超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ルウィーはお終い!

ブランの旗も上手く立てられましたかね。


約束

絶対帰る。

 

君の言葉が君と僕を繋ぐ。

 

絶対帰る。

 

君の想いが君と僕を繋ぐ。

 

絶対帰る。

 

君との約束が君と僕を引き寄せる。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ひーっ、ひーっ、酷い目にあった……!」

 

トリックは物陰に隠れながら進んでなんとか逃げおおせていた。

あと少しでテーマパークを抜け出せる、というところで目の前には!

 

「おおっ!おおおっ!」

 

ロムとラムもテーマパークから脱出するために金網を登っている最中だった。

 

「幼女!幼女さえいれば俺は戦える!ヒーヒヒヒ、幼女は最高だぜ……」

 

長い舌を利用して自分で自分の舌を舐める。するとみるみるうちに舌の先っぽは再生し始めた。回復効果があるというのは本当らしい。

 

「さあ、いらっしゃあい!ペロペロしてあげるよぉん!」

「ひっ!」

「あっ……!」

 

そしてまた舌を伸ばす。その舌がロムとラムを捉える寸前!

 

「あいたぁっ!」

 

その舌をハンマーが抑えた!

そのハンマーにはロムとラムは見覚えがあった。

世界で1番頼りになって、強くって!

 

「よくも……!私の大切な妹に何しやがる……!許さねえぞ、この変態が!」

 

大好きな、お姉ちゃんだ!

 

 

ーーーー『JUST COMMUNICATION』

 

 

「変態⁉︎それは褒め言葉だ!」

「そうかよ。なら、誉め殺しにしてやるぜ!」

 

ブランの体が0と1の世界に入り込む。

持っていた本を開くと本は光になり、その光がブランを包む。足元からスーツが装着され帽子は消えて髪は青く光る。背中にプロセッサユニットを装着して手には巨大な斧を持つ!

 

「覚悟しやがれ!このド変態!」

「ウケケケ!シャアッ!」

 

空を飛んだブランに対抗して高く飛び上がったトリック。だが後ろからの射撃で態勢を崩す!

 

「ぎゃあああっ!」

 

「なに⁉︎」

「執事さんだ!」

「執事さんだよ、お姉ちゃん……!」

「なに、ミズキが……⁉︎」

 

ブランの先には鳥型の戦闘機が。それは変形して人型になった。それは確かに、ブランが眠る前に見たミズキが変身した姿だ!

 

「ミズキ!」

《ブラン、僕に合わせて!》

「おうっ!」

 

ウイングはビームサーベルを引き抜いて落ちていくトリックを切り抜ける!

 

「ぎゃあっ!」

「くたばれ、クソ野郎がっ!」

「ぐわっ!」

 

そしてブランも斧で切り抜ける!

 

《まだあっ!》

「ひいいっ!」

「オラァッ!」

「うええっ!」

 

交互にブランと切り抜けることにより、だんだんとトリックの高度が上がっていく!

 

《ブラン!決めて!》

「よっしゃあっ!テンツェリン!」

「や、やめてぇっ!」

「トロンベェェッ‼︎」

「うわぁぁぁっ!」

 

強大な斧の一撃が遥か彼方までトリックを吹っ飛ばす!

だが終わりじゃない。まだもう一撃!

 

《ターゲット・ロックオン。……バスターライフル、出力最大!》

 

キィィィンと銃口が光り輝く!

 

《消えろ!変態ロリショタペドがっ!》

 

そして発射される最大出力のビーム。

夜空を照らすほどの光に、その太さ、威力、全てがトップクラスだ。

その熱量と威力は周りの空気を一瞬にして電離化させる。その灼熱の奔流はトリックに直撃した!

 

「げげげげげ〜!幼女、ばんざ〜い!」

 

遥か空でトリックは爆発した。

 

《任務………完了》

 

それを確認してからウイングとブランは地面に降り立って変身を解く。

 

「執事さん……」

「それが執事さんの……顔……」

 

ロムとラムは初めて見るミズキの顔をまじまじと見つめる。

 

「ごめんね、ロム、ラム。怖い思いをさせちゃったね」

「う、ううん!いいの!」

「2人とも助けに来てくれたから……いい……!」

「ロム……ラム。私も、ごめんなさい。こんな目にあわせて……」

「……お姉ちゃん、お土産!」

 

俯いていたブランにロムとラムがコインを見せる。

 

「でって竜……!はい、お姉ちゃん。執事さんも……」

「……ロム、ラム……」

「ありがと、大切にするよ」

 

2人はコインを受け取る。

 

「それと、ブラン」

 

ミズキが懐から取り出したのは1冊の本だった。

 

「これ……あの時の……」

 

ブランはページを見渡すがそこには落書きの痕跡など1つもなかった。

 

「ブラン。君との約束が僕をまた、ここに戻らせるよ」

「アナタ……ダメよ、行かせないわ」

 

ブランは身構える。武力行使も辞さない構えだ。

 

「執事さん、行っちゃうの⁉︎」

「やだ……行かないで……!」

 

ロムとラムもミズキにすがりつく。

 

「大丈夫。2人のコインも……僕をここにまた、帰らせる。ほんの少しだけ、さよならだ」

 

ニコリと燕尾服を着たミズキは微笑む。

 

「……変身」

 

ピカッとミズキが光って3人が目を背ける。目を開けた時にはミズキはもう、空の彼方にいた。

 

「ミズキ!」

「執事さん!」

「執事さん……!」

「………っ、ミズキ……!」

 

ブランは空を飛ぶミズキの姿を見えなくなるまで見つめていた。胸の前でぎゅっと本を握りしめながら。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃。夜のルウィーを歩くメガネをかけた使用人が1人、いた。

それは周りに人がいないことを確認して路地裏に入ると皮を脱ぎ捨てる。

するとそこには先程の女の面影などない女が現れた。

大事そうに抱える箱の中には赤く輝くクリスタル。

それを眺めて女は小さく笑うのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ええ〜っ⁉︎」

 

その後日。

ネプテューヌが昼のルウィー中に響く声を上げた。

 

「寝不足〜⁉︎」

「そう……気を失ったのはそのせい……。一緒に遊びに行けなかったのも……」

「何よそれ……」

 

ノワールは呆れたような声を出す。

 

「ここのところ徹夜続きで……アナタ達と向き合う余裕がなくて。ミズキはいつも私を労ってくれてたんだけど……」

 

肩を揉んだり、飲み物を入れてくれたり。

 

「仕事は私がやるからって、全部私がやってて……。そのツケがきたのよ」

 

ブランはバツが悪そうに俯く。

 

「だから、ミズキには頭が上がらないわ……。私は倒れたのに、ミズキはそのまま2人を助けに行っちゃうんだもの」

「うん、ミズキはそういう人だからね〜!ミズキなら多分、死んでも助けに行っちゃうよ!」

「わかるわ。そのまま一緒にぶっ倒れてもおかしくなかったわよ」

 

ミズキの人となりを知っているノワールがネプテューヌに同意する。

 

「紅茶の淹れ方も上手だったですわ……。あんな人に世話してもらっていたなんて、羨ましいですわ」

「羨ましい!」

「羨ましいわね」

「ノワールまで……もう」

 

くすりとブランが笑う。

そこにロムが走ってきた。

 

「お姉ちゃん……出来た……!」

 

今度は『画用紙』の上に、ロムとラムはお絵描きをしているようだ。

 

「うん……よく出来てる」

 

頭を撫でるとロムは嬉しそうに戻っていった。

 

「でも……案外ミズキもイタズラ好きなのね。知らなかったわ……」

「え?なんで?」

「これ……」

 

ブランが差し出したのはミズキが修復してくれた本だ。

ネプテューヌはパラパラとページをめくって本の中身を確認していくが別段おかしなところはない。

 

「うん?これのどこにイタズラがしてあるのさ」

「何も書いてないですわよね」

「そうよね」

「私も最初はそう思ったんだけど……カバーを外してみて」

「カバー?ああっ!」

 

表紙のカバーを外すとそこには、ブランとロム、ラムの顔の似顔絵が書いてあった。デフォルメされた、ニッコリ笑顔で。

さらにネプテューヌは反対側も見てみる。

そこには仮面をつけたミズキが笑っている絵があった。

ネプテューヌ達は呆気に取られて口をあんぐり開けている。

 

「………大したことしてくれるわ……。失くすわけにはいかなくなっちゃった」

 

ブランはミズキの絵のように、にっこり微笑んだ。




次回予告

「ミズキはきっと、この国のどこかにいる」

次なる舞台はリーンボックス。ネプテューヌ一行はミズキを探してリーンボックスを彷徨う。

「ボク……どんな歌が歌いたいんだろう……」

苦しみ、悩む5pb。答えを見つけようとあがく彼女に魔の手が迫る。

「もう……間に合わないのかもしれない。けど、諦めない。負けない。最後まで、抗うんだ!」

ミズキの旅の終わりも近付いていた。彼の目的とは。ネプテューヌを傷つけてでも成し遂げたかったこととは。リーンボックスの空に可憐な歌声とゼータが響きあう。

「僕は……もう、ダメなのかもしれない」

ーーーー


バスターライフルって案外えげつない武装なんですね。
wikiで設定読んだらまあ、とんでもない威力。ツインバスターライフルになったらさらにその上ってマジ戦術兵器ですね。最大出力じゃ3発しか撃てないのも頷けます。

はい、あのオープニング前の話を引き延ばします。だって、ただライブじゃつまらないじゃないですか…(言い訳
さらにその次の章は見せ場のオンパレードですね。多分次の章は数話で終わるので海のように広大な心で許してください。

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