ネプギア、ユニ、ロム、ラム、バンリクートを抱えたピーシェはラステイションの街を歩いていた。
盗撮犯を懲らしめるためだ。
「お姉ちゃんを盗撮だなんて許せない!絶対とっちめてやるんだから!」
「うう、なんだか私とかミズキさんに言われてる気分……」
「ネプギア、場所はわかる⁉︎」
「は、はい!えっと、この電波逆探知機じゃ大体の位置しか……」
「じゃあしらみ潰しに探すわよ!」
「さ、さーいえっさー!」
ビシィッ!と敬礼をしてネプギアはユニの後ろをついていく。
「にしてもよく電波逆探知機なんて持ってたわね。それもたまたま?」
「ううん。これはいつも持ち歩いてるよ。電波逆探知機とモバイルバッテリーは乙女の嗜みだもん!」
「どこの異世界の女子よ……」
モバイルバッテリーはまだしも電波逆探知機はどうかと思う。
「ねえねえ、ねぷぎゃ!」
「ん?なに、ピーシェちゃん」
「これ、なに⁉︎」
ピーシェが指差す足元を見るとそこには床が焼け付いた後のようなものがあった。
「あ、それならさっきも見たわよ?」
「ず〜っとあっちから、ある……」
「あ、あれじゃない?ミズキさんの足跡かも!」
「あ、ああ!ブースター使ってたもんね!」
空を飛べないガンダムだとしたらジャンプを繰り返していたはず。その跡だ。
「じゃあ、これを追っていけば……」
「ねえ、ねぷぎゃ、おなかすいた!」
そう言いながらピーシェがネプギアに抱きついてきた。
「え?ど、どうしよう……」
「おなかすいたすいたすいた杉田!」
「い、今ジョ○フとか坂田銀○の中身の人の名前があった気が……」
にしても食べ物は持ってきていない。お金もない。ミズキさんもいないから上手くあやせない。
するとロムとラムがふっふっふと笑い始めた。
「ピーシェは子供ね!私達はお姉ちゃんだからお腹空いても我慢できるのよ!」
「私も、お姉ちゃん……」
するとピーシェがぐっと悩む。
しばらく逡巡してからピーシェはネプギアから離れる。
「ぴーもおねえちゃんだもん」
「だったら我慢できるわね」
「偉い偉い。なでなで……」
「ロムちゃんもラムちゃんも凄い……」
「自分より子供がいると俄然大人びるのね」
「そういえば、ミズキさんも大人っぽいっていうか……」
「確かに。小さい子に囲まれるとああなるのかしらね」
ミズキの場合は周りにいたのは全員子供だった。シルヴィア達も中身は子供だったので、ミズキのブレーキ役としてのスキルはガンガン上がっていったのだ。
「あ、あれ!」
ネプギアが指差す方を見るとそこには大きくジャンプするバルバトスがいた。
「あっちね。……って、あれ……」
ユニが見た先を見るとそこには女神達が空を飛んでいた。
「なんでお姉ちゃんが?」
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「ねえ、ノワール。なんで私達が直接行く必要があるの?別に警備兵に任せれば……」
「それじゃつまらないじゃない。私に恥をかかせたんだから、ぐっちょんぐっちょんにしなきゃ気が済まないのよ!」
「今日のノワールは荒っぽいですわね」
「私はこういうの嫌いじゃないぜ……っと、ここだな」
「ジャックが突き止めたハッキング犯の居場所ね」
女神が降り立ったのは廃工場だ。
もう使われてはいないらしく、ところどころが錆び付いている。
女神は着地して変身を解除した。
「あ〜あ、ミズキにも来て欲しかったな〜」
「話があると言っていたし……終われば来てくれるんじゃないかしら」
「だからって今回ばかりは待てないわ!ヤツは私の手で……!」
「まあまあ。熱くなっては負けですわよ」
そんな会話をしながら女神は奥へと進んでいく。
その様子をハッキング犯はカメラで見ていた。全ての行動が筒抜けだったのだ。
そしてハッキング犯は薄く笑うがすぐに別のカメラに映った物に目を向ける。
それは真っ白な機人だった。
「あら?同類かしら……」
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「ここに入っていったわよね……」
「ミズキさんが向かった方向もこっちだし……お姉ちゃんも盗撮犯を追ってるのかな」
5人と1匹は閉まった門の前で立ち往生していた。
するとピーシェの手からバンリクートが逃げだして門の隙間をくぐり、工場の中へ逃げ込んでしまった。
「あ!」
「にげた!まて〜!」
ピーシェもその小さな体格を生かして門の隙間を通って中へ入っていってしまう。
「ピーシェちゃん!」
呼ぶが戻ってこない。すぐに視界からいなくなってしまった。
みんなは顔を見合わせるのだった。
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その頃女神は入り組んだ工場内で明かりのついた部屋を見つけていた。隙間から中を覗くとそこにはモニターを弄るピンクと紫の装甲をまとった機人がいた。
機人とは言ってもガンダムのように戦闘用ではなさそうだ。パワードスーツと言った方が正しいか。
完全に背中を向けて隙だらけなのを確認してからノワールはドアを蹴り開けた。
「動かないで!両手を上げて、ゆっくりこっちを見なさい!」
4人の女神が武器を構えて退路を塞ぐ。
背中を向けた機人は両手を上げてゆっくりとこっちを見た。
「アナタね、ハッキング犯は!」
ハッキング犯はプシューと顔から空気を吐く。
「早く答えなさい!」
「…………」
そしてその機人は。
クネクネと体をくねらせた。
「ああん、そんな他人行儀な喋り方しないでぇ〜」
『…………』
全員がポカンとしてしまった。
「アタシのことはアノネデスちゃんって呼んで?」
「ねぷぅ〜!」
数瞬遅れてネプテューヌがすっ転ぶ。
「お、オカマさん?その見た目で〜⁉︎」
「あら、失礼ね。心は誰よりも、乙女よ?」
「ほんと、わかりやすくオカマね」
「しかも、ちょっと毒舌だったりするんですわよね。きっと」
「あったり〜。胸だけでかいぃぃっ⁉︎」
「ねぷっ⁉︎」
「な、なに⁉︎」
突然工場が大きく揺れた。
ネプテューヌは今度は本当にすっ転んでしまう。
アノネデスの罠とも思ったがアノネデスも狼狽えているようだ。
「な、なになに⁉︎まさか、さっきの白いの⁉︎」
「え?白いのって、まさか……きゃっ!」
また大きく工場が揺れる。
その揺れはだんだんと近くなってきているようにも思える。
「ああん、生で狼狽えるノワールちゃんカワイイ………きゃっ!」
「な、なに⁉︎アンタね、こんな状況で……きゃ!」
揺れがどんどん激しくなっていく。
「や〜ね、本気よ、アタシ。証拠もあるもの、ほら」
「な、なによこれ⁉︎」
アノネデスが指を鳴らすと部屋中に執務室のノワールの画像が映し出された。
「え⁉︎ええっ⁉︎」
「おわぁぁ!あっちもノワール!こっちもノワール!み〜んなノワールだ!ねぷぅぅ!」
また揺れた。
「いい加減、ヤバいかも……」
「ですわね。早く捕まえないと……」
その頃女神候補生達は工場の中に入ってピーシェ達を探すことに決めた。
「ピーシェ〜⁉︎どこ〜⁉︎」
「クラタ〜ン……⁉︎」
「どこ行っちゃったんだろう……」
「なんか、さっきから揺れるし……早く見つけないと、危ないかも」
「私、ノワールちゃんの大ファンなの。ノワールちゃんのこと、なんでも知りたくって!」
「そんなことどうでもいいのよ!それに、私には心に決めた人がいるんだから!」
「おおっ、ノワール大胆!」
「……ミズキを渡してたまるもんですか……」
「な、ぬわぁんですって⁉︎ノワールちゃんを誑かした人が⁉︎」
「誑かしてないわよ!」
「どこの馬の骨よ!今すぐアタシがとっちめてーーー」
ーーーー『lron-Blooded Orphans』
《ここだよ》
「へっ?」
ドカーーーン!
壁を打ち破って中から瓦礫と砂埃の中から白いガンダムが姿を現した。
そしてそのガンダムは床に思いっきりメンチレイスを叩きつけた。
「み、ミズキ!」
《ここの馬の骨って言ってるんだけど》
「ま、まさか、壁を叩き割ってきたの⁉︎」
《ちょっと面倒でさ。ところで……隠し撮りした画像、これだけじゃないよね》
「あら、勘がいいのね」
アノネデスが指をパチンと鳴らす。
するとそこに新たなノワールの画像が……出てこなかった。
「じゃ〜ん!これがノワールちゃんの秘蔵写し………なにこれぇ⁉︎」
《みんな、目をつぶった方がいいよ》
「も、もう見ちゃったよ〜!おえ〜!」
「な、なによ、この汚いのは!」
「まさか、これって……」
「あらあら。アノネデスさんもわかってらっしゃいますねぇ。腐腐腐……」
画面に映し出されたのはホモ画像ばかり。美少年だったり美青年だったりが裸で絡み合って顔を赤らめて菊の花が咲き乱れてみたいな画像ばっかりだ。
「な、なになに⁉︎まさか、アタシのパソコンがハッキングされた⁉︎」
《ウチのジャックを舐めないでよね。君の画像フォルダの中身は全部この画像に返させてもらったよ》
「まさか、映像も⁉︎」
《全部ガチムチレ○レングとか真夏○夜の淫夢に変えといた》
「うぉえぇぇぇぇぇっ!」
アノネデスはパソコンデータの惨状にキラキラしたアレを吐く。スーツの顔からどうやってアレが出てるかは聞いちゃいけない。
《気をつけてよね、ノワール。いろんな写真が公開されるところだったよ》
「いろんな写真って?」
《……最近の夜にやってること》
「え?…………ああ!」
ノワールは顔を真っ赤にしてそれに思い立つ。
そしてミズキの方へ寄った。
(ま、まさか、見たの⁉︎)
〈僕とジャックだけだよ。口外はしないし、データも消したから安心して〉
(アナタが見たのが問題なのよ!まさか、それがジャックの相談内容⁉︎)
〈うん。ごめんね、見ちゃって。でもコスプレしてたノワール可愛かったよ〉
(かわい……!も、もうっ!)
そう、ノワールが毎晩していたのはコスプレである。服まで自分で作るのめり込みっぷりだ。
ジャックが情報の海の中で見つけたノワールの写真をミズキにも見せて、そしてカメラを破壊してここに来るに至ったのだ。
《さて……どうせUSBにも保存してあるんでしょ?こればっかりは……》
ミズキがレンチメイスを振り上げるとそれが恐竜の口の如く開く。中にはチェーンソーまで見えている。
それをアノネデスの目の前のモニターに叩きつけて挟み込んだ。
《物理的に破壊しなきゃねぇ……!》
ギャリギャリと歪な音を立ててパソコンがバキンと割れた。
「み、ミズキ?ど、どうしたのさ?なんか、いつもと違うような……」
《ネプテューヌ、ちょっと下がっててくれるかな?》
「は、はいぃ!」
ネプテューヌがミズキのただならぬ雰囲気に俊足で後退して敬礼する。
「ど、どうしたのですか、ミズキ様。怒ってらっしゃるのですか?」
《……そうだね。少し……怒ってるぜ》
「………『ぜ』?」
「ミズキ、どうしてそんなに怒っているの」
《……悪い、ブラ公》
「……ブラ公……⁉︎」
《ちょっと離れてた方がいいぞ。今の僕は不機嫌モードだ……!》
大きくレンチメイスを振り上げたバルバトス。その矛先はアノネデスに向いた。
「ひっ⁉︎」
《オラァッ!》
大きくバットを振るようにアノネデスの顔面めがけてメイスを振る。アノネデスはしゃがんで避けた。
《おうおう、よく避けたな。次はそのツラ叩き割ってやるよ。ククク……!》
「ククク⁉︎あれ本当にミズキなの⁉︎ねえ⁉︎」
「わからない。けど……私に似たタイプかも」
「怒ると本性が出るってこと⁉︎」
「いや、ミズキ様のあれは本性ではなく……なんといいますか、別人格のレベルですわよ……?」
《ハーハハハ!スクラップにしてやるよ、腐れ外道がよォッ!》
「ひいいっ!」
メンチレイスを苦もなく振り回してそこらの器具を叩き割って切断して蹂躙していく。
「に、逃げるが勝ち!いきなさい!」
《お?逃げられるとでも思ったかァ?》
アノネデスがカバンを持って逃げ出す。おそらくあの中にバックアップしたデータが入っているはず。
だがアノネデスの号令で空中に映ったモニターが攻撃を仕掛けてくる。
《おい、ネプ公!そいつ捕まえろ!》
「あ、あいあい!こら、おとなしくお縄につけ〜!私の命のために〜!」
「う、うるさいわね!アンタもこうよ!」
「痛っ!」
ネプテューヌがアノネデスに追い縋ろうとするがモニターが当たって邪魔をされる。
《チッ》
「す、すいませんでした〜っ!」
《………まあいい。今は破壊して殲滅して蹂躙するのが先だよなァッ⁉︎》
背中の滑空砲を構えてモニターを破壊していく。腹に響く大きな銃声の後に強力な実弾がモニターを吹き飛ばしていく。
《おい、お前ら!こいつらは任せたぞ!それぐらいできるだろ!》
「は、はい!お任せくださいませ!」
「……頑張ります」
「やらせてくださいですわ」
《ノワ公!お前は僕と来い!》
「わ、わかりました!」
ノワールが変身して部屋を飛び出したバルバトスを追いかける。
残りの女神はモニターの破壊を始めた。
「うぅぅ〜!ミズキが怖いよ〜!怒るとあんなことになるだなんて〜!」
「………正直、震えが止まらないわ……」
「私もですわ。これでこいつらを倒すのに手間取ったとしたら……」
…………ゴクリ。
「が、頑張ろうね!私達の命のために!」
「何されるか分かったものじゃない……」
「………本気で行きますわ」
淫夢汚い、はっきりわかんだね。
ミズキの楽しい楽しい暴走は次回で終わり。いつかぷるるんと共演させたい。
あと、出すガンダムに悩んでます←クズ
次のバトルは書き上げたんですが…要所要所しか決まってないし…私の趣味のガンダムしか出てこなくなってて。リクエストをください。なくてもください。ボールとか言ったら殴りますけどね!