超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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これでお終い。
次からはアツいですよ。アニメでもアツかったし。……アツくできるかなあ。


終わりの始まり

始まりはいつだって唐突なもの。

 

気がついたら始まりは始まっている。

 

始まりはいつだって緩やかなもの。

 

気がついたら始まりは終わっている。

 

始まりはいつだって恐ろしいもの。

 

気がついたら何かが変わっている。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ねっぷぅぅ〜〜〜〜〜〜っ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

 

リーンボックス中にネプテューヌの大声が響く。

その声たるや『プラネテューヌの雄叫び』。ウラララララ!

 

「じ、じ、人工呼吸をされたぁぁぁ〜っ⁉︎」

「え、ええ……」

 

ネプテューヌの慌て様にベールもドン引き気味だ。

 

「な、な、な、なんて羨まけしからん私もしたいなことを!」

「ね、ネプテューヌ……願望が漏れてますわよ?」

 

3分の2は欲望だった。

 

「の、ノワール?ブラン?あの……みんな、どうしたのですか?」

 

ベールは冷や汗を垂らしながらみんなを見る。

2人ほど「じんこーこきゅー?」と?マークを浮かべている者がいたのでアイエフとコンパが確保した。

 

「いや、その……私も、イヤではありませんでしたのよ?それで私は助かったわけですし……。ですが、不可抗力でしたし……。だから、その……許してもらえませんか?」

「……別に、怒ってはいない。ただ、ムカッとした」

「それは〜……怒ってるのでは?」

 

ブランは激しい口調が出てはいないものの、不機嫌気味だ。

 

「別に、私はミズキさんが好きとかそういうわけじゃないけど……」

「な、なんか私もあまりいい気分はしません……」

 

ユニは口を尖らせてネプギアは苦笑いしている。

 

「……ネプテューヌ、不可抗力だったのは確かだし、ここはノーカンってことで手打ちにしましょう」

「ねぷっ⁉︎ノワールは悔しくないの⁉︎」

「悔しくはないわよ。別に、ミズキがあっちの次元でキ……キ……キ……」

「キス!ちゅ〜!接吻!」

「そ、そんなに言わなくてもわかるわよ!それをしてない保証もないわけだし!」

 

ぶっちゃけ悔しいのは内緒である。

だがここは人工呼吸してもらったことを責めるのではなく、無事ベールが生きていたことを喜ぶべき時だ。

 

「とにかくノーカン、ノーカンなの!そんなことより、ホームパーティーの準備がまだでしょ⁉︎」

 

時刻は3時頃。

教会は派手に散らかっていてこのままではホームパーティーどころか座るところもない有様だ。5pb.のライブをテレビで見る時もそのあたりの荷物を後ろに放り投げてスペースを作り、見ていたくらいなのだから。

 

「はい、散った散った!」

「で、でた〜!こういう時に仕切りたがる奴〜!」

「いいから!一旦人工呼吸の件は置いとく!」

 

むしろ火山に向かってぶん投げた挙句に地脈を赤石で刺激して噴火させ宇宙にまでぶっ飛ばしてから考えるのをやめたいが!

 

「はい、開始!」

 

ベールは今更「心臓マッサージもされましたから……その、胸も」などとは言えなかった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

みんなはノワールの指示と班分けでホームパーティーを夜に間に合わせるべく行動を開始した。

ネプギアとアイエフ、コンパは食料の買い出しに行っていた。

ちなみにアイエフとコンパは「じんこーこきゅーってなによ?ねえっ!」だの「じんこーこきゅー……未知の世界……」だの言う幼女をいなしていたので若干お疲れ気味だ。

そんな中、コンパは待ち合わせ場所に到着していた。

 

「みんな、まだ来てないみたいですね」

 

紙袋を抱えたコンパは周りを見渡してアイエフとネプギアがいないことを確かめる。

その道を小さな黒いネズミがダラダラと歩いていた。

 

「チュ〜っ、チュ〜っ、酷い目にあったっチュ……。なんでネズミが海に潜らなきゃいけないっチュか。海の鼠って漢字で書いたら海鼠(ナマコ)っチュよ、まったく……」

 

体はびしょ濡れで水を滴らせながら歩いている。その肩には同じくびしょ濡れの斜めがけを担いでいる。

 

「チュ〜っ、チュ〜っ、チュッ⁉︎」

 

フラフラの足取りで歩いていたためについにネズミは転んでしまう。その拍子に斜めがけの中から何かが転がり落ちた。

 

「チュ〜っ、今日は厄日っチュよ……」

「……?」

 

そのネズミにコンパが気付いた。

 

「痛かったっチュ……?」

 

ネズミが顔を上げるとそこにはこちらの顔をしゃがみこんで覗き込んでくる天使が……いや、女がいた。

 

…………………。

 

アーアアアーアーアアー!(賛美歌)

 

「ほわぁぁ………」

 

ネズミは顔が熱くなるのを感じた。

 

「な、なんチュか。ネズミがこけるのがそんなに面白いっチュか」

「……元気そうで、良かったですぅ」

 

…………………。

 

「ほわぁぁぁぁ………!」

 

バキューン!と胸の奥が撃たれる感覚。

 

「あ、でも擦りむいてるですね」

 

コンパはスッとネズミの手を取る。

 

「ほわぁぁ⁉︎」

 

バキューン!と2度目の胸を撃たれる感覚。ネズミは今まで感じたことのない動悸に襲われる。

 

「これ、貼ってあげるですね」

貼ってあげるですね。

貼ってあげるですね。

貼ってあげるですね。

貼ってあげるですね。

 

アーアアアーアーアアー!(頌栄)

 

「チュ〜っ、チュ〜っ、チュ〜っ」

 

ネズミはさっきとは違う理由で呼吸が荒くなっていた。そこに、トドメの一撃。

 

「はい、これでもう大丈夫ですよ?」

 

ネズミは、恋に落ちた。

 

「気をつけて下さいね、ネズミさん」

「は、はいっチュ……」

「あ、体も拭いてあげるです」

「ぅ、チュぅ〜……」

 

コンパがハンカチでネズミの体を拭く。ハンカチ越しに感じる手の感覚にネズミはまた顔を赤くした。

 

「じゃあ、私はこれで」

「あ、待ってくださいっチュ!」

「なんですか?」

なんですか?

なんですか?

なんですか?

なんですか?

 

いちいち彼女の言葉が胸に響く。

 

「あ、あの……お名前は、なんと言うっチュか?」

「ああ、コンパですぅ」

「こ、コンパちゃん……可憐なお名前っチュ……」

 

しばらくネズミは惚けていた。

 

そこに買い物を終わらせたネプギアが戻ってくる。

ネプギアは足元の赤黒い十字の形をしたクリスタルに気がついた。

なんとなく気になって拾う、と。

 

ドクン。

 

「あっ……!」

 

体と魂が分離するような感覚。その脈動をネプギアは聞いた。

 

あら?珍しいわね、女の子なんて。

 

頭の中に直接響く声。ネプギアはその声がひどくおぞましく感じて身震いした。

ネプギアは足から力が抜けて膝をついてしまう。手に持っていた紙袋も落としてしまい、果物が道へと転がった。

それにコンパとネズミが気付く。

 

「ぎあちゃん?」

「触るんじゃないっチュ!」

 

あらあら。またネズミさんなの?

 

そんな声がネプギアの頭の中に響く。

ネズミは走ってネプギアの手からクリスタルをひったくる。そのまま走って行ってしまった。

 

「ぎあちゃん、どうしたですか?」

「わかりません。突然力が抜けて……」

 

変な声も聞こえた。

 

「貧血ですか?でも女神さんが貧血なんて聞いたことないですぅ」

 

ネズミは走り続けてアイエフの横も通り過ぎる。

 

「…………?」

 

そして人気のない路地裏に入り込んで一息ついた。

 

「チュッ、チュッ、チュ〜っ。危なかったっチュ。まさか女神の妹に……。まあ、それはさて置き……」

 

 

「コンパちゃん天使。マジ、天使!チュ!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「みなさん、お待たせしましたわね。我が家のホームパーティーにようこそ」

 

ベールはテーブル一面に並べられた料理の前でそんなことを満面の笑みで言う。

 

「……というかベール。ほとんど何もしてない」

「やめましょう。言っても虚しいだけよ」

 

ブランの言葉にノワールが溜息をつく。

ネプテューヌはネプギアに話しかけた。

 

「さっき、立ち眩みしたんだって?」

「うん。もう平気だよ」

 

ネプギアは本当になんでもないらしく笑顔を作る。

 

「さあ、遠慮なく飲んで、食べて、騒ぎましょう。今日のために、飛びっきりのゲームも用意しておりますわ」

 

ゲーム、という単語にネプテューヌが食い付いた。

 

「おお!なになに⁉︎」

「説明するより、見せた方が早いですわね。ネプテューヌとノワール、少し後ろに立ってくださいな」

「ほいな〜!」

「えっ、なに?」

 

ノワールとネプテューヌが言われた通りの場所に移る。2人をカメラがレンズを動かして見つめた。

 

「では、華麗に戦ってくださいまし」

 

ピッとベールがコントローラーのボタンを押すと脇に置いてある球体の機械から映像が映し出され、部屋がまるでジャングルのようになった。

 

「わあ〜!」

「すご〜い!」

「あ、ねぷねぷが!」

 

そしてネプテューヌとノワールと言えば。

 

「ねぷっ⁉︎スライヌになってる!」

「こ、これ私なの⁉︎」

 

スライヌになっていた。

 

「2人の動きを特殊なカメラで読み取って、立体投影しているのですわ。なかなかの技術でしょう?」

「じゃあ、この格好でノワールと戦えばいいんだね!や〜い、ノワスライヌ!ねっぷねぷにしてやんよ!」

「え、なによノワスライヌって!」

「ていやっ!」

「あっ!」

 

スライヌ化したネプテューヌがノワスライヌに体当たりする。すると空中に50Pという文字が表示された。

 

「いえ〜い、ポイント先取〜!」

「私を怒らせたわね!覚悟しなさいネプライヌ〜!や〜っ!」

 

だが体当たりは飛んで避けられノワスライヌはひっくりかえってしまう。

 

「いえ〜い、逆さノワスライヌ〜!」

「ちなみに、もっと実践よりのシミュレーションモードも用意してありますから、戦闘の訓練にも使えますのよ」

「凄い!」

「私も遊びたい!」

「ええ。どんどん遊んでくださいな」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃、夕焼けが空を焦がす頃とある港でローブを着た女が佇んでいた。

 

「チュッ、チュッ、チュッ、チュッ……」

 

そこに先程のネズミが走り寄ってくる。

女は黒ずんだ肌をしており血色が悪い。唇も紫色をしていた。魔女のようなとんがり帽子もかぶっている。

その女はそのネズミに気付くなり文句を言った。

 

「遅い!計画を台無しにする気か!」

「これでも精一杯急いだっチュよ!あのEXモンスターと余裕のないスケジュール組んだオバハンが悪いっチュ!」

「オバ……、傭い主をそう呼ぶのはやめろと何度言えば……!」

 

だが女は呼吸を整えて姿勢を正す。

 

「ま、まあいい。ネズミ風情にいちいち腹を立ててもいられん。例のモノを早くよこせ」

「わかってるッチュよ」

 

女はネズミの斜めがけから取り出した赤黒いクリスタルを受け取る。

 

「フフ、これで4つ揃った……」

 

夕焼けが1人と1匹の影を長く伸ばす。日はもう沈もうとしていた。

 

「今夜……世界というゲイムのルールが塗り替えられる……」

 




次回予告

「僕は……!くそっ、くそっ!僕は結局、このザマだ……!」

ミズキの恐れていたことがついに起こる。絶体絶命の女神達。

「ミズキさん……私、約束を守ります!」

女神候補生達の反撃が始まる。女神候補生は、姉を超えるために奮闘する。

「やめろぉぉぉぉぉぉぉッ!」

戦場にこだまするミズキの想い。その想いは未来を変えられるのか。

「夢なんかじゃないよ……。これはきっと、ミズキさんの力……。ガンダムの力……!」

女神候補生の中に芽生えた新しい力は。ミズキ達の反撃と覚醒が始まる。

「僕は……僕は、みんなを!助けに来た!」

ーーーー

人工呼吸はカーズになったのです。
賛美歌わかっても頌栄わかる人いるかな〜、いたらお気軽に話してください。キリスト教学校だったりしたので。

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