超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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タイトルは内容とほとんど関係はありません。
ちょっとラステイションが灰になるだけですよ。ハハッ。


ラステイション全焼の危機

ミズキは町で往来する人々を眺めていた。

今日はネプギアとの約束を守ってネプギアと出かけたのだが、ここに到着した途端にネプギアは何処かへ行ってしまった。サプライズがあるらしいが。

 

「…………」

 

そんなわけで暇だから壁にもたれかかりながら街を歩く人を見ていたわけである。

するとネプギアが行った方向から声がした。

 

「ちょ、ちょっとネプギア!何処に行く気⁉︎」

「ほら、早くユニちゃん!待ってるよ!」

「だから誰が⁉︎」

 

そんな声が聞こえる。片方はネプギアで、もう片方はユニらしい。

すぐにこちらに向かってくる2人の少女が見えた。

 

「はぁ、はぁ……お待たせしました!」

「クスクス、僕も今来たとこだよ」

「あれ⁉︎私と一緒に来ましたよね⁉︎」

「み、ミズキさん⁉︎お、おはようございます!」

「そんなにかしこまらなくても。クスクス……」

 

サプライズはユニらしい。

 

「今日はユニと一緒に買い物?」

「はい」

「ちょ、ちょっと、ネプギア!聞いてないわよ!」

「クスクス、僕も聞いてない」

「せっかくだし、いいかなって……って、ゆ、ユニちゃん、なんで引っ張るの?」

「いいからこっち来て!」

「…………?」

 

ユニとネプギアは後ろを向いてコソコソと話を始めた。その声はミズキには聞こえない。

 

(なんで黙ってたのよ!そうとわかってれば……!)

(ユニちゃん、嫌だった?)

(嫌じゃないわよ!むしろ大歓迎だけど!それはさておき、私にはお姉ちゃんがいるのよ⁉︎)

(……?私にもお姉ちゃんはいるけど?)

(そういうことじゃなくて!私がお姉ちゃんに黙ってミズキさんとデート紛いのことしてるってバレたら大変よ!)

(あ、あ〜……。ノワールさん、ミズキさんのこと好きなんだっけ……)

(嫉妬の炎でラステイション存亡の危機よ!もう!)

 

「呼んだ?」

「な、なんでもないです!とにかく、今日はネプギアとショッピングに来たの!いいわね!」

「う、うん!」

「…………?」

 

ミズキは首をひねる。

 

「それで、今日はショッピング?電気屋には行かなくていいの?クスクス……」

「そ、それは後で」

「一応、ネプギアとは服を買う予定だったので、そうしたいと思います!」

「じゃあ、僕は荷物持ちだね」

「………なんか、ミズキさんって損な立場にいたんですね」

「女の子と買い物に行ったら男は荷物持ち。これは常識、って教えられたかな。クスクス……」

「………私はちゃんと荷物持とう」

「私も」

 

ネプギアとユニはそんな決意を新たに秘めたのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「これなんかどう?」

「それはネプギアに似合うんじゃないの?」

 

きゃっきゃきゃっきゃと服を選ぶ2人を後ろから保護者のようにミズキが眺める。

 

「ミズキさんはどう思いますか?」

「ん?そうだね……この防弾チョッキなんかどうかな」

「実用性ピカイチ!ってそうじゃなくて可愛い服をチョイスしてください!」

「……確かにちょっと無骨すぎたかもね」

「そういう問題でもないんです!そもそもが違うんです!」

「それ以前になんで服屋に防弾チョッキがあるのよ……」

「この花柄とかどう?水玉もあるけど」

「バリエーション豊富ですね⁉︎」

「……ちょっとネプギアにはサイズが合わないかな」

「サイズの問題でもありません!」

「うわ、シュワちゃん用とかあるわよ、これ。本当にバリエーションだけは凄いのね」

「アイルビーバック!」

 

ネプギアがカルチャーショックの連続で狼狽えている。

 

「じゃあ、この『一見普通の服だけど力をセーブするために封印が施されている服』は……」

「誰のため⁉︎本格的にここは誰のための服屋かわからなくなってきましたっ!」

「見て、ネプギア。ここのベルトはカードを入れてターンアップすると人間でも変身できるらしいわよ」

(ブレイド)!古いです!筆者の年齢がわかります!」

「見てネプギア。ナマコがプリントされてる服だよ。面白いね」

「普段なら面白いと言えてますけどこの状況ではとても言えません!」

 

ネプギアがぜえぜえと息を切らしたあたりでボケるのをやめる。

 

「そうだね……。ロムとラムくらいに小さい子供とかはよく服買ってあげてたし……。ベールくらいの身長ならカレンやシルヴィアの服を参考にできるんだけどね……」

「私達くらいの身長の子はあまり服買わなかったんですか?」

「ていうか、自分で選んじゃうからさ。ううん、これと……」

 

数分後。

試着室からネプギアが出てきた。

 

「なんでチャイナドレスなんですかっ!」

「……エロいな」

「……エロいですね」

「やめてください!」

 

そんなこんなで今日のショッピングは数着服を買うだけで終わった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

そして街。

ネプギアの行きたい電気屋に向かって歩いているがもう時間は昼を過ぎていた。

 

「何か食べてく?」

「あ〜……確かにお腹空いたかも」

「でも、ここら辺にお店は……」

 

周りを見渡すがそこは公園のど真ん中だ。噴水が水を吹いている。

 

「探してくるよ。2人はそこのベンチに座ってて」

「あ、でも」

「疲れたでしょ。これくらい、任せてよ」

 

そう言ってミズキは行ってしまう。

ネプギアとユニは素直にベンチに座った。

 

「なんだかんだ服も持ってもらっちゃってるし……」

「相変わらず、頼りになるというか献身的というか……」

 

ふう、と2人は息を吐く。

 

「ねえ、ミズキさんは他の国には行かないの?」

「ううん。迷惑かけたのを謝るのとお礼で1度は全部の国を回るかもって言ってた。でも、お姉ちゃんが許してくれなくって……」

「ネプテューヌさんが?どうして?」

「ほら、ノワールさんとかに告白されて付き合っちゃったらプラネテューヌから出てっちゃうかもしれないから……。そのこと自体は言ってないけど、とにかくダメ!って」

「……修羅場の可能性もなきにしもあらずよね」

「うん……」

 

今度は2人で溜息を吐く。

ミズキのことはもちろん好きだが……憧れの感情が強い2人にとってはなんていうか、優しい先生とかお兄さんみたいな好きだ。

だがそもそもミズキが女神ですら、妹ないし年下の女の子のように扱っている節がある。

ユニはミズキの中に入ったノワールから『ミズキは恋愛感情を抱かない』という話を聞いてはいるが、どうなのだろうか。

するとユニは遠くでこちらをチラチラと見ながらコソコソ話す男達を見た。

なんだか『金!暴力!S○X!』とか言いそうな奴らだ。

 

「ネプギア、離れましょう。ちょっとああいうのは……」

「え?ゆ、ユニちゃん?」

 

ネプギアの手を引いてベンチから立つ。

あんなのに絡まれるなんてごめんだ。

だがこちらが立ったのを見て男達はこちらに寄ってきた。

 

「もう……!」

「ゆ、ユニちゃん?」

 

後ろを振り向かずにスタスタと駆け足で歩く。

その肩がポンと叩かれた。

 

「触んないでっ!」

「おっと」

「え?」

 

振り向いて拳を振り回したがそこにいたのはミズキさんだった。ミズキさんは軽く拳を手のひらで受け止めた。

 

「あ、あれ?あいつらは……?」

「女の子と外を歩く時。障害はできるだけ未然にスマートにカッコよく排除しろ。ってさ」

 

ミズキが指差す先にはなんだか倒れて悶えている男達。

 

「何したんですか?ミズキさん」

「ん?………ちょっとね」

 

ネプギアの質問に顔を背けるミズキ。

 

「ちょっと、ちょっとだけだよ?ちょっとだけ、ユメミダケの粉を……」

「え」

「え」

 

ユメミダケ、というのは体から胞子を吹き出すモンスター。その胞子は痺れ粉であり、さらに幻覚まで見てしまう。

ネプギアとユニは以前にEX化したユメミダケと戦った苦い思い出があるのだが……。

 

「まさか、あの時の粉を⁉︎」

「だ、だからほんの少しだけだよ!」

「……ミズキさんって偶にえげつないことしますよね……」

「あ、あはは……。まあ、2人をナンパしようとしたんだ」

 

そう言って2人の頭に手を乗せてくしゃくしゃと撫でるミズキ。

 

「あれくらいは、ね。クスクス」

 

そう言われてからユニがはっと無礼に気付く。

 

「あ、わ、私殴っちゃって……!」

「え?ああ、いいよ別に。鋭いパンチだったね。クスクス……」

「そ、それはなんだか女子としては嬉しくない……」

「あ、そうだ」

 

ミズキが空中から湯気を立てるたい焼きを取り出した。

 

「たい焼き、好きかな?」

 

たい焼きは美味しい。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ふはぁ、極楽です……」

「これだけあればユニのライフルもとある科学で超電磁砲に出来るよ」

「いいです!そんなレベル5な能力はいらないです!」

「ベクトル操作くらいにしとく?」

「出来るんですか⁉︎」

 

電気屋から3人で外に出る。

ネプギアはご満悦で機械類を眺めていてミズキは慣れた様子でカゴに機械類を入れていきユニはそんな2人を遠巻きに眺めていたのである。

 

「それじゃ、帰ろうか。荷物、持てるかな?」

「あ、はい、大丈夫です。ありがとうございました」

「クスクス、いいよ。それじゃ、またね」

「はい!」

 

ユニが荷物を持って行ってしまった。これからラステイションに帰るのだろう。

 

「さて、僕らも帰ろう……ん?」

「ミズキさん?どうかしましたか?」

「これ、ユニのだよね?」

 

ミズキさんが持った袋はユニが買った服が入った袋だった。

 

「あ、そうですね。今から走れば間に合うかな……」

「いや、いいよ。今からラステイションに届けてくる」

「ラステイションの教会にですか?」

「うん。10分くらいで戻ってこれると思うけど……早く帰ってそれ、使いたいでしょ?」

「は、はい……。凄く、ウズウズしてます」

 

ネプギアが抱えているのは電気屋で買った機械類。早く弄りたくて仕方ないのだろう。

 

「クスクス。それじゃ僕はラステイションに行ってからそのまま教会に帰るよ。帰る時間は同じくらいになるね」

「はい。それじゃ」

「うん、また教会でね」

 

ミズキさんは変身して荷物を持ったままラステイションの方向へと飛び立った。

 

「うん?荷物を届けに……ラスティションの教会?」

 

何か、大変なことが………。

 

「ああっ!ノワールさんがっ!」

 

この後ラステイションが燃えたとか燃えなかったとか。




そのための、右手。あとそのための拳。
ちなみに僕は餡子が嫌いなのでたい焼きは食べたことないです。

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