超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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神BGMのお出ましですよ。もう、アレ鳥肌立つっつの。


みんなを助けに来た

失わない。

 

失えない。

 

失いたくない。

 

失いたくないから。

 

失敗はしない。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ネプギアはまたベランダで俯いていた。

夜空に流れ星が光ってネプギアは顔を上げる。

 

「ネプギアちゃん」

「ほら早く!」

「っ、わかってるわよ」

 

ロムが呼ぶ声に振り向くとそこにはロムとラム、そしてラムに連れられてユニがベランダにやって来ていた。

ユニはまだ涙を拭っている。

 

「ユニちゃん……」

「仲直り、しよ?」

 

ロムが差し出した手をネプギアは取る。その上にラムとユニの手も重ねられた。

 

「言い過ぎ……ちゃった。ごめんね……?」

「……ううん」

「わかってる……わかってるの!ネプギアのせいなんかじゃ……!わかってるのに!」

 

ユニの目からまた涙が溢れる。

 

「うん。気持ち……わかるから」

「ううっ……うっ……!」

 

ユニは涙を拭い直す。そしてつらつらと語り出した。

 

「私のお姉ちゃんより強い人なんて、ミズキさんくらいだと思ってた……。私のお姉ちゃんとミズキさんがいる限り、なにがあっても大丈夫って、そう思ってたの」

「おんなじだよ。私だってお姉ちゃんがいないとなんにも出来ない。今だって、どうすればいいのかーーー」

 

その瞳がまた諦観に沈もうとした時、その声はした。

 

「ま、待つですぅ!」

「ま、待ちなさいよ!“ミズキ”!」

 

「えっ………?」

 

日が昇り、夜明けが始まる。新しい光が世界を照らす。その光を浴びて窓を開けて現れたのはーーーー。

 

「………ネプギア」

 

…………ミズキだった。

 

「み、ミズキ、さん………」

「……頼みが、あるんだ」

 

ミズキは頭を下げた。

 

「み、ミズキさん……どうして……?」

「執事さん、よね……?」

「執事さん、帰ってきたの……?」

 

「……みんなにも、頼みがある」

 

ふとネプギアはあの日の約束を思い出す。

 

「僕はみんなを助けるつもりだった。助けたくって頑張ったんだ。けど、何処かでミスをしてしまった。間違えてしまったんだ。その結果、みんなは捕まってしまった……」

 

「ミズキさん……」

 

「もう、僕1人じゃどうにもならないんだ。僕1人では、もうネプテューヌもノワールもブランもベールも助けられない。だから……」

 

『君を頼っていいかな』

 

「助けてくれ、みんな。僕に力を貸してくれ……!」

 

ネプギアの返事は決まっていた。

 

「ミズキさん……私、約束を守ります!」

「ネプギア……」

「手伝わせてください!今度は私が、ミズキさんを助けます!」

「でも、私達まだ女神化も……」

「出来るようになればいいんじゃない!」

 

ユニをラムが励ました。

 

「執事さん……私達を助けてくれた……。今度は、私達の番……!」

「ロム、ラム……」

「……そうね、私もミズキさんに助けてもらった……。その借りは返さなきゃ!」

「ユニ……」

「ミズキさん、一緒に戦いましょう。お姉ちゃん達を、助けるんです!」

「ネプギア……」

 

女神候補生達はその目に強い光を宿した。今が、姉を越える時だ。

 

「ミズキ、私達もいるわよ」

「ねぷねぷ達を、助けるですぅ!」

「アイエフ、コンパ……ありがとう」

 

ぎゅっとミズキは拳を握り締める。

 

「そうなれば特訓ね!」

「女神化……頑張る……!」

「ミズキさん、久しぶりに稽古をつけてください!」

「わ、私も!お願い、ミズキさん!」

 

ミズキは返事の代わりに強くうなづいた。

 

「………始めるよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「やああ〜っ!」

「軽い!ユニ、ロム、ラム!フォローは⁉︎」

「くっ、当たれ当たれ!」

「そんな弾が当たるかっ!」

「くっ!」

「これで……!」

「食らって!」

「近付き過ぎだ!切られたいのか!」

「コンパ、行くわよ!」

「はいですぅ!」

「背後から襲うのに掛け声は問題外だ!」

「うわっ!」

「あうっ!」

 

ミズキは女神候補生とアイエフ、コンパを圧倒していた。ビームサーベルを両手に持って全員の攻撃をいなしている。

 

「負けません……!そこっ!」

「っ!」

「やった……!」

 

ネプギアがミズキに1太刀浴びせる。

 

「うん。良くなった。全員、見違えるほどだよ」

「ほんと……?」

「全然歯が立たないわよ?」

「そんなことはないさ。今ならそんじょそこらのモンスターは目じゃないよ」

 

そう言ってミズキはロムとラムの頭を撫でる。そこにジャックが漂ってきた。

 

「ミズキ」

「どうしたの、ジャック」

「もうあまり時間がない。もうすぐこの写真が公開される」

 

ジャックが空中に写真を映し出す。それは捕らえられた女神達の姿だった。

 

「そうなればシェアが下がって救出は絶望的になる……か」

 

シェアは女神や女神候補生の力の源。シェアが下がればネプギア達の力は失われる上に、ネプテューヌ達の死期も早まってしまうかもしれない。

 

「ミズキさん、行きましょう。お姉ちゃん達を……」

「……その前に、作戦とおまじない」

「おまじない、ですか?」

「うん。みんな手を出して」

 

みんなが手の甲を上にしてミズキに向かって手を出す。まずミズキはコンパの手を取った。

 

「これは僕達が大切な戦いの前にやってたおまじないだよ。……コンパ」

「は、はいですぅ!」

「その優しい心、忘れないで。みんなを癒してあげて」

「は、はいですぅ!」

 

ミズキはコンパの手の甲をなぞっていく。するとなぞった道筋に赤い線が浮かび上がり、それは炎の形を取った。

 

「これ……みずみずの手の模様と同じですぅ」

「数時間で消えちゃうけどね。……アイエフ」

「う、うん」

「その冷静な判断力を頼りにしてる。みんなを引っ張ってあげて」

「……任せて」

 

アイエフの手の甲にも炎のマークが浮かび上がった。

 

「ラム」

「はい!」

「大切なのは立ち向かう心。がむしゃらに走り抜けて」

「わかったわ!」

「ラム」

「はい……!」

「必要なのは気持ちを言葉にする勇気。姉妹で力を合わせるんだ」

「わかった……!」

 

ロムとラムの手にも炎のマークが浮かび上がった。

 

「ユニ……わかってるね?」

「『ひたむきな心と負けん気』、ですよね!」

「100点だ。それがあれば何だって超えられるさ」

 

ユニの手にも炎のマークが浮かび上がる。最後はネプギアだ。

 

「ネプギア」

「……はい!」

「君に必要なものは心の叫びだ。その奥底から気持ちを爆発させて。そうすればきっと、変身だって出来る」

「………はい!」

 

ネプギアの手の甲にも炎のマークが浮かび上がった。

これで全員の手に炎のマークが記された。

 

「クク、まるで昔に戻ったようだな」

「うん。いつもみたいに終わるさ。みんなやっつけて取り戻して……。それで終わりだ」

 

ジャックの舌にも炎のマークが彫られていた。その炎のマークは、『子供たち』の仲間の証。友達の証。

 

「……作戦を伝えるよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

女神達が囚われている結界にはもう大分黒ずんだ水が溜まっていた。

時間が経てばじきに女神達を飲み込んでしまうだろう。

だが、誰もそんなこと怖くはなかった。

ただその胸にあるのは、後悔だけ。

 

「………私達、このまま死んじゃうのかな……」

 

ネプテューヌがそう呟く。死ぬことが怖いんじゃない。死んでしまってミズキに謝れなくなるのが怖いのだ。

 

「……きっと、助けが来ますわ」

「誰が来るって言うのよ」

「……アナタ方の妹達ですわ」

「ユニが?無理ね、あの子はまだ1人でモンスター退治をしたことだってないのよ?」

「ロムとラムも……戦えない」

「ネプギアだって、しっかりしてるように見えて甘えんぼだし、無理だよ……」

「それは……アナタ方のエゴではなくて?『ずっと可愛らしい妹でいて欲しい』。そのエゴが、妹達を変身できないままにしてるのではありませんか?」

「……………」

 

ノワールには心当たりがあった。ユニが強くなろうとした時に感じたあの気持ち。ユニが強くなるのは嬉しいことのはずなのに、何故か嫌だった。それは、私のエゴだったというの……?

 

「それに……きっと、ミズキ様が来てくれますわ。私達を助けに」

「……来ないわよ。愛想尽かされても仕方ないことを、私達はしたんだから……」

 

諦めたって不思議じゃない。誰だって嫌になる、こんなことをされたら。

 

「……私は、ミズキと本を読む時間が凄く幸せだったわ……。温かくて、癒されて、幸せで……。ずっとこのままでいたいと、そう思ったわ……」

「ブラン……」

 

ブランはその気持ちを吐き出し始めた。ブランの目にも涙が浮かんでいた。

 

「私だって……!ミズキのこと、好きだったかもしれなかったのよ……!」

「ノワール………」

「もう1度会って、確かめようとしてた……。それが結局、ミズキを苦しめていたことも知らずにね……」

 

ノワールの目にも涙が浮かんだ。ノワールの頬を静かに涙が伝う。

 

「………ネプテューヌはどうですの?」

「……………」

「私は……あの方を不思議な方だと思いますわ。あの方がいると、周りが満たされていく……。みんながあの方の意思に引っ張られて、寄っていく気がしましたわ」

「………私は、さ」

「………ええ」

 

ネプテューヌの顔はぐしゃぐしゃになっていた。涙と嗚咽が漏れて止まらない。

 

「ミズキと暮らす時間が、楽しくって……!ずっと一緒にいられればいいなって思ってたよ……!だから、別れた時は辛くって、追いかけようとした……!」

 

会いたかったんだ、ミズキに。そう願うことすら、間違っていたのだろうか。

 

「私、間違ってたのかな……⁉︎ミズキに会いたいなんて、思っちゃいけなかったのかな……⁉︎」

 

その瞬間、警報音が鳴り響いた。

 

「チュ⁉︎なんチュかこれは!」

「どうした、ネズミ」

「こ、高熱源体が物凄いスピードで接近してくるっチュ!う、上っチュよ!」

 

みんながその声につられて上を向く。

すると立ち込める暗雲の向こう側から雷の如く、ビームが落ちてきた。

 

「チュ〜っ⁉︎」

「くっ……!なんだ、これは!」

 

ビームは地面に当たって衝撃波を発生させる。モンスターはその衝撃波に当たっただけで光になって消えていく。

暗雲から純白の機体が舞い降りた。全身を白い装甲で包み左手にはシールド、右手には無骨なライフルを持っている。

その機体はビームでモンスターがいなくなった場所にゆっくりと着地した。

 

 

ーーーー『RX-0』

 

 

「あ……!あ…………!」

「なんで、なんで……っ⁉︎」

「来てくれた……また……!」

「あのお方が……来ましたのね……!」

 

《ネプテューヌ!君は間違ってなんかなかった!》

 

「っ!」

 

《君だけじゃない、ノワールもブランもベールもだ!君達は何1つ間違っていない!》

 

「そんな……!そんなわけ、ないっ!私達は、ミズキを邪魔し続けて……!」

「私達はアナタの友達でいる権利はないの……!帰って、帰ってよ……!」

「ここはもう……!せめて、ミズキ様だけでも……!」

 

《うるさいっ!》

 

『っ!』

 

《君達にどう思われようが知ったことじゃないよ!ただ僕は!今までしてきたようにこう言うんだ!》

 

 

《僕は……僕は、みんなを!助けに来た!》

 

 

『………っ!』

 

 

「なんだ、お前。邪魔をするな、消えろ!」

 

マジェコンヌは戦闘態勢を整えようとする。

そこにネプテューヌ達の泣き声がこだました。

 

「うわぁぁぁんっ!ミズキ、ミズキっ!」

「アナタは……!なんで、いつもいつも……っ!」

「イヤ……死にたく、ない……!本当は、死ぬのなんか、イヤよ……!」

「ミズキ、様……!」

 

全員が涙を堪えきれない。

なんで、来てくれたのか。なんで、助けてくれるのか。なんで、そんなに、そんなに……!

 

「イヤだよ!死にたくないよ、ミズキ!助けて、助けてよ!」

 

《……任せて、みんな。僕が君達を救ってみせる!》

 

その純白の機体の名は一角獣(ユニコーン)。額の1本のブレードアンテナがまさにユニコーンの角のように伸びている。

その手に持ったライフルの名は『ビーム・マグナム』。

ユニコーンはビームマグナムを両手で持ってその銃口をマジェコンヌに向けた!

 

「なっ⁉︎」

 

エネルギーが銃口で丸くスパークして……!

 

《当たれぇぇぇッ!》

 

バキューーーーンッ‼︎

 

「うおおっ!」

 

飛んでいく!

マジェコンヌは紙一重でそれを避けるが……!

 

「なっ⁉︎うああっ!」

 

そのビームに掠っただけでマジェコンヌは吹き飛ばされた!

 

《みんなをやらせはしない……!僕は!みんなを助けるんだッ!》




ユニコーン、単機で突入。

ノワールがミズキを探したがってた理由は惚れてたから。他の人達はまだミズキに惚れてる確固たる何かはない模様。

ユニコーン登場シーンはシャンブロの前にユニコーンが立ちはだかった時のアレ。

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