超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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タイトルからしてネタバレ。


パーフェクトストライク

僕はヒーローだ。

 

だから、人知れず悪と戦いみんなを守る。

 

けれど、勘違いするな。

 

僕は君達の為に戦っているわけじゃない。

 

僕は縛られているんだ。

 

ヒーローに、君たちに。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

………あれ?私、何をしてるの?

なんで、みんな泣いてるの?そんな箱の中を見て。

みんな、泣かないでよ。箱の中に何があるのさ。

 

箱の中には手を組んだ誰かが顔に白い布を被せられて眠っていた。いや、死んでしまったのか。

私はその白い布をめくる。

そこには、恐ろしい顔をしたミズキがいた。

 

「ひっ………‼︎」

 

ミズキはギョロリと濁った目をこちらに向ける。

 

「あ……あ……!」

 

やだ、イヤ。怖い怖い怖い。来ないで。

 

「イヤアアアアアアッ!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「イヤアアアアアアッ!」

「イヤ、やめてっ!」

「うあっ、うわあっ!うわああ!」

 

 

 

 

 

「そんな……みんな、やられちゃったの……?」

 

ユニは離れたところから戦慄する。一瞬だった。女神であるネプテューヌもすぐにやられてしまった。

 

「オロオロオロオロ!」

 

ユメミダケは未だにその声をあげて笑っている。

 

「………くっ!よくもネプギアを!」

 

ライフルを連射する。

それは確かにユメミダケにダメージを与えたが、中途半端な射撃ではユメミダケの気を引くだけだった。

 

「オロロ!オローーー!」

「っ⁉︎痺れ粉⁉︎」

 

ユメミダケはユニに向かって口から痺れ粉を吹き出す。

そんな、普通のユメミダケはそんなことできないのに!

咄嗟に口を手で押さえたが痺れ粉の量が多すぎる。目の前が痺れ粉で見えなくなるほどの量だ。

 

(やば、これは………!)

 

意識が遠のくレベルだ。

体が、動かない………!

 

その時、ユニはその痺れ粉の嵐の中に立つ人を見た。あるいは、それは幻だったのかもしれない。ユメミダケの胞子が見せる幻影だったのかもしれない。

だとしても、ユニはそれに頼った。

 

「お願い………お姉ちゃんを……!トゥルーネ、洞窟へ……!」

 

ユニの意識は途切れた。

 

 

ーーーー『meteor』

 

 

《………ユニ……》

 

ユニの隣に立っていたのは機人だった。

あの時と同じように、ユニ達を助けに来た。ネプテューヌを助けに来た。

 

機人は空に向かって左脇に抱えた『アグニ』を打ち上げる。

 

「オロッ⁉︎」

 

ビームは空へと打ち上がる。

そしてその熱でユニの周りの胞子は燃え上がって消えた。

 

「ユメミダケ……その粉は非常に強力だが、熱に弱い」

 

ジャックがふわりと空から降りてくる。

 

《ジャック、あの症状を治療するにはどうすればいいの》

「手っ取り早いのはあいつを倒すことだ。あいつを倒すと飛び散る粉が解毒剤の作用になる」

 

その機体もあの時と同じようにストライクだった。

だがその形態はノワール達を助けた時のどれとも違う。いや、正確には『どの形態でもある』。

そのパックは『エール』でも『ソード』でも『ランチャー』でもない。『マルチプルアサルト』ストライカーパックを装備した、パーフェクトストライクガンダム。

背中には『エール』の大型ブースターと新たに追加された予備バッテリー。それにシュベルトゲベールとアグニを接続するアーム。

左肩には『ソード』のユニット、右肩には『ランチャー』のコンボウェポンユニットが装備されている。

 

《よくも、ネプテューヌ達を……!》

 

ネプテューヌ達はまだ悪夢にうなされている。救い出す、僕が!

 

《みんなを離せっ!》

 

頭部のイーゲルシュテルンからバルカン、右肩のウェポンユニットから120mm対艦バルカン砲とミサイルが発射された。

 

「オロ、オロオロッ!」

 

その数発はユメミダケを掠めてダメージを与えるが、ほとんどがユメミダケを外れる。

では、どこを狙ったのか。

それはユメミダケの後方でミサイルが爆発したことでわかった。

 

「オロッ⁉︎」

 

ユメミダケの胞子が燃えて消えていく。

 

《覚悟、して!》

 

「オロオロ!」

 

シュベルトゲベールを引き抜いてブースターをふかして突進する。

それにユメミダケは痺れ粉を吹きかけるが。

 

《機械に効くわけ、ないだろ!》

 

急停止してアグニで目の前のキノコを焼き払う。背中のバッテリーが音を立てて1つパージされた。

キノコは焼き払われた途端に破裂してキラキラした粉を吹き出した。

それは風に乗ってユニの方へと飛んでいく。

 

「う………う……」

 

どうやら効果は本物のようだ。ユニが呻き声をあげた。顔も心なしか穏やかになっている。

 

《ブチ抜くッ!》

 

アグニをユメミダケに向かって照射する。

 

「オロッ!」

 

だがユメミダケは地面に手をついてキノコを生やす。それは折重なり、盾のようになってビームを防いだ。1つ、また1つと予備バッテリーが地面に落ちていく。

 

「オロオロオロオロッ!」

 

ビームを防いだ体勢のまま、ユメミダケはさらに大量のキノコを生やす。

その逃げ場のないキノコの槍がパーフェクトストライクを襲う。

その槍が眼前にまで迫った時、ミズキの中で何かが弾けた。

 

パリィィ………………ン……!

 

それはS.E.E.D(シード)

遥か古代、ミズキ達の次元ではこのような論文が発表されたことがある。

Superior Evolutionary Element Destined-factor。略してSEED。

それは人種などを問わずして一部の人間に現れる、人類が1つ上のステージに進むための可能性。

今、ミズキの視界は背中まで全方向にまで広がり、周囲の動きが全て指先で感じられるほど正確に把握できている!

 

(シルヴィアの、力。シルヴィアが託してくれた、力!)

 

僕を友達だと、仲間だと言ってくれた人。僕が好きだと思っていた人。僕を、連れ出してくれた人!

 

『さあ、ミズキ。次の冒険は何処にしましょうね?』

 

ボコボコボコボコ!

 

ストライクは照射をやめて、ブースターをふかして低空を滑空し、地面から突き出してくる槍を後退しながら避ける。

その真後ろに飛び出てくる槍が、ミズキには見えていた。

 

(1m37.5cm後方!見える!)

 

くるりとストライクは後ろを振り向く。そしてその槍の真上に足を構えた。

そしてキノコの槍は遥か上空へと伸びる。それはまるで、ストライクを打ち上げたかのように。

 

「オロッ!」

 

そのキノコが伸びた勢いでバク宙。空高く逆さになった体勢でストライクはアグニを構えた。

 

《いっけええええぇっ!》

 

「オロオオオオッ⁉︎」

 

ユメミダケの顔面にアグニのビームが直撃する。ユメミダケは顔から煙を出して音を立て、倒れた。

 

「オロッ、オロ、オロ!」

 

《まだッ!》

 

逆さのままストライクは空中を飛ぶ。アグニを背負い、今度はシュベルトゲベールを引き抜く。

 

《くううあッ!》

 

「オロロロロロ⁉︎」

 

その顔面に馬乗りになりながらシュベルトゲベールを突き刺す。バチバチとスパークが散ってユメミダケを焦がしていく。

 

「オロ、ウォロ、ウォーー!」

 

《倒れて、よっ!》

 

まだ抵抗を試みるユメミダケ。ストライクはシュベルトゲベールを突き刺したまま背中のビームサーベルを引き抜いてシュベルトゲベールのを突き刺して出来た傷口に差し込んだ。

 

「オロロロロロロローッ⁉︎」

 

《落ちろォッ!》

 

さらにイーゲルシュテルンとガンランチャー、対艦バルカン砲を撃ち込む!

 

「オロ、オロ、オロー………」

 

パアッ!とEXユメミダケは光となった消えた。ユメミダケが作り出したキノコの槍もだ。そして、それと同時に大量の粉が広がる。

ネプテューヌ達は槍が消えたことにより、地面に落ちてしまった。

 

「あうっ」

「あっ」

「くっ」

 

呻き声は漏らしたものの、まだ起きないようだ。

そしてストライクの最後のバッテリーが外れ、装甲が色を失った。

 

《ギリギリだった……》

「これだけの粉が飛び散れば、風向きに関係なくここにいる全員が十分な量の解毒剤を吸えるさ」

《それなら、良かったよ》

 

ユメミダケの粉はキラキラと光って綺麗だ。

ミズキは変身を解く。

 

「ミズキ……さん……っ」

「………ユニ」

「お姉ちゃんを……お願い……」

「わかってる。すぐ、助けに行くさ」

 

そう言ってミズキは頭を撫でる。そのミズキの目はSEEDを発現させたことによりハイライトが消えていた。

どうやら、解毒剤を飲んでもまだしばらくは体は動かないらしい。

 

「行くよ、ジャック。もう1機、ストライクは残ってるはずだ」

「ストライクEだな」

「うん」

 

ミズキはちらりとネプテューヌの方を見る。穏やかな顔で眠っているネプテューヌ。

あそこに帰りたいと思う。帰れたら、どんなに嬉しいことか。だけど、今は出来ない。

ノワールも、守りきるんだ……!

 

「クスキ・ミズキ、ストライク、行くよ!」

 




冷静になりました。粉塵爆発しますよねコレ(テオテスカトルを狩りながら

補足説明。

ガンダムSEEDの機体は全てバッテリーで動いています。ビーム撃つのも電気がいるし、PS装甲も電気を流すことで色が付いて硬くなっているわけです。なので、バッテリーが切れるとPS装甲は鉄色になって効果を失います。

また、次の話もミズキはSEEDを発現させたままです。

ミズキが告白した(ネプギアとのデートの話参照)のはシルヴィアという名前の人なわけです。ミズキの友達3人目、かな。とりあえずミズキの友達の名前はジョー、カレン、シルヴィアしか名前は出ません。……予定では。

次でアニメ第1話がやっとこさ終わります。……予定では。

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