超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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アニメまで入れない……。

早く、早く……。


ネプギアと特訓

強くならなきゃって君が言う。

 

だって、強くならなきゃみんなを守れないから。

 

弱くていいんじゃないのって僕が言う。

 

だって、弱かったら守るものなんて最初っからないんだから。

 

それでも強くならなきゃって君が言う。

 

だって、みんな君に守られたいから。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ネプギアは目が覚めた。

今日は目覚めがいい。時計を確認するといつもよりも大分早い早朝だ。

 

「起きよ」

 

二度寝しようとも思ったが早起きは三文の徳とも言う。それに、なんだかこのまま寝てしまうのは勿体無い気がした。

顔を洗って髪を整えて着替えて部屋を出る。

そのままネプギアは外に出た。

早朝はまだ日が昇っていなくて、風が心地良い。

 

「ん〜………!」

 

大きく伸びをして深呼吸。

新鮮な空気が肺の中に満ちる。

 

「そうだ」

 

散歩でもしようか。時間はあるし、公園くらいまで行って帰ってこよう。

足取り軽く公園まで歩き出す。

スッキリした頭の中で1人の男の笑顔が浮かんだ。

 

「ミズキさん………」

 

うっとりした表情で空を見上げる。顔は赤らんでいるようにも見える。ほう、と熱い息を吐いてミズキのことを考える。

だって……だって……!

 

「あんなにも、機械に詳しいだなんて……!」

 

初めてあんなに機械に詳しい友達が出来た。私が悩んでいたことや不思議に思っていたことを話すと同意してくれる。こんな人初めて。

 

「今日は〜♪ミズキさんと〜♪お買い物〜♪」

 

それに今日はミズキさんと買い物の約束をしているのだ。目覚めが早い理由もそれ。

足りない工具の話をしたらミズキさんも工具が足りないらしく、街案内がてら電気屋に行くことに。

今からワクワクする。

それに、結構ミズキさんは色々といい人だ。

まずイケメンだし。

それに俺タイプではないが常に相手のことを考えているのがわかる。

俺口調の人が女の子を引っ張るなら、ミズキさんは女の子の背中を後押しする人だ。

ネプギアも思春期の女の子。それに、男の人との出会いが乏しい上に男の人と暮らすなんてことをしてしまっては色々と考えてしまう。

 

「ミズキさん、みんなと仲良いし……」

 

ネプテューヌはもちろん、最初はミズキのことを注意していたアイエフさんやイストワールさんともいつの間にか仲良くなっている。コンパさんだってそうだ。

ああ、今にもミズキさんの声が聞こえてきそうで………。

 

アッ!アンナトコロニユーフォーガ!

ニドトダマサレルカー!

 

そうそう、こんな声で………え?

 

「ミズキさん?それに……」

 

この声はアイエフさん。

我に返って周りを見渡すともうそこは目的地の公園。その公園から2人の声がする。

ネプギアはその公園を覗き込んでみた。

すると草原の上に2人がいた。

だが…………。

 

「えいやっ!」

「甘い。軽いよ、アイエフ」

「くそっ!」

「そう。だけど、それじゃ隙だらけだよ!」

「あうっ!」

 

2人が戦ってる⁉︎

 

「な、何してるんですか⁉︎」

「ん、ネプギアじゃないか」

 

ミズキさんが手を振ってくる。

それに手を振り返して……ってそうじゃない!

 

「な、何してるんですか⁉︎喧嘩はダメです!」

「クスクス、喧嘩じゃないよ。安心して」

「え?じゃあ何して……」

「稽古つけてもらってたのよ。私が。残念ながら、全然敵わないけどね」

 

尻餅をついたアイエフさんが言う。

さっきミズキさんがアイエフさんのカタールの連打をビームサーベル1本で軽くいなして足払いしたからだ。

ミズキはアイエフに手を貸して立ち上がらせる。アイエフは尻についた砂をパンパンと払った。

 

「朝ランニングしてるミズキを見つけてね。見習って私もついて行ってそのまんま流れで勝負しようってなって……」

「なんで流れで勝負しようってなるんですか………」

「いや、その………」

 

素振りをしているミズキを見てたら「組手する?」ってなってそこからヒートアップして……。

 

「くすくす。どうする、アイエフ?もう1回やる?」

「当たり前よ!見てなさい、今度は勝つんだから!」

 

アイエフはミズキと間合いを大きくとってカタールを構える。

ネプギアは戦いに巻き込まれないように2人から離れた。

 

「行くわよ!」

 

アイエフがカタールを構えて突進する。

対してミズキは棒立ちでビームサーベルだけを前に向けている。

 

「やあっ!」

 

左、右、左の順で縦、横、突きを繰り出す。

それら全てをミズキは後退しながら上半身だけの動きだけでかわした。

そして突きを出した腕をとって背負い投げ。

 

「くっ!」

 

だがアイエフはくるりと回って着地した。

 

「このっ!」

「そこ」

「っ!」

 

振り返って飛び出したアイエフの首筋にビームサーベルの切っ先が突き付けられた。

 

「今のは間合いを取るべきだったね」

「くぅぅ〜、また負けた……!」

 

アイエフが悔しがって地面をだんだんと叩く。

 

「ネプギアもやる?」

「え?」

「お願いできるかな、相手」

 

アイエフさんでも軽くあしらわれる人に私が……?

でも、恐れてちゃダメだ。私は早く女神化ができるようにならなきゃいけない。いつか、お姉ちゃんを超えなきゃいけないんだから。

 

「お願いします」

「うん」

 

ネプギアがビームソードを構える。ミズキもビームサーベルを構え直した。

今度はアイエフが2人から離れる。

 

「いくよ!」

「くっ!」

 

ミズキが飛び出してビームサーベルを縦に振るう。それをネプギアはビームソードで受け取った。

ビーム同士のぶつかり合いでスパークが起こる。

 

「負けません!」

「あ、ネプギア。パンツ見えてる」

「ええっ⁉︎」

「はい隙あり」

「きゃわっ⁉︎」

 

驚いた隙に足払いして転ばされてしまった。

 

「くすくす。僕の勝ちだね。ちなみに、パンツ見えてるのはウソ」

「な、ふ、ふざけないでください!」

「ふざけてなんかないさ」

 

スカートを抑えてネプギアが真っ赤な顔で抗議する。

だがミズキは厳しい顔でネプギアに言い放った。

 

「君は負けた時にさっきみたいな言葉を言われて負けたって言い訳できる?」

「そ、それは………」

「バカみたいな戦術だけど……それで死んじゃったら元も子もないでしょ?戦場では相手は正々堂々戦ってくれるわけじゃないよ。1対2なんて当たり前だし、人質だって取る」

「……………」

「ちなみに、アイエフも同じような手段で負けたよ」

「………………」

「何よネプギア。そのジト目は。アンタも同じようなことで負けたでしょ⁉︎」

「ちなみに、アイエフには『あ!あんな空に不死鳥が!』で引っかかった」

「………………」

「やめてよ!そんな目で私を見ないでよ!」

「くすくす。さ、続けよっか」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ひぃ、ひぃ………」

「はあっ、はあ……」

「ん、もうこんな時間だよ。そろそろ帰ろっか。ネプテューヌが朝ご飯を待ってるよ」

「つ、ついに……」

「1度も勝てないなんて……!」

 

アイエフとネプギアはばったりと汗だくで地面に大の字になる。

 

「くすくす。2人とも、歩ける?」

「わ、私は大丈夫です〜……」

「ごめん、私は無理………」

 

ネプギアはともかく、アイエフがギブアップしてしまった。ランニングまで付き合ってくれたのだからその分疲労が大きいのだろう。たかが30分くらいの組手だったが、その疲労は大きい。

 

「ネプギアは歩けないとね。午後には出かけるんでしょ?」

「は、はい。大丈夫です。行けます」

「くすくす。アイエフは歩けない?」

「情けないけど……無理ね……。置いて行って、いいわよ……」

「そんなわけにもいかないよ」

 

ネプギアは立ち上がったがアイエフは大の字のままだ。

そのアイエフの脇の下に手を入れてミズキがアイエフを持ち上げた。

 

「うんっ、しょ……っと」

「きゃっ!ちょ、何してんのよ!」

「アイエフ、軽いね」

「そんなこと聞いてないわよ!」

「よ〜しよし、怖くないぞ〜」

「あやしてんじゃないわよ!」

 

アイエフを抱き抱えて歩くミズキ。

 

「降ろしなさいよ〜!」

「じゃあ、力ずくで降りてみなよ。くすくす」

「くっ〜!力入らないのわかって〜!」

「ほら、ネプギアも行こ」

「あ、はい」

 

喚くアイエフとそれを物珍しそうな目で見るネプギアを連れて、ミズキは教会へと帰った。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「おっそ〜い!もう私お腹ペコペコどころかぺぺここぺぺここーーってどうしたの⁉︎」

「あはは……語呂が悪いね……」

「ネプギアは汗びっしょりだし!あいちゃんはミズキに抱かれてるし!私が幸せいっぱいな二度寝をしてる間に何があったのさ〜!」

「い、いい加減降ろしなさいよ!」

「くすくす。それじゃ、ネプテューヌ。ネプギアとアイエフをお風呂に入れてきてくれるかな」

「あいさ〜!報酬は⁉︎」

「朝ご飯かな」

「タダ働きだよそれ〜!」

 

おいおい泣きながらネプテューヌはネプギアとアイエフ(長時間抱かれていたら歩けるようになった)を連れて風呂場に行こうとする。

だがネプギアが立ち止まって振り返った。

 

「あの、朝ご飯は………」

「今日は僕が作るよ」

「え、ミズキ料理できんの⁉︎」

「得意料理はネズミの姿焼きかな」

「ミズキ、やめて」

「じ、冗談だよ。そんな真顔で言わないでよ……」

 

こちらをジト目で見ながらネプテューヌは風呂場に歩いて行った。

おいしいのに。ネズミ。

 

「……………」

「ミズキ」

「………どう、ジャック」

「残念ながら……お前の予想通りだ」

「………っ」

「あの赤黒いモンスターはビフロンスの影響で……」

「もういい。………朝ご飯作らなきゃ」

「ミズキ」

「何さ」

「考えろ。考え抜け。お前が結論を出すんだ」

「………もう、答えは出てる。覚悟が、ないだけさ……」

「………ならいい。それともう1つ」

「……………」

「いい加減、その愛想笑いをやめたらどうだ」

「………わかってる」

 




アイエフは根は甘えん坊な気がする。ほら、あっちじゃ子供だったし。

ネズミ料理はいけませんね。夢の国に潰されます。(そっちかい

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