超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

32 / 212
第4章の始まり始まり。
2話の後書きにミズキの顔を追加しました。次はジャックの顔を書こうかと思います。拙いんですけどね。だから書き直します。いつになるかはわかりませんが。


第4章〜女神を救え。次元を越えて繋がる想い、女神候補生の覚醒〜
女神捕縛


君がもし、起きるとわかっている終わりを止められないとしたら?

 

ただ泣き叫ぶ?

 

くじけて膝をつく?

 

何も感じないように心を閉ざす?

 

僕は、諦めないよ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ドアを叩く音にベールは怪訝な顔で出る。

そこにはリーンボックスの教会の職員がいた。

 

「なんですの?まだパーティーの最中でーーーえっ……?」

 

奥ではみんなが遊んでいる。

だがベールは教会職員の耳打ちを受けると目の色を変えた。

その様子にノワールがゲームのスイッチを切るとみんなは元の姿に戻った。

 

「ねぷ?もう終わり?」

「何かあったの、ベール」

「いえ……ズーネ地区にある廃棄物処理場に多数のモンスターが出現したという情報があったのですわ」

 

ベールはすぐにパソコンを立ち上げてズーネ地区について検索し始める。

 

「ズーネ地区……離れ小島ね。引き潮の時だけ、地続きになるという」

「モンスターくらい別にどこでもでるっしょ?」

「いえ……。国が管理している地域ですから、そんなことはあり得ないはずですわ。でも……」

 

パソコンの画面には多数のモンスター反応。

 

「事実のようですわね」

 

ベールは椅子から立ち上がる。

 

「私、今から行ってきますわ」

「私も行くよ〜!」

「けれど、これは私の国のことですから……」

「こうして私達がいるのも何かの縁だしさ!手伝わせてよ!」

「またお決まりの、友好条約を結んだ以上は仲間〜、ってやつ?」

「ま〜ね〜!」

「私も手伝う」

 

意外なことにブランが名乗りを上げた。

 

「もしかしたらそこにミズキがいるかもしれない……。ベール、EXモンスターは確認できる?」

「……いえ、今のところは。ですが出ないという保証もありませんわ。これだけの異常な出現はEXモンスターが関わっている可能性も十分にありますから」

「じ、じゃあ私も行くわよ!ミズキがいるかもしれないんでしょ⁉︎」

「んじゃ〜、決まり!4人で行こうか!」

「みなさん……」

 

ベールは予想外の見方に嬉しそうな顔をする。そこにネプギアが発言した。

 

「あの!」

「………?」

「私も、行きます!ミズキさんがいるなら、私も……!」

「わ、私も行く!」

「私も!」

「私も……!執事さんに、会いたい……!」

「アナタ達はダメ。ミズキがいる保証もないし、何よりEXモンスターはアナタ達では歯が立たないわ」

「え〜っ⁉︎」

「ユニも当然留守番よ。アナタまだ変身も出来ないんだから」

「う……」

 

それを言われると弱い。いくら頑張ると言っても、成果がついてきていない。

 

「ネプギア!ここはお姉ちゃんに任せといて!たまにはいいとこ見せないとね!」

「……うん……」

「じゃあそんなわけで!変身!」

 

ネプテューヌ達4人の女神が光に包まれて変身を遂げる。

 

「ではみなさん、参りますわよ」

 

4人の女神達は夜空を羽ばたいて飛んでいく。

ネプギアはそれを心配そうに見つめていた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃、ズーネ地区では無数の機械モンスター達が蠢いていた。

 

「よくもまあ、これだけ雑魚モンスターを揃えたものっチュね」

「でなければ、女神をまとめて誘き出すことなど出来んからな。ククク、早く来るがいい」

 

魔女とネズミは怪しく微笑んだ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ネプギアはベランダの柵に寄りかかって星を見るわけでもなく俯いていた。

別に連れて行ってもらえなかったのが悲しいわけじゃない。もっと別のーーー。

 

「ネプギアちゃん?大丈夫?」

「え?私は大丈夫だけど……」

 

そんなネプギアを心配したのかロムが来てくれた。

 

「何だか、心配なの。お姉ちゃんが……」

「ネプギアちゃんのお姉ちゃん、あんまり強くないの?」

「ううん。本気出したらすごいよ。ミズキさんには負けちゃったけど、それから特訓してどんどん強くなってる。それに、こんなに弱い私をいつだって守ってくれるもの。でも……」

 

ネプギアは胸を押さえた。

 

「なんでかな。今日だけは、胸騒ぎがするの」

「胸騒ぎ……?」

 

夜風が2人の髪を揺らす。少し肌寒くて2人は部屋へと戻った。

 

「うん……うん……ありがとう、オトメちゃん」

 

部屋に戻るとアイエフが何やら電話をしている最中だった。

 

「思った通りだったわ」

「何かわかったんですか?」

「ショッピングモールにいたネズミ。気になって諜報部の同僚に調査を頼んでおいたの。案の定、各国のブラックリストに乗ってたわ。要注意人物、というか要注意ネズミとしてね」

 

そのネズミはネプギアも見覚えがある。真っ黒なネズミだ。そしてコンパも見覚えがあった。

 

「ええ⁉︎あのネズミさん、悪い人だったです?……悲しいです」

「しかも、数時間前にズーネ地区に船で向かっていたこともわかったの」

「それって、つまり……」

「推測でしかないけど、ズーネ地区にいきなりモンスターが現れたのには裏があるんじゃないかってこと。今ならまだ引き潮に間に合う。私、ちょっと様子を見に行ってくるわ」

「……私も……!」

 

様子を見に行こうとするアイエフをネプギアが引き留めた。

 

「私も、連れて行ってください!」

「え?ダメよ。ネプギアまで危険にさらすわけには……」

「どうしても気になるんです!お願い、アイエフさん!」

 

そういったネプギアの声色にはいつになく焦燥が含まれているような気がした。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃、女神達はズーネ地区に到着しようとしていた。

 

「見えてきましたわよ」

「けっ!うじゃうじゃいやがる」

「数ばかりで、大したことないのばっかじゃない」

「だけど万が一、街に渡ったりEXモンスターが現れたりしたら大変よ。早く倒して……っ⁉︎」

 

地面を割って地中から移動砲台のようなモンスターが現れる。そこそこ大きいが、体は赤黒くない。

その出現に女神達は急ブレーキをかけて静止する。

彼女らに移動砲台のようなモンスターが砲塔を向けて、弾を撃ち出してきた。

 

『っ⁉︎』

 

女神達は散開して攻撃を避けながら各々の武器を取り出す。

そして撃ち出される弾を避けたり、武器で相殺していった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃ネプギアはアイエフのバイクに乗ってズーネ地区へと向かっていた。

 

「いい?危なくなったらすぐ逃げるのよ?」

「はい。ありがとうございます、アイエフさん」

 

だが胸騒ぎが収まらない。それどころか、どんどん激しくーーーー。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「このデカブツが真打か!」

「敵に不足なしですわね」

「おあつらえ向きに1人1体!」

 

ノワールが円陣を蹴ってモンスターに急接近した。

 

「競走ね!」

「抜け駆けはさせねえ!」

 

ノワール、ブラン、そしてベールがモンスターに向かって接近し始めた。

 

「3人とも待って!ここはみんなで1体ずつ倒していくのがセオリーじゃ!」

 

そんなことを言うネプテューヌにノワールが挑発するように言い放つ。

 

「腰抜けのセオリーね」

「……まったく、変身するとみんな妙に強気なんだから……」

 

ネプテューヌも不敵に笑って円陣を蹴った。

 

「まあ、私もそうだけどっ!」

 

ネプテューヌは急加速する。そのスピードは凄まじくあっという間に女神達との差を詰める。

 

「お先っ!」

 

さらにネプテューヌは円陣を蹴って加速。女神達を追い越す。

 

「なっ⁉︎」

「あんの野郎っ!」

「負けていられませんわね」

 

ネプテューヌは最低限の上下左右移動で弾幕をかいくぐっていく。

 

「4体全部いただきよっ!クロス・コンビネーションッ!」

 

ネプテューヌがモンスターの1体を斬り伏せた。モンスターは光になって消える。

 

「次っ!」

「させないわよっ!レイシーズ・ダンスッ!」

 

次なる標的に狙いを定めたネプテューヌだったが、その前にノワールがそのモンスターを倒す。

 

「テンツェリン・トロンベ!」

「レイニー・ラトナビュラ!」

 

そして最後にブランとベールがほぼ同時にモンスターを仕留めた。

 

「同着かしら?」

「どっちもビリ、とも言うわね」

「チッ、次はこうはいかねえ」

「ネプテューヌ、アナタ少し見ないうちに随分速くなったんですわね」

 

その時、地面がボコッと盛り上がったことに誰も気付かなかった。

 

『っ⁉︎』

 

女神達の足元から黒いコードのようなものが伸びてきた。それは女神達を捕らえて縛り、身動きを封じた。

 

「っ⁉︎」

「何よ、これ!」

「………ッソ!」

「気持ち悪いわね!」

 

だが女神達も大人しく囚われはしない。力を込めて動き回り、コードを引きちぎろうとする。現にコードはちぎれかけていた。

その時、崖の上で魔女が怪しく微笑んだ。

 

「ククク……そろそろか」

「あいつが、黒幕……⁉︎」

 

魔女が赤黒く輝くクリスタルを箱の中に入れた。

 

「さあ、女神達よ。我がサンクチュアリに堕ちるがいい!」

 

魔女が女神達の頭上にその入れ物を投げた。すると入れ物は女神達の頭上で停止する。そこから三角錐の赤黒い結界が生まれ、ネプテューヌ達を封じ込めた!

 

「なんだこの光……っ!」

「っ、なに⁉︎」

「力が……っ!どうして……⁉︎」

 

女神達の力が抜け、コードに抵抗できずに完全に拘束される。女神達はそれに抗えず、身動きを完全に封じられた。

 

「あの石……!アレを破壊すれば……!」

 

ネプテューヌは手に持っていた太刀を頭上の石に向かって放り投げる。

だがその太刀は石に当たる前に光となって消滅してしまった。

 

「そんな!……っ!」

 

ネプテューヌもコードに縛られ、身動きを封じられてしまう。

 

「ククク、シェアエナジーを力の源にしているモノはその石には近付けない。たとえそれが、武器であろうと、女神自身であろうとな」

「……っ、どういうことですの……!」

「この石の名はアンチクリスタル。シェアクリスタルとお前達とのリンクを遮断し、力を失わせる石だ」

「アンチクリスタル……っ⁉︎」

 

下からパシャパシャとシャッター音が聞こえる。そこでは小さな黒いネズミが縛られた女神達の写真を撮っていた。

 

「いい写真っチュ。これは世間に大旋風を巻き起こすっチュよ」

 

「…………っ!」

「この………っ!」

「……っ……!」

「こんなこと……絶対に許さない!すぐにぶちのめしてやるんだから!」

 

女神達はコードから逃れようと力を込めるが、まったく抵抗できない。

 

「アナタ……何者なの⁉︎」

「私の名はマジェコンヌ。4人の小娘が治める世界に混沌という福音をもたらす者さ。ククク、ハーッハッ……」

「そしてオイラはワレチュー。ネズミ界No.3のマスコットっチュ」

「ネズミ……いいところで……邪魔をするな!」

「っチュ?なにを言うっチュか。ラステイションの崩れた洞窟と、アンコウの腹の中からアンチクリスタルを拾ってきたのは、オイラっチュよ」

「まず私がプラネテューヌで1つ目を手に入れた時から全てが始まったのだ。それに、ルウィーの教会からアンチクリスタルを盗んでくる大立ち回りを演じたのも私だ」

 

その言葉の中には聞き覚えのある単語がいくつか出ていた。

 

「ルウィーの教会って……。ブラン、あの石のこと……」

「……ああ。知ってる。厳重に保管していたが、あの誘拐騒ぎのあと行方不明になってた」

「………言ってくださっていれば……」

「仕方無えだろ!こんなにいくつもあるなんて知らなかったんだ!それに、アンコウの腹の中って……!」

「……恐らく、私を飲み込んだあのアンコウですわ」

 

ノワールはラステイションのトゥルーネ洞窟の事件を思い出す。魂と体が分離するような感覚。今感じるこの感覚に少し似ている。

 

「まさか、トゥルーネ洞窟のも……!いや、待って、そんな、まさか……!」

 

ノワールはそこでふと気付く。

ルウィーとプラネテューヌになくて、ラステイションとリーンボックスにあったもの。

ルウィーとプラネテューヌにはなくて、ラステイションとリーンボックスにいたもの!

 

「まさか、アンチクリスタルは、EXモンスターを⁉︎」

「ほう、勘がいいな。褒めてやる、小娘。お前が言う通り、この石には触れたモンスターをEX化させる力もある。まあ、EXモンスターは私も手を焼いたがな」

 

そしてノワールは勘付く。

EXモンスター達の近くには誰がいた?いや、EXモンスターの近くではない。

ラステイションを駆けずり回り、ルウィーの教会に勤め、海の近くのライブを守った男の名前は⁉︎そこにいつも何があった⁉︎

 

「そんな……まさか!」

「ノワール⁉︎何が……えっ⁉︎」

 

急にネプテューヌの体が光り輝く。その光が消えるとネプテューヌは変身前の姿に戻っていた。

 

「ねぷっ⁉︎変身が……!」

『っ⁉︎』

 

ネプテューヌだけではない。次々と女神達の体が光に包まれていく。

 

「言ったはずだ。その結界の中にいる限りお前達は力を失っていくと」

「っ、きゃあっ!」

「っ……!」

「なんてこと……っ!」

 

女神化が解けたことでネプテューヌ達の体はさらに強く締め付けられる。もはや自力での脱出は絶望的になっていた。

 

「…………お姉ちゃん……」

 

そんな中、崖の上に1人の少女が膝をついていた。

 

「お姉ちゃんっ!」

 

ネプギア。それに隣にはバイクにまたがったアイエフもいる。

 

「ネプギア⁉︎」

 

その声につられてモンスターがアイエフ達の周りに集まってくる。

 

「ネプギア、乗って!」

「でも、お姉ちゃんが!」

「……っ、ネプギア!」

「っ!」

 

アイエフが強引にネプギアをバイクに乗せて逃げる。アイエフは片手で拳銃を持ち、運転しながらモンスター達を狙い撃っていく。

 

「今は逃げるの!」

 

「いいっチュか。逃げるっチュよ?」

「構わん。まだ変身もできぬ女神の妹など」

 

アイエフ達は潮が満ちかけて半分埋まっている道をバイクで走る。

ネプギアは姉が囚われている島の方向をずっと見続けていた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃、リーンボックスの浜辺。

そこにミズキが両手両膝をつけて震えていた。その顔の下にポタポタと涙が滴り砂浜に色を付けていく。

 

「っ、く!くそっ……!くそっ、くそっ、くそっ………!」

 

砂浜に何度も何度も握った拳を打ち付ける。

 

「一体、僕は何をしてるんだ……っ!あんな大層なことを言っておいて、助けるなんて宣言して!結局僕は……!何も、守れなかったじゃないか……っ!」

 

砂浜の砂を握り締める。逃がさまいとしても指の間からすり抜けていく砂はまるで、友達の命のようだ。

 

「僕は……何だ……っ⁉︎何がしたかったんだ……⁉︎僕は、また間違えたのかッ!」

「………ミズキ……」

「僕は……!くそっ、くそっ!僕は結局このザマだ……!」

 

ひとしきり砂浜に拳を打ち付けてからミズキは荒げた息を整える。

 

「ミズキ……だが、まだ間に合う」

「……っ!わかってる!まだ、無理じゃない!」

「まだ誰も死んでないぞ、ミズキ」

「そうだ。5pb.に思い出させてもらった……諦めなんかしない。僕1人じゃ無理でも、僕にはみんながいるんだ………っ!」

 

 

『……任せてください!きっと私が、ミズキさんの力になります!』

 

 

「ネプギア………!」




ネプテューヌも成長してましたね。アニメとは随分違う強さ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。