超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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平和へ

 

時は少し流れ……数日後。

 

ビフロンスを失った犯罪組織は壊滅……というより、誰ももう自分から犯罪組織に関わろうとはしませんでした。

当たり前です、一般人には彼女は世界を滅ぼそうとした悪魔にしか見えなかったでしょうから。

残ったマジェコンも動かなくなり、そのことに少し不満を持っている人もいましたが……ビフロンスの力となっていたことをわかってくれれば、もう2度と使うことはないでしょう。

 

そして、お姉ちゃん達は……。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ほら、もう、動かないの」

「うう、キツいですぅ〜……」

 

アイエフがコンパのドレスを着付けている。胴のヒモをきつく締めているが、コンパは苦しそうだ。

 

「世界中に姿が映るのよ?少しくらい我慢しなさい」

「うぅ〜……」

「ネプギアも、それで大丈夫?」

「あ、最後にチェックお願いします……」

 

ドレスを着込んだネプギアが背筋を伸ばしてピンと立つ。アイエフが360°回る間は居づらそうにソワソワしている。

 

「……うん、オーケー。バッチリ。文句ナシね」

「よ、良かったあ……」

 

ホッとネプギアが胸をなで下ろす。

 

「……あ、そろそろ出番ですよ、ぎあちゃん」

「ほ、ホントですか!?え〜っと……」

 

入口を少し開いて外の様子を垣間見る。

外には大勢の人が集まっていて、目がくらむ程だ。

 

「……うぅ、緊張するなあ……」

「これだけの大きな式なんて、講和条約以来ね」

「ですです。あの時はぎあちゃんに出番はありませんでしたけど……」

「だ、大丈夫です。頑張ります。手に入の文字を3回書いて飲み込む……」

「人ね」

「はわっ!?」

 

そうこうしているうちに予定の時間になった。ゴクリと唾を飲み込んだネプギアは息をゆっくりと吐いて表情を引き締める。

 

 

なんて言ったって今日は……新国家誕生の日なのだから。

 

 

「ネプギア」

「あ、お姉ちゃん……」

「準備はいいかしら?」

「……うん!」

「ネプテューヌさん、ネプギアさん、頑張ってくださいね。ミズキさんのためにも、ヘマは出来ませんよ」

「もう、わざわざ緊張するようなこと言わないでよ」

 

ネプテューヌが肩を竦める。

そうだ、今日はミズキさんの国が生まれる日。まだ開拓が必要だから、正確には建国するという宣言だけ。

でもあの時に花畑になった大地を開拓するのにそう時間はかからないように思える。

 

ミズキさんがプラネテューヌからいなくなってしまうのは寂しい。ミズキさんも一緒にいるという約束を破ってしまう、と謝ってくれた。

でも、ビフロンスにも誓ったんだ。絶対平和にしてみせるって。

もしかしたらその時が来たら……全ての国が1つになる日も来るかもしれない。

 

ネプテューヌとネプギアが開かれた扉から式場へ入っていく。2人の姿が見えると監修から大歓声が上がり、その中をネプテューヌは堂々と歩いていく。ネプギアもその後を続いてついていくと、もうそこには各国の女神と女神候補生、そしてミズキが揃っていた。

ネプテューヌはマイクに近付き、そして口を開く。

 

「ーーーーーまずは」

 

新たな世界の始まり。

きっとその先にはーーーー。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「…………」

 

カツンカツンとノワールが指先で机を叩く。

書類の束をあっちへこっちへ歩くユニはそれを横目で見ながら冷や汗を垂らした。

 

(見るからにイライラしてる……)

 

書類を片付けるどころか頬杖をついてペンすら握っていない。

 

「………どうしたの?」

 

意を決してユニが質問した。ちょっと後悔した。聞かなきゃ良かった。地雷踏んだらどうしよう……いや踏みに行ったのか?

冷や汗を垂らすユニにノワールが不機嫌そうに応じた。

 

「……会議。ウチの企業融資の話あったでしょ。アレに来れなくなったって」

(ああ……ドタキャン……)

「代わりに使いをよこすって。はあ……チッ」

(ひっ!)

 

ノワールの舌打ちにビクンと震える。

 

「断ってやろうかしら……」

 

恐ろしいことを言っている。しかも私怨で。

すると壁に立てかけてある内線の受話器が音を立てた。ユニがこの空気から逃げるように受話器を手に取る。

 

「は、はい、何かしら!?うん、用事!?用事かしら!?用事よね!?」

 

一刻も早く逃げ出したいユニは用事以外受け付けませんという空気を体中と口から発して応じた。

しかし受話器から告げられる言葉は無慈悲だった。

 

「……なによ」

「使いの人……来たって。今エレベーターに乗ってる、って……」

「……ふ〜ん」

 

これはアレだ、八つ当たりされるヤツだ。胃に穴があくヤツだ。知ってる。ユニ賢いもん。

 

チーンと間抜けな音を立ててエレベーターが到着した。あまりに隙のない到着にユニは部屋から逃げることも出来ない。このままだと自分の胃にも穴が開く……胃薬はあったかと考えたらユニの目に映ったのはちんまりとした女の子だった。

 

「んんっ、こんにちは!」

「……はい?」

 

着物を着た女の子は背が小さく、ユニよりも少し小さいくらいだ。書類を胸の前で大事そうに抱えて背筋をピンと正して立っている。

 

着物を着た女の子はユニの顔をマジマジと見つめる。

 

「アナタがノワールさんですか?」

「う、ううん!あっち!あっちがお姉ちゃんです!」

 

ユニがノワールを指さす。

すると女の子はハッとした顔をして頭を下げた。

 

「これは失礼しました!一応、黒髪の美人さんって聞いてたんですけど……」

 

すたたたと女の子は机に座るノワールの正面に向かっていく。ポカンとしているノワールにこれまた礼儀正しく頭を下げた。

 

「こんにちは。今日は、企業融資の件で代わりに来ました!……ノワールさん……ですよね?」

「え、あ、う、うん!そう!私がノワールよ。そう、ノワール」

 

我に返ったノワールが慌てて居住まいを正す。

それから女の子をじっと見て女の子が首を傾げたのをきっかけに椅子から立ち上がり、女の子のそばに行く。

 

「なんでしょう……?」

(かわいい)

(かわいい)

 

ノワールとユニの思考が一致した。

 

「あの、お名前は……?」

「あ、えっと、私の名前はーーーー」

 

女の子が名前を告げようとした瞬間、ベランダの窓が大きな音を立てて割られた。

 

「っ」

 

ガラスの破片が飛び散るが、大きな部屋のためにノワール達へは届かない。

身構えたノワール達がガラスを割った主へ向き直る。

 

「ちょっとアンタ……っ!?」

「……ねえ、聞きたいことがあるんだけど」

 

ノワールが戦慄して数歩後ずさる。

ヤバい、ヤバいヤバいヤバい。これは、無理だ。立ち向かえない。立ち向かえば……死より辛いものが待っている!

 

「ミズキはどこ?」

「し、知らない……です……」

 

敬語になるノワール。

それを聞いた窓を割った犯人はユニの方を向いた。

 

「知ってる?」

「し、知りません……」

「ふぅん……アナタは?」

「え、わ、私ですか?し、知りません……あ、でもプラネテューヌに行けばジャックさんがいるので何かわかるかも……」

「ふぅん……」

「な、なんでここにアンタが………」

「ベールちゃんが教えてくれたのよぉ?もしかしたらここにいるかも……ってぇ」

 

『ほ、保証はしませんわ。小耳に挟んだだけですので。ええ』

 

(脅したんでしょ!?)

 

「……フフ、それじゃ」

 

窓ガラスを割った主はそれを聞くとプラネテューヌへと飛んでいく。ノワールはヘナヘナと腰が抜けてその場にへたりこんでしまった。

 

 

 

「ねえ、いーすん……働きたくないでござる……」

「働いてください」

「うぅ、ミズキがいなくなってから仕事が辛い……」

「プリンも用意してありますから」

「えぇ〜、ほんとにござるかぁ〜?」

「……カチンと来たのであげません」

「わああごめんごめんごぉ〜!」

 

ネプテューヌがイストワールに泣きついている。

それを脇からジャックとネプギアが見ていた。

 

「案外、変わらんな」

「はい。少し寂しそうにしてる時もありますけど……基本的にはいつも通りです」

 

ネプギアが微笑む。

 

「そういえば、今日はミズキさんは?」

「ん?そうだな、この時間からは……確かルウィーで魔法を習うと」

 

「へえ?ルウィーにいるの?」

 

「なに?……なっ、お前は……!?」

「え?う、ウソ……!」

 

ネプギアがガクガクと震えて後ずさる。

異常に気付いたネプテューヌとイストワールが窓の外を見るとそこにはニヤリと微笑んでいる女。

 

「え、え、ええええっ!?」

「そんな……何故……!?」

 

「フフ……待ってなさい……」

 

女はそれだけ聞くとルウィーへと飛んでいく。プラネテューヌで4人はしばらく言葉を失っていた。

 

 

 

「次は召喚魔術です」

「召喚魔術とな」

「ええ。そこそこ高位の魔法です、1つの高い壁と捉えてもいいでしょう」

 

ミズキは庭でミナに魔法の手ほどきを受けていた。

それをブランとロムとラムが眺めている。

 

「まずは魔法陣を書いて」

「うん」

「集中して、イメージ。魔法の基本ですよ」

「うん……むむっ」

 

ミズキが目をつぶって魔法陣に手を向けて集中する。

その魔法陣の上にあの女が降り立った。

 

「っ……!」

 

全員が声を抑えて戦慄する。というより、驚きに声も出ない。

ただミズキだけは目の前の現実に気づかずに呑気に集中している。

 

「むむっ……ん、ん〜……」

「…………」

「どうかな、ミナ……正直、よくわかんないんだけ……ど……」

 

ミズキが目を開くとそこにいたのは……。

 

「……む〜!」

 

頬をふくらませてご立腹な様子の……。

 

「……プルルート?」

「もぉ〜、バカぁ〜っ!」

 

ほんの少し涙を滲ませてプルルートがミズキに抱きついてきた。

 

「連絡は取れなくなるしぃ!次元の歪みとかなんとかわけわかんないこと言ってぇ!やっと、やっと〜……!」

「え、え〜と……ごめん?」

「むぅ〜!もう怒ったからぁ〜!」

(そういえばプルルートと連絡つかなかったんだ……次元の歪みもようやく元通りになったんだ)

 

プルルートはポカポカとミズキのお腹を叩きながら抱きついて離れない。

そのポカポカが段々と……あれ……強く……ん……?

これポカポカ?既にドスンドスンというか、ボゴッボゴッ、ドゴォンドゴォン、バキィ。

 

「僕の骨が折れた!?」

「もう離さないんだからね〜っ!」

「い、いや離してくれないと、その、骨が……ぐへっ」

「し、執事さん!?」

「執事さんが血を吐いて倒れたぁ……!」

「………真の敵はまだいたという事ね」

「……平和には程遠そうですね」

 

ミナがはあと息を吐いて呆れる。

 

………まあ、なんにせよ、これで全部元通り。……とはいかないけれど。

ミズキの部屋に置いてあるカメラのレンズがキラリと光る。

まだ道は程遠く、その先に何があるかも分からない。けれど、ただ歩き続けるだけ。

自分が信じる方へ、平和を求めてーーーー。






終わり!
次にやるなら…まあVよりVⅡですけど…VⅡよくわかんないのでとりあえずはお休みです、期間は決まってません
そもそもプレイしてないので…小説をたまに手直ししてるのでそれで生存確認してください…

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