚姫みたいな。
「変身した姿で水着になるって、なんか変な気分……」
「僕は何回か着替えて変身したネプテューヌ見てるからね。あんまり違和感はないかも」
「……ネプテューヌ、アナタ何してるの?」
「な、何もしてないわよ?ホントよ、ホント。そ、それに1回目はミズキがノワールと知り合う前だし……」
「それはつまり……2回目以降があるという意味かしら?」
「ヒェッ」
ネプテューヌがノワールに問い詰められている。
「クスクス、2回だけだよ。それも、両方ゲーセン行っただけだし」
「それはそれでネプテューヌのセンスを疑うわね」
「なんで私に攻撃ばっかりくるのよ⁉︎」
「あはは……」
涙目のネプテューヌにネプギアも苦笑いだ。
「この島のドレスコードは水着、もしくはオールヌードなのですわ」
「き、極端なコードだね……」
「あら、男子諸君にとっては楽園ではなくて?」
「そんなことないよ。それに、僕は女の子の体って見慣れてるし」
ピッキーーーーーーン!
空気が凍りついた。
「クスクス、もちろん小さい子のね。お風呂に入れたりしてたから」
「な、なんだ……」
ネプギアが安堵の息を吐く。
「からかってごめんね。クスクス……」
ミズキが意地悪に笑う。
「やっほほ〜い!」
「おう」
すると女子更衣室からプルルートとブランが出てきた。
「ね〜え〜、可愛い〜?」
「うん、可愛い可愛い」
「えへ〜」
ミズキに褒められてプルルートが頬を緩ませる。その様子をベールが見ていた。
「あらあら……」
なんだか微笑ましい。
そして目線をブランに向ける。
「あらあら……」
なんだか残念。
「おいこら!今胸見て言っただろ!」
「そ、そんなことありませんわよ」
「ダメだよ、ベール。女の子は体で決めつけちゃいけないんだよ?」
「男に教えられるのもどうかと思いますが……まあ、それはその通りですわね」
ミズキの援護にブランが嬉しそうな顔をする。
「み、ミズキ。その、私の水着……どうだ?」
「クスクス、今日はたくさん感想を聞かれる日だね」
「そ、そんなことはいいんだよ!私の水着をどう思うかだけ……!」
「似合ってると思う。可愛いよ。ごめんね、あんまり複雑な感想を言えなくって」
「べ、別にいいぜ……それだけで」
「ありがと。本当に、可愛いと思ってるからね」
「2回も言わなくていい!て、照れるだろうが……」
(まあ、私が心配しているのは入島審査のことなのですが……)
顔を真っ赤にしているブランを冷えた目で見てから入島審査のゲートを見る。
あそこでオトナと認められなければこの島に立ち入ることはできないのだ。
「さあ、ゲートを潜りますわよ」
「う……ついにこの時が……」
「大丈夫だよ、ブラン。もし潜れなくても、僕がなんとかするし」
ベールが先頭になって門へと向かっていく。
「入島審査をお願いしますわ」
ベールがそう言うとベールの前にモニターが現れた。
《R18アイランドへようこそ。問おう、アナタはオトナか?》
「当然ですわ」
「なんか、上から目線な問い方……」
ミズキが苦笑いする。
ベールは迷わず『はい』の選択肢をタッチした。
するとクイズの正解音のような音がピンポンピンポーンと流れた。
《クリアです。R18アイランドをお楽しみください》
「お仕事ですけどね……さあ、みなさんも」
「ええ」
ネプテューヌ、ノワール、ネプギアと問題なくゲートを潜ってしまう。
残ったのはブランとプルルートとミズキだけだ。
「………ゴクリ……」
ブランとプルルートが門の前に立つとモニターが現れる。
《問おう、アナタはオトナか?》
「オトナだよ〜?」
「………」
2人で『はい』を押す。
《ホントに?》
「むぐっ!」
「ぷる〜ん……疑われてるよぉ〜」
それでもめげずに『はい』を押す。
《ホントのホントに?》
「しつこい!」
ついに2人とも『はい』を連打する有様。
《そんな胸で?》
「うがぁ〜っ!」
「す、ストップ、ブラン!さすがに壊すのはマズいって!」
「は、離せミズキ!私は、私はぁ〜っ!」
「だ、だから僕がなんとかするから!」
暴れるブランを抑えてミズキが前に出る。
「どうするの〜?」
「まあ見てて」
《問おう、アナタはオトナか?》
「……よ〜しよしよし」
《あん、ちょっと頭を撫でなーーーーあばばばば》
ミズキはどちらの選択肢も押さずに画面に映った女の子の頭を撫でるようにタッチする。すると女の子はいつかのイストワールのように奇声をあげ始めた。
「これで通れるんじゃないかな。やってみて」
「む………」
もう1度ブランとプルルートが門の前に立つとモニターが再び現れる。
《アナタはオトナか……》
「納得された⁉︎」
「日本語って不思議〜」
正解音と共に門が潜れるようになる。
「ほら、ミズキも早くきなさいよ」
「今行くね」
どうやらモニターはあの1回きりで復活したらしくまた上から目線で問いかけてきた。
《問おう、アナタはオトナか?》
「……子供だよ?」
「そこでそう言っちゃダメでしょ⁉︎」
『いいえ』をタッチするミズキにノワールのツッコミが入る。
《待って?アナタはオトナよね?》
「コンピューターすら疑うオトナ度⁉︎」
「むぅ……だから子供だって」
「ちょっと素直すぎないかしら⁉︎」
《いや、アナタはオトナよ?》
「そうなの?」
《ええ。アナタは立派なオトナです。どうぞ、お通り下さい》
「まあ、そこまで言うなら……」
「コンピューターが譲った⁉︎」
どうやら、このR18アイランドも一波乱ありそうだ。
ーーーーーーーー
そしてみんなは変身を解いて森の中を歩いていた。もちろん、砲台探しのためである。
「来たはいいけどさ〜……どこを探せばいいの〜?」
「案内してくれる人がいると助かりますわね」
とは言ったが都合よく案内役が出て……来た。
「はいはいはいはい〜!」
へりくだった様子で腰を低くして出てきたのは肌色の悪い女の子。手をモミモミしていかにも商売をしているような様子だ。
「どうっすか?R18アイランドの案内ならこのリンダにお任せ!安くしときますよ?」
「ああっ!アナタあの時の誘拐犯!」
「げげっ!あの時の女神!」
ネプギアがリンダを見て思い出す。
「ああ、あの時の。でも、こんな子いたっけ?」
「ミズキは見てないかもしれないけどいたの!こいつが誘拐犯!」
「ウチの妹を誑かしたのはテメエか⁉︎」
「ひぃぃ〜っ!ご、ごめんなさい!で、でも今は心を入れ替えて、立派に働いているんです〜っ!」
リンダは後ろに飛びのいて素早く土下座する。
まあ、マジェコンヌやワレチューに比べたらはるかに素直に見える。
「いいんじゃないの?反省してるみたいだし」
「ああん?けどよ……」
「だけど、その代わり案内料はタダね。リンダも、それでいい?」
「は、はい!喜んで案内いたします!」
「クスクス、任せるよ」
ミズキはそう言って笑う。悪いことはさせない自信があるのだろうが……。
「けど……」
「ごめんごめん。許してくれる?」
「別に、ミズキに怒ってるわけじゃない」
「クスクス、じゃあ機嫌直してよ」
「む……」
ミズキが頭を撫でてくれたので機嫌を直したブランなのだった。
オトナミズキ。一応彼は酒もタバコも吸いましたし、やってることはオトナ。ですがほとんど不老不死なので体は10代後半くらいです。
タバコはどうしても好きになれなかった模様。好きなのはジョーくらい。酒はみんな大好き。カレンとシルヴィアは酒癖が悪く、2人は苦労しました。
ちなみになんだかんだ1番酒癖悪いのはミズキ。酒には強いからわからないだけで呑まれた瞬間から鬼ミズキ。