超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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こんなアホみたいな話なのに文字数だけはすごい。


バイク大改造計画。目指せ、仮面ラ○ダー

プラネテューヌの教会、そこでアイエフが鼻歌を歌いながら工具を持って歩いていた。やたらとご機嫌である。

ミズキがそのアイエフを見かけて不思議に思い、こっそりついていく。

 

「〜♪さあ、やるわよ〜!」

「殺る?」

「殺らないわよ!……ってミズキ」

 

辿り着いたのはおおきなガレージ。しかし中が真っ暗だ。

 

「ん〜……車でもいじるの?」

「車じゃないわ。バイクよ」

「バイク?」

 

アイエフが真っ暗闇の中に入って慣れた様子で明かりをつける。そのガレージの真ん中には緑色のバイクが立てられていた。

 

「へえ……手入れするの?」

「ええ。久しぶりにね」

 

蛇口からホースを引っ張ってきたり雑巾代わりにするいらない服を広げたりアイエフがせわしなく動く。

 

「……ねえ、アイエフ」

「ん?どうかした?」

「……ものは相談なんだけどさ」

「なによ、ハッキリ言いなさい」

「……改造したくない?」

「……え?」

 

アイエフが手に持っていたモンキーレンチをカランと落とす。

 

「なんか、こう……お気に入りなのはわかるんだよ?」

 

ミズキは近づいてバイクを撫でる。だが、やはり長く使っているのか細かく見ればところどころ傷や汚れが目立つ。

 

「でもさ、ほら……リッター3000kmとかにしたくない?」

「0が2つほど多いわよ!」

「いや、ほら、時間はあるでしょ?弄るのは僕がやるから、ちょっとだけ、夢見たくない?」

「なんか、口調が怪しいことこの上ないんだけど……」

 

アイエフがモンキーレンチを拾ってこっちにやってくる。

2人は机の前に立ってミズキが紙とペンを取った。

 

「まずはさ……空を飛ばせたくない?ほら、アギ○みたいに」

「私はまず○ギトを知らないんだけど……空を飛ぶのはまあ、夢があるわね」

 

アイエフの厨二病心がウズウズしだした。

 

「ビーム砲とかどう?」

「いいね。最大速度は秒速400mとかにしてみない?」

「それ軽く音速超えてるわよ……!」

「音速にすると衝撃波がネックだね……。ミノフスキークラフトとかを……」

「え、ちょっと待って?」

 

アイエフが紙にペンで『やりたいこと』リストを書き上げていくミズキを止める。

 

「本気で改造する気?」

「……アイエフが許してくれるなら」

「え、バイクが空飛ぶわけないでしょ?」

「飛ばせるよ?」

 

なにを言ってるの?当然でしょ?みたいな顔でミズキが見つめてくる。

なにを言ってるの?バカなの?と答えたいアイエフは頭を押さえた。

 

「そもそも、動力はどうすんのよ」

「何か積もうかなって。擬似太陽炉とかあるし、核融合炉とかもある」

「それは最早バイクではないわよね」

「アイエフ……改造は原型なくなるまでやってこそだよ?」

「そんな改造聞いたことないわよ!」

 

なにやら目がキラッキラしているミズキを必死に止めるべくアイエフが粘る。

 

「待って、アイエフ。軽めの人工知能とか……」

「いらない!いらないから!」

 

け、結局ミズキも大人なようで根っこは子供なのね……。勉強になったわ。

 

「でもさ、アイエフ。ちょっと想像してみてよ」

「な、なによ」

「君がつけてる腕時計に『来て』って言ったらだよ?ガレージから自動的にバイクが飛び出して空を飛んでだよ?」

「………(ゴクリ)」

「君が走る横に並走してさ、君が飛ぶとその下に入って座れるんだ。そしてバイクが『イエス・マスター』とか言ってさ」

「…………………(ゴクリンチョ)」

「犯人を追いかける君は抵抗する犯人をビーム砲で蹴散らしてさ、空を飛ぶんだ。……カッコ良くない?」

「………カッコいいです」

「………欲しくない?」

「………欲しいです」

「………始めようか」

「………始めます」

 

アイエフ、陥落。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「さて、とりあえずまあ、最低限として性能は上げたいね」

「性能を?かなり丸い提案じゃない」

「とりあえず、老朽化した部分を新しい部品に変えよう」

 

カチャカチャと関節部だったりボルトだったりを新しいものに入れ替えていく。銀色に輝くボルトに変わっただけでなんとなくイイ感じに見える。

 

「次は……まあ、1番簡単なビーム砲かな」

「それが1番簡単なのね……」

「けど、動力をなににするかで変わってきちゃうからね。とりあえずミサイルくらいにしておこっか」

「くらい?今くらいって言った?ミサイルなのよ?」

「ナパームとかじゃないから安心して。全自動ロックオンの控えめなやつだよ」

「それは控えめではないわ。絶対」

 

アイエフは夢を見ながらも常識は見逃さないように気を張る。

 

「戦闘機で一番マズいのは背後を取られることだからね。後ろのタイヤにミサイルポッドをつけよう」

「戦闘機じゃないわよ、バイクよ。そこんとこヨロシクぅ」

 

後部タイヤにミサイルポッドが2つ取り付けられた。

ミサイルは後ろに飛ぶようになっているが、まあ一応ミサイルは想像していたものよりずっと小型だ。

 

「よし、次は空を飛べるようにしようか」

「出来たら凄いとは思うけど……なにから手をつければいいのか……」

「さすがに音速は諦めようか。衝撃波は周りに被害が出るからね」

「出来ないから、ではないのね。出来てしまうのね。そこに痺れる憧れるゥ」

「というわけで、動力炉はどうしよう……」

 

う〜んと悩む。

「ちなみに候補は?」

「擬似太陽炉と核融合炉とエイハブ・リアクターと……」

「よくわかんないけど全部ヤバいってことだけはわかるわ」

「よし、ここはシンプルに核融合炉でいこうか」

「何がシンプルなの?核なのよね?」

「核反応炉じゃないよ!核融合炉だから!間違えないでね!」

「何が違うのよ」

「wik○に聞いて!」

「丸投げしたわね」

 

するとミズキは次元倉庫から核融合炉っぽい鉄の塊を取り出した。

 

「これ、エンジンと取り替えても気付かないんじゃない?」

「そうだね。取替えがやや面倒だけど……」

 

ガシャガシャガッシャン!

 

「はい、取り替え完了」

「今日はいつも以上に適当な文ね」

「ちょっと火入れてみてよ」

「……まあ、いいけど……」

 

アイエフが浮かせたバイクのハンドルを握って少し加速してみる、と。

 

「ねえ、これだけで針が振り切れそうなんだけど」

「っべえ、こんなんつけたら一般道走れないよ……最高」

「いやいやいやいや」

 

アイエフとしてはタイヤが回る回らないくらいの気持ちでやったのだが。

 

「おかしいわよね、これ。こんなの音速どころかフルスロットルだったら○ルトラマンより速いんじゃないの?」

「何を言ってるのアイエフ!ウルト○マンより遅いだなんて……そんなのただのバイクじゃないか!」

「私はただのバイクを求めてるのよ!」

「仕方ないな……。じゃあ1割抑えるよ」

「ほぼ抑えられてないわよ!9割は抑えなさいよ!」

「そんな……!じゃあこの四次元突入装置の取り付けは……⁉︎」

「諦めなさいよ!ていうか何よその危なっかしいものは!」

「仕方ないな……余剰のエネルギーはビーム砲に回すよ。多分、島が……なんでもない」

「今何か言いかけたわよねぇ⁉︎島ひとつ消えるようなビームが出るのよねぇ⁉︎」

「もう、アイエフはワガママだなあ。ぷんぷん」

「私が悪いの⁉︎ていうかぷんぷんって⁉︎」

 

溜息をついてミズキはまたカチャカチャとバイクを弄り始めた。

 

「リミッターを付けとくから。0なら出力は普通のバイク。10ならシュワッチする覚悟の速度で」

「魂がシュワッチするわよね。多分天国に向かって飛んでるわよね、私」

「で、あとはウイングとかを付けて……」

「……もうバイクの面影はないわね……」

「前輪には、ビーム砲」

「それはやっぱりつけるのね⁉︎」

「出力は控えめにしておくよ。火傷するくらい」

「まあ、それくらいなら……」

 

部品をとっかえひっかえ、バイクが生まれ変わっていく。

そしてそこに堂々と立っていたのはさっきの姿の面影もないバイクだった。

 

「まず、これは兵器だからね。声紋認証及び指紋認証機能付き」

「声紋と指紋?」

「指紋はハンドル部分、声紋は直接バイクに話しかけるか電話で。とりあえず僕とアイエフの分を登録しておくね」

 

ピピッとミズキが新しく取り付けられたコンソールを叩いて認証が終わる。

 

「で、人工知能……というより、これはS○riだね」

「Sir○なのね」

「起きて」

《はい、マスター》

「呼び方は何がいい?マスターとかご主人様とかあるけど……」

「マスターでいいわよ。それで、この兵器類は?」

「ミサイルとビーム砲。威力と性能は説明した通り。さすがにこれは試し射ちするわけにはいかないね」

 

クスクスと笑ってミズキは武器ロックもかけた。

 

「で、空を飛びます」

「飛んでしまうのね……」

「リミッターを5まで解除すれば出来るよ。滑走路が必要ではあるけどね」

「はあ……。もういいわ。これでお終い?」

「そうだね。あとは……」

 

ミズキがまたコンソールをカチャカチャと弄る。するとバイクに取り付けられていた部品が全て消えて元のバイクの姿に戻った。

 

「手入れ、しようか」

「……そうね。手伝ってくれるわよね?」

「もちろん。あ……」

「ん?まだあるの?」

「………名前、どうしよう……」

「え?」

「普通名前つけるよね?何たら号とか……」

「……………」

「案ある?」

「任せて」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ネプギアは散歩がてら教会から外に出た。

すると遠くから叫ぶ声が聞こえてくる。

 

「………?なんだろう?」

 

ネプギアはふらふらとその声に惹かれるようにして歩く。

そこにはガレージがあった。

 

「ここ、確かアイエフさんの……」

 

ダカラ!ヤッパリコレクライガ!

ワカッテナイワネ!ドイツゴトフランスゴノロマンヲ!

 

「あれ、ミズキさん?」

 

ガレージの中は明かりがついている。

ネプギアはそれを覗き込んだ。

 

「ここはシンプルにハウンドドックとかどうだ!」

「なってないわね!モイヒェルメルダーとかどうよ!ドイツ語で暗殺者って意味よ!」

「君は諜報員でしょ!天使の名前とかどうだ!デュナメスとかキュリオスとかヴァーチェとかナドレとか!」

「カタカナを脱してみましょう!流星号とかどう⁉︎」

「ダサい!暴走族みたいだよ!朱雀天昇号とか!」

「私のバイクは緑なのよ!朱雀は赤色じゃない!」

「だからって玄武はおかしいでしょ⁉︎」

「やっぱり神様の名前よね!さっき天使の名前も出たけど、空を飛んで悪しき者を捕まえる……それはやっぱり神様の役目よね!天空の女神のディオネとか!」

「くっ、なかなかいい名前だけど……!君は悪役の名前に惹かれないの⁉︎悪魔の名前でどうだい⁉︎バルバトスとか!」

「くっ、それはわかるけど!」

「…………………何を、言ってるんでしょう……」

 

ネプギアはあまり見たくないものを見てしまったようだ。

ネプギアは何も見なかったことにしてそこから静かに去った。

 

 




ウルトラ○ンの飛行速度はまあ…ウルト○マンごとに違いますがマッハ3とか、もっと速かったり。
ガンダムの名前の由来を(知ってる限り)並べてみました。ダブルオーの機体のガンダムは大体が天使の名前だそうで。流星号はオルフェンズより。オルフェンズのガンダムフレームの機体の名前はソロモン72悪魔から抜粋されています。だから建造されたガンダムフレームも72体なわけです。

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