超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ミズキの目的がついに明らかに。


真実と後悔

僕は弱くなったなあ。

 

みんなに助けてもらってばかりだ。

 

僕は弱くなったなあ。

 

みんなに助けを求めてばかりだ。

 

僕は強くなったんだ。

 

みんなも含めて僕だから。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

リーンボックスの教会。そこでは妹達が沈鬱な表情をしていた。ネプギアは俯いていて特に元気がない。

 

「……アナタ達は1度教会に帰った方がいいわ」

「待って!そんないきなり帰れって言われても、納得できるわけないでしょ⁉︎もっとちゃんと説明して!」

「いつものお姉ちゃんなら、悪者なんて1発なのに!」

「お姉ちゃん……死んじゃうの……?」

「き、きっと大丈夫です。女神様がそう簡単にやられるわけない……」

「でも!」

 

ユニがコンパの言葉を遮る。

 

「『力が奪われた』って、さっき……!」

「………ごめんなさい」

 

その声はネプギアの声だった。

 

「ぎあちゃんだけが悪いわけじゃ……」

「ううん」

 

ネプギアの脳裏には買い物の時の記憶が浮かんでいた。

 

「買い物の時に拾った石、あれがきっとアンチクリスタルだったんです……」

「……やめましょう。今そんなことを考えたってどうにも……」

「どうして……、どうしてあの時目眩がしたかちゃんと考えてれば……!お姉ちゃん達に、報せてれば……!」

「ネプギアのバカァッ!」

 

その罵倒はユニから発せられたものだった。1番の親友の、ユニから。

 

「お姉ちゃんは……!私のお姉ちゃんは、とても強いのに……アンタのせいで……!」

 

ユニは怒りを抑えきれなかった。涙と共に心の中の感情が溢れ出た。

 

「お姉ちゃんの代わりに!ネプギアが捕まっちゃえば良かったのよッ!」

「っ!」

 

ネプギアの胸にその一言が鋭く刺さる。ネプギアの目からも涙が溢れ出た。

ユニは走って部屋から出て行ってしまった。ドアを乱暴に閉める音が響く。

 

「ううっ……!ううっ、うっ……!」

 

すすり泣くネプギアをみんなはただ見つめていることしか出来なかった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃、拘束されていた女神達は大した緊張感もなく捕まっていた。

 

「あ〜、もう!退屈〜!ゲームしたい〜!」

「私達、捕まっているのよ?」

「ですが、せめて『四女神オンライン』のチャットだけでも……。ギルドの人達と待ち合わせしていますのに……」

「おお、ネトゲ廃人!こういう時だけは心強いね!ね〜、ノワール!……ノワール?」

 

ノワールは必死に何かをこらえるように顔をしかめていた。体は微かに震えている。

 

「くっ……!」

「ノワール?どうしたの、どこか痛いの?」

「……違うわよ……!」

「じゃあなんでそんな顔してんのさ。もしかして、笑いを堪えてるとか!」

「………ふ、ふざけてんじゃないわよッ!」

「え?ノワール?ど、どうしたのさ……」

 

ノワールは声を荒げた。その目は潤んでいるようにも見える。

 

「ええ、笑いたいくらいよ!アナタ達と、自分のバカさ具合にね!」

「ど、どうしたのですかノワール」

「そ、そんなに悲観しなくてもいいじゃん!きっと助かるって〜!」

「ふざけないでよ……!私達は、何をしていたのよ……っ!」

「ノワール、説明して。何をそんなに悔やんでいるの」

 

ブランの質問にノワールは下唇を噛みながら答えた。

 

「ミズキよ……っ!」

「……ミズキが、どうかしたの」

「だから!気付かないの⁉︎ミズキはいつも何をしてたの⁉︎どこにいたの⁉︎何のためにプラネテューヌを旅立ったのよっ!」

「だから、それは、EXモンスターを倒すためではなくて?」

「違うわよ!ラステイションとリーンボックスを彷徨ってルウィーでは教会に留まっていたのよ⁉︎そこにはいつも何があったのよッ⁉︎」

 

全員がその言葉で真実に気付く。

ラステイションとリーンボックスはそれぞれ洞窟と海。ルウィーには教会にあったもの。それは……。

 

「まさか……ミズキは、アンチクリスタルを……っ⁉︎」

「そうよ!ネプテューヌをどうしても連れて行けなかった理由はそれよ!アンタがついていけば足手まといになるだけだものね!」

 

女神であるネプテューヌがアンチクリスタルを集める旅になど危なくて同行させられるわけがない。仮にアンチクリスタルが武器に転用されればネプテューヌの命は簡単に奪われてしまうだろう。

 

「じゃあ……ミズキは、失敗したの……?こんな、ことに、なるってことは……、死んじゃった、の……⁉︎」

「……っ、そんなわけないでしょッ⁉︎私達はアンチクリスタルを集めようとしてるミズキに何をしたの⁉︎何をしてもらったのよッ⁉︎」

 

ラステイションではノワールを助けて。ルウィーではロムとラムを助けた。リーンボックスではベールと5pb.を助けた。

 

「私達を助けるために!アンチクリスタルを切り捨てたのよッ!私達が危なかったから!ミズキはアンチクリスタルを諦めたのッ!」

「え……?そんな、ウソ、だよ……」

「……それでは、私達は……!」

「ミズキの邪魔を、していたというの……?」

「そうよっ!私を助けるためにアンチクリスタルを諦めた!ロムとラムを助けるためにアンチクリスタルを諦めた!5pb.を助けるためにアンチクリスタルを諦めて!ベールを助けるためにアンチクリスタルを諦めた!」

 

アンチクリスタルを取ればノワールが死んでしまうかもしれないから。

アンチクリスタルを取ればロムとラムが帰ってこないかもしれないから。

アンチクリスタルを取れば5pb.がテロリストに襲われてしまうかもしれないから。

アンチクリスタルを取ればベールが死んでしまうかもしれなかったから。

 

「きっと……ミズキはプラネテューヌにいた時に気付いたのよ。EXモンスターとアンチクリスタルの関係と、アンチクリスタルが持つ効力に」

「だから……私を傷つけても……?」

「そうよ!結局アナタは、アナタを助けようとしてたミズキの気持ちを踏みにじって、余計に傷つけただけだった!」

「………っ!」

「ノワール」

「言い過ぎですわよ」

「ブランも、ベールも悪いのよ!アンタ達がしっかりしてればミズキはアンチクリスタルを回収出来ていた!私だって悪いのよ!私がもっと強ければ、今頃こんなことにはなってないのッ!」

 

ノワールは涙を滴らせながら肩を上下させる。

 

「何をしてたのよ、私は……っ!ミズキとは、たった数回会っただけなのよ?ほんの少しだけ話をしただけなのよ?なのに、ミズキは私達を助けようとしてくれて……!」

「………ノワール………」

「私達は邪魔しかしなかったじゃない……!きっとその度にミズキは傷ついていたのよ……?私達を助ける度に、きっと傷ついてた……!『また、失敗した』って……!」

 

もうノワールの涙は止まらない。腕が縛られて涙を拭うことも出来ないが、それでもノワールは溢れる涙が止まらなかった。

 

「私達は……!何をしてたの……っ⁉︎一体、何をしてたのよ……っ!こんなんじゃ、女神失格どころじゃないわよ、ミズキの友達になる権利すらない……!」

 

『……………』

 

全員が沈鬱な顔をする。

みんなに、責任があった。ミズキの想いを裏切り続けた。どうしてか、なんて真剣にも考えなかった。

そのことは捕まってしまったことよりも、このままでは死んでしまうことよりも、女神達の心を強く締め付けた。

 

「フン。ようやくいい顔になってきたじゃないか、小娘共。どうだ?これから死を迎えることになる感想は」

「……今すぐ殺してほしいくらいよ……」

「クク、そんなお前に朗報だ。足元を見てみるがいい」

 

女神達が足元を見ると結界の底面から黒ずんだ水が溜まってきていた。

 

「なに……これ……」

「不気味ですわ……」

 

その水は女神達の体から少しずつ、少しずつ滴っていた。

 

「それはやがて、お前達を苦しめ死に至らしめるだろう」

 

ピチョンピチョンと音を立てて溜まっていく水。女神達にはそれが何もかも飲み込んでしまうかのような闇に見えた。

 

「残された僅かな時間を楽しむがいい。ククク………」

 

マジェコンヌは何処かへと去っていく。

女神達の心の中にはもう抵抗しようなどという心は生まれなかった。その心の中には無意識に傷つけていた友人の笑顔。あまりにも罪深い自分達。

 

「………もう……私達は、ミズキの友達なんかじゃ……ない……」

 

 

ネプテューヌはそう呟いた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

アイエフは教会の外に出て各国に連絡をしていた。女神候補生の迎えを頼むためである。

 

「はい……はい。それでは、よろしくお願いします」

 

アイエフは全ての国に連絡し終わって溜息を吐く。

 

「あいちゃん、終わったですか?」

「ええ。そうだ、イストワール様にアンチクリスタルの調査をお願いしようかしら」

 

「その必要はないぞ」

 

「な、なによアナタ………っ⁉︎」

「あ、あ、あ………」

 

アイエフとコンパは開いた口がふさがらないといった様子だ。

 

「………ネプギアは、この中だね」

「通させてもらう」

 

ドアを開けて2人組がリーンボックスの教会の中に入っていく。そのドアを閉める音でアイエフとコンパの2人は我にかえった。

 

「ま、待って!」

「待つですぅ〜っ!」




セリフ長くって読み辛いですね…。

ついにあの男が帰ってくる!(アメリカ映画感

変身する機体は……お楽しみに。ま、ある程度予測はできると思いますけど。

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