超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ありがとナス!な話。



ゲテモノ万歳

ラステイションの牢獄。

静かな牢獄に看守の足音だけがこだまする。その看守がアノネデスの牢獄を通り過ぎる。

アノネデスはベッドに座って頬杖をつき、退屈そうにしていたが、看守が目の前を通り過ぎてからプルルルと発信の音を立てる。

パワードスーツには電話機能もあったらしい。ミズキのせいでひしゃげているものの、機能はまだ生きていた。

 

「……うん、アタシ」

 

何者と連絡を取っているのかはわからないが知人であることは確からしい。

 

「うん、いたわよ、あの子。せっかく衛星までジャックして探したのに、別口でなんて……」

 

何かが徒労に終わったらしく疲れたようにはぁ、と息を吐く。

 

「ん?……わかったわよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

夜のプラネテューヌ、その教会の晩御飯。

ネプテューヌ、ネプギア、アイエフ、コンパ、ミズキ、ジャック、ピーシェともう1人、おっとりした女の子がワイングラスを持っていた。その女の子が立ち上がって自己紹介をする。

 

「私〜、プルルート〜。よろしくね〜」

 

パチパチと拍手する。

そしてコンパが乾杯の音頭をとった。

 

「それでは、プラネテューヌの新しい女神様にーーー」

「ちょお〜っと待った〜っ!」

 

ところがコンパの音頭をネプテューヌが遮った。

 

「それじゃ私がぷるるんに女神の座を奪われたみたいじゃん!」

「クスクス、確かに」

「いくらプラネテューヌだからって言っても、別次元だから!そこんところよろしく!」

「それにしても、プルルートが別の次元から来たなんてね」

 

同じく他の次元からゲイムギョウ界にやってきたミズキはなんだか親近感を感じる。いや、もともと出会って数秒で尻に敷かれた(誤解しか生まない表現だ)のだが。

 

「うん〜。私の次元もいいところだけど〜、ここもいいところだね〜」

 

プルルートの間延びした口調になんだか少し気の抜けた感じになる。

 

「変身もできるのか」

「うん〜、できるよ〜。でも〜、みんなには、あんまり変身しないように言われてる〜」

「ふぅん。どうして?」

「う〜ん……なんでだろ〜……」

 

プルルートがのんびり悩む。

ネプテューヌがそれを見ている隙にピーシェは肉を食べ終わってしまったらしく、不満そうな顔で周りを見渡す。

そしてネプテューヌのステーキに狙いを定めた。狙い撃つぜぇ!

 

「えいっ!」

「あっ!ちょっとぴー子それ私の!」

「ん〜、ぴーがおにくたべる!」

 

みんなは晩御飯のステーキを食べ始めたが、ネプテューヌから驚愕の声が上がる。

 

「きゃああ〜っ!」

「どうしたの、ネプテューヌ」

 

もう色々と慣れているプラネテューヌ一同は悲鳴ごときで慌てたりしない。こういう時は大抵どうでもいいことなのだ。

 

「これ!ナス〜!近づけないで〜!」

 

ほら、やっぱり。

 

「ネプテューヌ、ナス嫌いなの?おいしいじゃん」

「嫌い嫌い!ナスやだ!fat○も見たくない!」

「それはキノコも付け足さなきゃだよ」

 

ミズキは苦笑いしてナスを頬張る。

 

「食べられるものがあるだけ幸せだよ。ぺんぺん草食べるよりはマシでしょ?」

「ミズキのリアル○金伝説はアテにならないよ!現代人のほとんどは野草を食べて飢えをしのがないよ!」

「ふぅん、ナス、ご馳走なのに」

 

モグモグと何の苦もなくナスを口の中に入れていく。ネプテューヌはそれを信じられないような顔で見ている。

 

「ネプギアは平気なの?」

「はい、私は大丈夫です。嫌いなものもそんなにないですよ」

「ネズミは?」

「嫌いです」

「………しゅん」

 

キッパリと即答したネプギアにミズキは落ち込んでしまう。

ふと思い立ったのかイストワールがジャックに質問する。

 

「もしかして、ジャックさんもそんなものを食べたりしたんですか?」

「いや、俺が生まれた時には『子供たち』はそこそこ豊かになっていたしな。少なくとも野草を食べたことはない」

「では、ネズミは?」

「………ある」

「あるんですか⁉︎」

「なんていうか、こう、マズくはなかったな……」

「マズくないんですか⁉︎」

「まあな。衛生面としてはどうかと思うが……」

「私もそう思うですぅ」

「焼けば大丈夫なんだよ。血は栄養になるし、皮は集めれば売れる。残ったものは肥料になるし、万能食材だよね」

「なんでそんなネズミを崇めるのさ……」

 

ネプテューヌはドン引きである。

 

「そもそも、ネズミなんてこの世のなーーー」

「イストワール?どうかしたか?」

「あば、あば、あばばばばばば」

「イストワール⁉︎」

「あ〜っ!ほら、ナスなんか食べるから!」

「ネズミを摂取させなきゃ!」

「ネズミは薬じゃないわよっ!」

 

突然体を震わせて怪音を発し始めたイストワールにみんなが慌てる。その様子を窓の外から見ている1人と1匹がいた。

それぞれローブを被っていて顔は見えないがその血色の悪い肌には見覚えがある。

 

「…………?」

「ミズキ〜?どうかしたの〜?」

「……ううん、なんでもないよ」

 

ミズキが窓の外を見た瞬間には彼女らは既にそこから消えていた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「いやあ、別次元からの着信なんて初めてで。マニュアルを読むのに手間取ってしまいました」

「まったく、狂ったかと心配したぞ」

 

イストワールとジャックがとある部屋の中で小人と向かい合っている。

それはイストワールだった。多少幼いが、イストワールの前にイストワールがいる。

本の上に座っていてこの顔、この声、この口調。舌ったらずではあるが彼女は別次元のイストワールそのものだった。

 

「こちらこそ、突然電話してすみませんm(_ _)m。プルルートさんがお世話になっております」

「なんだか、小さいですね」

「俺達が言えたことではないがな」

「あ、小っちゃいからってバカにしないでくださいね(>_<)。プルルートさんをそちらの次元に送ったのだって、私なんですから」

「……そちらの次元では次元科学が進んでいるようだな」

 

ジャック達の次元は次元科学が発達していないこともあって3人を置いてきてしまったのだから、何か思うところがあるのだろう。

大きいイストワールはジャックの方をチラリと盗み見た。

 

「一応、進んではいます。でも、まだまだわかってないことは多いです」

「そうなのか。さも当たり前のように言うものだからな」

「当たり前なんかじゃありません( ̄∩ ̄#!結構大変なんですよ?」

「そうか、すまないな」

「まあ、マニュアルをよく読めば書いてあるんですけどね。3日かかりました;^_^A」

「……それだけの、科学力があればな……」

「あの、ジャックさん……」

「いや、わかっている。今更過去を悔やむつもりはない」

 

教訓は未来に活かすということだろう。

 

「ふむ、小さい方のイストワール。そのうち機会があれば次元科学について教えてくれ」

「それはかまいません( ̄^ ̄)ゞ。あの、つかぬ事を聞きますが……」

 

小さいイストワールは口を濁す。さっきまで言いたい放題であったのだが。

 

「なんですか?私達に答えられることなら、なんでもお聞きになってください」

「それじゃあ、遠慮なく。お2人は付き合ってるんですか\(//∇//)\?」

 

「……………はい?」

「……………………」

 

ジャックだけは冷静にはぁ、と溜息をついた。

 

「断じて違う。俺とイストワールは単なる友人だ」

「そうなんですか?それは失礼しましたm(_ _)m」

「構わない。ところで、何故この次元にプルルートを送り込んだ?」

 

後ろの方でフリーズしている大きいイストワールは無視して話を続ける。

 

「実は、私達の次元からそちらの次元に大きなエネルギー反応が確認されたんです。何か、あるいは誰かが次元を移動した可能性があるのですw( ̄Д ̄; )w」

「ふむ、なるほどな」

「その存在のエネルギーがあまりにも大きいので、そのエネルギーがないとこちらの次元のバランスが保てなくなるんです」

「……次元の崩壊が起こるのか?」

「それは最悪の場合です。ですが、何かしらの影響は出ます。だから、プルルートさんには『大きな存在』の正体を突き止めてこちらに連れて帰ってもらわなければならないんです」

「………そうか」

 

次元の崩壊。ミズキやジャックが最も恐れ、また最も忌むべき現象だ。

 

「それで、その存在はどうすれば見つかる?」

「それが、3日調べてもわからなかったんです・゜・(ノД`)・゜・。。できるのは、そちらの世界の現象を早めに察知することくらいです」

「そんな、悠長な……!」

 

一瞬だがジャックは次元のトンネルから崩壊する次元を見た。全てが歪んで0になるような恐ろしい現象だった。何もかもを奪い去る、その何もかもを残さない次元の崩壊。それだけはなんとしても止めなければならない。

 

「ですから、この世界で何か大きな現象が起こった時、必ずその大きな存在はそばにいるはずですε-(´∀`; )」

「……わかった。尽力しよう。………ところで、だ」

「ぷしゅ〜………」

「いつまで呆けているつもりだ」

 

ジャックはイストワールに斜めに3回チョップすることで起こすのだった。

 

「あっちの私は壊れたテレビか何かですか(^_^;)」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

コンパがお盆に全員分のプリンを持ってリビングにやってきた。

 

「デザートですよ〜」

「やった!」

 

その中の1つには『ねぷの』と蓋に名前がしっかりと書いてある。

ネプテューヌがそれを取ろうとすると脇から手が出てきてそれを奪い取った。

 

「あ、ちょっとぴー子!」

「ぴー、これたべる!」

「こら!ちゃんと『ねぷの』って書いてあるでしょ⁉︎」

「ねぷのがいいの!」

「なにを〜!やるか〜!」

「やめなさい、ネプ子。大人げないわよ」

「ねぷちゃ〜ん?喧嘩は〜、ダメだよ〜?」

「………」

 

アイエフとコンパにそう言われて引き下がるネプテューヌ。

結局ミズキが苦笑いしながらネプテューヌの頭を撫でたのでそれに免じてネプテューヌは引き下がった。

 

「クスクス、ネプテューヌが好きなんだよ」

「そんなことないよ!絶対嫌がらせじゃん!」

「ぴーもねぷのこときらい!」

「む〜!」

「む〜!」

「クスクス、喧嘩するほど仲が良いってね。ほら、プリン食べよ」

 

さすが子供のあやしが上手いミズキは2人の背中を押して椅子に座らせる。

皿の上にプリンを押し出して食べる。ネプテューヌは慣れた様子でプリンを押し出したが、ピーシェは上手くいかない。

 

「…………?」

「………あっ!」

 

力任せに押し出しているとプリンが粉々になってしまった。

 

「だ〜はははは!」

「…………!」

 

ネプテューヌがそれを見て大笑いする。プルルートがピーシェは涙目だ。

 

「クスクス、しょうがないなあ」

「ミズキさん?」

 

ミズキはしーっと口の前で指を立てる。今にも喧嘩を始めそうな2人を見ながらミズキもプリンをわざとぐしゃぐしゃにして押し出した。

 

「だはは!だ〜はははは!」

「〜〜!」

「………ネプテューヌ、ピーシェ」

「え?」

「ん?」

 

皿の上のプリンは見事にぐしゃぐしゃ、手間で汚れてしまっている。

 

「ティッシュ取ってくれない?」

「……あははは!ミズキ、なにそれ〜!」

「あはは!みずきへたくそ!」

「もう、いいからティッシュちょうだいよ〜」

 

ネプギアはそれを見て驚愕している。これがあやすってことなんだなって。ネプギアは子育てスキルが1上がった。




平和的敗北主義者、ミズキ。
負けてあげることも重要なんだなって。
さて、もうじきありがとナス!の悪夢がやって来ますね。変身する機体は赤いあのガンダムです。
絵文字面倒くさいよぉぉぉぉ!

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