超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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超イケボのパイロットが乗った機体が登場。



翼を持ったガンダム

任された。

 

その使命感が僕を動かす。

 

任された。

 

その義務感が僕を動かす。

 

任された。

 

君の気持ちが、僕を動かす。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ええっ⁉︎ブランが倒れた⁉︎」

「はい。私もさっき執事の1人に聞いて……」

 

既に日は落ちかけてルウィーを夕焼けが照らす時間。

外でテーブルを囲んでいたネプテューヌ達は突然の知らせに驚く。

 

「………みなさん」

 

ベールはその知らせを受けて意を決したのか強い意志を持って瞳を向けた。

 

「ロムちゃんとラムちゃんを見つける方法があります」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「実は、ブランとはある計画を進めていましたの」

 

ベールは執務室に行ってパソコンを起動し、パスワードを打ち込む。空間に写し出されたいくつもの画面が様々な情報を見せる。

 

「ルウィーで人工衛星を使ったサービスが行われていたことは、ご存知ですわね?」

「確か、10年くらい前に終わったやつよね?」

 

ノワールが思い出す。大昔とは言わないが、そこそこ昔の出来事だ。

 

「実はあの人工衛星はまだ稼働していて地上写真のデータを送ることができるのですわ」

 

画面のいくつがルウィーの上空を映し出した。

 

「ただし、低解像度の」

 

その通りに街がある程度をまでいくとアップにならなくなる。これでは詳細がわからない。

 

「それを解析して高解像度にするソフトウェアをリーンボックスの研究所が開発しましたの」

 

カタカタと慣れた手つきでベールはキーボードを叩いて画面を変化させていく。

 

「そこでブランに持ちかけたのですわ。ルウィーが写真のデータを提供してくれれば、我が国はこのソフトを提供すると」

 

「ええ⁉︎それって、アナタ達だけが世界中の情報を得られるってことじゃない!」

「ええ⁉︎私達、見られすぎちゃって困るじゃん!」

「いいえ。私達そのデータをみんなで共有しようと考えていたのですわ」

 

『……え?』

 

「ブランが言い出したんですのよ?『友好条約を結んだのだから、4つの国で等しく利用すべき』だと」

「そうなの?」

「だから、公開するタイミングをうかがっていたのですわ。サプライズプレゼントみたいで、洒落てるでしょう?」

 

『………』

 

みんなは顔を見合わせる。

するとパソコンがピコンと音を立てた。

 

「みなさん、解析が終わりーー」

 

ビーム、ビーッ、ビーッ、ビーッ!

 

「ねぷっ⁉︎」

「な、なに⁉︎」

「どうしたんですか、ベールさん⁉︎」

 

急にパソコンから鳴り出す警報音。

 

「まさか……⁉︎」

 

先程よりも数倍早いタップでパソコンの画面を変えていく。

 

「やはり、ハッキング⁉︎女神のパソコンをハッキングだなんて、いい度胸ですわね!」

 

カタカタカタカタとベールが細かくキーボードを叩く。

 

「ね、ねぷっ⁉︎指の動きが見えないよ⁉︎」

「くっ、強い!せめて、ハッキング源だけでも!」

 

すると画面にアルファベット4文字が浮かび上がった。

 

「『JACK』……ジャック?」

「ジャック⁉︎」

「ジャックさんですか⁉︎」

 

ネプギアとネプテューヌは顔を見合わせる。

他の女神もその名前を思い出した。

 

「ああ、あのイストワールみたいな小人の……。でも、どうして彼がハッキングを……?しかも、データが何も荒らされていない……」

「きっと、ロムちゃんとラムちゃんの居場所を確かめた……!」

「ということは、つまり……!」

 

ネプギアとユニが結論にたどり着く。

 

「2人を助けるために……⁉︎」

「来てくれたんだ、ミズキさんが!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「んんっ、んっ……」

 

薄暗い部屋の中でロムは目を覚ます。体が動かない。縛られているようだ。

寝ぼけ眼で前を見るとそこには、

 

「レ〜ロレロレロレ〜ロ……」

「ひっ!イヤっ!」

「ん……ロムちゃん……あっ!」

 

怪物が舌なめずりをしていた。

思わずあげた悲鳴でラムも目覚める。

 

「ア〜クククク!寝起きの幼女キター!」

 

仮面ライダーにでも変身するのだろうか。

 

「舐めまわしちゃってもいいかな⁉︎」

 

答えは聞いてない。

 

「だっはー!」

 

その矛先はロムに向いた。

 

「ひっ、いやあぁぁ!」

 

舌に巻かれて持ち上げられひたすら舐められる。ロムはその気持ち悪さに悲鳴をあげた。

 

「ちょっと!ロムちゃんに何するのよ!やめなさい!」

「ヒヒッ!」

「えっ、きゃああっ!いやっ、やめて〜!」

 

今度はラム。ロムとラムは抵抗できない中、ひたすら怪物に舐められ続ける。

 

「トリック様〜、身代金要求の電話してきました〜。……って何やってるんすかっ!」

 

ドアを開けてさっきの体色の悪い女が帰ってきた。もう名前わかんねえし、下っ端でいいね。

 

「見ての通り、幼女を癒しているのだ!俺のペロペロには治癒効果があるからな!」

「そ、そうすか……」

「レ〜ロレロレロレロレロレロレロレロ」

 

また舐め始めたトリックを置いて下っ端は部屋を出た。

次の瞬間。

 

 

ーーーー『思春期を殺した少年の翼』

 

 

ドカァァァァンッ!

 

「な、なんだぁ⁉︎」

「なに⁉︎」

「なんなの……⁉︎」

 

壁が爆発して大きな穴を開ける。そこから鳥型の戦闘機が銃口をトリックに向けて入り込んできた。

そのライフルからビームが発射される。

 

「危ないっ!」

 

トリックはその体を弾ませて後退し、ビームを避ける。

 

「なんだぁ、あいつ、大したこと……っておわぁぁ⁉︎」

 

トリックは自分がさっきまでいた地面を見る。

地面は広範囲にわたって焼けただれ溶けてクレーターを作っていた。

この威力、ただのビームではない。

 

「む⁉︎あいつは……⁉︎ぬあっ!」

 

後ろから衝撃を感じてトリックは両手からロムとラムを離してしまう。

 

「きゃあっ!」

「やっ……!」

 

縄で縛られた状態では受身が取れない。このままでは壁に当たって怪我をしてしまうところを機人が2人を抱えた。

 

「えっ⁉︎」

「誰、なの……⁉︎」

 

そう、さっきまで戦闘機がいたはずが、人型の機体がロムとラムを助けたのだ。つまり、変形した。

ウイングは盾からビームサーベルを取り出してロムとラムの縄を切る。

 

「あ、ありがと……」

「………動く……!」

《……クス、言ったはずだよ。君達がピンチの時、ガンダムは必ず助けに来るって》

 

その声にロムとラムは聞き覚えがあった。心安らぐような、優しい声色。

 

「そ、その声、もしかして……!」

「執事さん……!」

《……そうだ。僕が、ガンダムだ》

 

しゃがみこんで2人の頭を鋼鉄の手で撫でる。

2人は安心したのか、笑顔になった。

 

「こ、この〜!」

《誘拐犯……!ブランを泣かせたのは、君か……!》

 

ウイングは振り返ってトリックを見据える。

トリックは幼女が自分の手から離れて怒り狂っていた。

 

「幼女を!返せ〜っ!」

《ロム、ラム!逃げてっ!》

「う、うんっ!」

「はい……!」

 

ロムとラムはウイングの背中にある扉から逃げていく。

 

「うおおっ!幼女の敵め!お前みたいなロボットが幼女に好かれるか〜っ!」

《好かれなくたって構わないさ。今、ここでお前を倒せれば……!》

 

ビームサーベルの緑色の刃を展開する。

そしてバックパックのウイングのスラスターをふかして果敢にトリックに立ち向かった。

 

《ターゲット・ロックオン。……破壊する!》

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「こんのっ、貫いてやるぅ〜!」

 

ウイングの頭部のバルカンを物ともせずにトリックの舌がウイングへと向かってくる。

ウイングは一瞬だけ下方向にスラスターをふかして少し高度を上げた。

 

「んなっ!」

 

まるで舌の上を滑るようにウイングはトリックに突進していく。

そしてその伸びきった舌に……!

 

「あいだぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ビームサーベル!

トリックの舌は真っ二つにちょん切られる。

 

《焼けろッ!》

 

そのまま接近してビームサーベルでトリックの腹にX字の斬撃を加える。

 

「いいっ!いだい、いでえっ!ひゃあぁぁっ!」

 

トリックはたまらずウイングが部屋に開けた穴から外に脱出した。

 

《逃がすかっ!》

 

ウイングガンダムは変形してトリックを追った。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「いいんですのね?本当に作戦もなしに入って……」

「大丈夫!ミズキならもう助けちゃう頃だよ!」

「行きましょう、ダメだったらその時です!」

「もう、適当なんだから」

 

ネプテューヌ、ネプギア、ノワール、ユニ、ベールは写真を解析してわかった誘拐犯のアジト、建設途中のテーマパークの跡地に向かった。

そして、その室内に入っていく。

 

その数分後。

足取り確かにそこに向かっていた女神がいた。

 

「ロム、ラム………!」

 

そして。

 

「ミズキ……!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「や、やっべ〜、こりゃもう身代金どころじゃねえよ〜……!」

 

下っ端はあの戦闘を見ていた。

というわけで下っ端らしく逃亡を企てていたところである。

 

「ひっ、ひっ、はっ!」

 

「ああっ!誘拐犯!」

「げげっ!女神!」

 

ネプテューヌが指差して言う。

 

「もう逃がさないわよ!女神をなめないでよね!」

「な、舐めてたのは、トリック様だけで……」

「さあ、教えなさい。ロムちゃんとラムちゃんは何処にいるの⁉︎」

「し、知らねえ!変なロボットが来て、逃がしちまったよ!」

「変なロボット……ミズキ!」

「奥に、いるんですね!」

 

その言葉を聞いてネプテューヌ達は一目散に奥へと向かっていく。

 

「うげっ、ちょ、やめ、踏むな、うがぁぁっ!」

 

その後には……下っ端が踏まれて倒れていた。

 

「………アナタも大概気の毒ですわね」

「うるせえ……」

 

ただそこに残っていたベールだけが同情してくれるのだった。

 




俺がガンダムだ。この名言は出すつもりはなかったんですけど、話の流れで自然に出てきて、ならまあいいかなって。

次でルウィー編はお終い。

次はリーンボックスですね。

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